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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2007年9月号

工夫いろいろエンジョイライフ

実用編●トイレの工夫、他●

提案者:金沢正裕 イラスト:はんだみちこ

金沢正裕(かなざわまさひろ)さん

京都の壬生生まれの新撰組ファン。障害は筋ジスのKWタイプで、もう45年も車いす生活を続けている。最初の電動車いすが座席が上下作動もするラッキーに恵まれ、ベッドやトイレにもその高低の引力が利用できて早くから自立生活に入れた。今は1日5~6回ヘルパーさんの介護介助を受けて一人暮らしをしている。還暦を過ぎて公立の通信制高校に入り、今その3年生。月に3回ほどしか通学しないのに3年で卒業を目指している。


トイレの工夫

ウチの洋式トイレは車いすの高さに合わせて嵩上げしてあるので、座っても両足が地面に着かない。従って不安定なので足元に木台を置いたが、今度は前屈みで体が倒れる不安が出てきた。そこで背もたれのあるいすを前に置いてもらった。しかし固定されていないので、重度化して危なくなり、福祉カタログから踏切式の安全板を見つけた。だが6万7千円。そこで無い知恵を絞って、両手摺りの位置に木材を置くことにした。ヘルパーさんに5cm×5cm×90cmの角材を買って来てもらい、それに移動防止の長い釘を打ち込み、もう片方の位置に厚めのクッションベルトを2つ巻付けて溝をつくり、その左右に木材を置いて片方を紐で縛った。これで前に倒れる心配はなくなり、逆に前屈みにイキムことで便秘解消にも繋がった。


洗面台の工夫

わが家の洗面場は面積が狭くて洗髪までできない。入浴は週2回でもせめて洗髪は3~4回ほしいものである。そこで、福祉機器業者に洗髪可能の洗面台を見積ってもらったら何と17万円も……。福祉事務所の補助などない。リッチであればだれも苦労しない。やがてホビーショップの折込みチラシにその洗面台が39,800円、そして工事費込みで7万円程で仕上がるとのことで注文した。工事も半日で済み、早速朝シャンが楽しめた。

またこの水道栓はパイプ部分が上に伸び、それだけシャワー口を高く上げることができた。そこで陰部洗浄が頭に浮かんだ。ホビーショップで直径が10cm程のジョウゴを見つけ、それにホースを2メートル取り付けてシャワーのお湯を受け流すことに成功した。ヘルパーさんが手を高く上げて給湯してくれるので、排泄後には陰部に石けんをつけて洗うこともできサッパリして気分爽快。拭くと洗うではえらい違いだ。


ヘルパーの鍵リレー

一人暮らしも重度化することでベッドでの寝返り介護介助も必要となる。深夜となればヘルパーさんを探すのも大変だ。大部分のヘルパー派遣事業所は夜7時までの活動が多い。その点、24時間体制のコムスンは立派だったが、不正が潜んでいれば自爆行為だ。介護介助も単なるカネだけでは心サモシイ。

ボクにはラッキーにも早朝の仕事をされる旦那を持つヘルパーさんがいて、夜中や早朝にも来てくれるから有難い。今は数人が夜10時に就寝の介助、深夜2時に寝返りとオシッコ、そして早朝5時に寝返りやリハビリの真似事の介助を受けている。

そこで、家の出入りに、全員に鍵を渡すことはできないので、門の傍に隠れるように印箱を置き、それに玄関の鍵を入れて別にダイヤルキーを付けていた。しかし、その小さな印箱ではドライバー1本で中の鍵が取り出せる危険が出たので、玄関入口の引戸棒にそのダイヤルキーを付けた。それによりヘルパーさんの10時から5時の鍵リレーとなった。ダイヤルキーは番号が変更できるのでヘルパーさんが変われば変更している。