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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2007年11月号

利用者

障害者自立支援法について思う事

杉澤哲哉

良かったと思った事

自立支援法が始まってすぐの頃は内容が良く分からなかったため、理解をしようと努力をし、それまでよりも多くの仲間達からの意見を聞くようになりました。そのため仲間意識が強くなった事や、少しずつ理解していくうちに良いところと悪いところがはっきりしてきた事などがあります。

自立支援法の内容については知的障害者の法律、身体障害者の法律、精神障害者の法律が合体して、すべての障害者が今まで使えなかったサービスを使えるようになり、そのため使えるサービスが増えた事、自立支援医療を利用して、医療費が安くなった事もあります。

就労支援Aでは利用料がかからないのも助かっています。又、用語や内容に使われている言葉が分かりにくいため、私達、本人達で分かりやすくしようと、全国の本人達に協力をしてもらい、本人むけの「自立支援法ガイドブック」を作る事になり、2回の合同編集会議を開き、多くのすばらしい意見をいただきました。言葉も自分達で考え、文字も大きく、絵も入っていますし、分かりやすくした言葉の後に、カッコ書きで正しくはどんな言葉なのかが分かるようになっていて、言葉の勉強にもなるようにできています。

もし、自立支援法ができなければ、サービスに関係する言葉を本人達で考え直そうとは思わなかったかも知れませんし、自分に関係する自立支援法以外の福祉サービスや事業をもっと知りたいと思わなかったかも知れません。

悪かったと思った事

まず、内容が分かりにくく、用語が多いため、どんなサービスかよく理解できない事や、サービスの利用料の1割を本人が負担する事になり、生活が大変になった人がいます。

1割負担の中でもどうしても納得がいかないのが、通所施設で働く人からも利用料を取る事です。働くためにお金を払うなどという事はおかしなことで、一般企業ではありえない事なのでやめてほしいと思います。以前から負担額が多い人も少ない人も同じ割合だと負担額に大きな差が出て不公平になるからです。

それに、支援費制度の時みたく、前もっての詳しい説明が無かったため、始まる前から不安になっていた事も事実です。そのために、始まってすぐの頃は「自立支援法を利用したくない」と言っていた人や、「こんな変なのは使いたくない」と言っていた人がいました。自立支援法の良いところが本人達に伝わりにくかったため、本人達が進んで使いたいと思う人が増えて行き広がっていくのが遅かったと思います。

自立支援法に対しての希望……

まず、どこに行ったらサービスが受けられるのか、その情報をどこに行ったら教えてもらえるのかを各自治体と福祉事業所は本人達に分かりやすく説明する事を希望します。

そして、情報が載っている資料には、仮名をふるのはもちろんの事、本人達にとって難しいと思われる言葉を分かりやすい言葉に直したうえで資料に載せてくれる事を希望します。

サービスの内容については1割負担をなくし、収入の少ない人や出費の多い人には負担額を少なくするなど、収入と出費に応じた負担額を今までよりも細かく分けて考えてくれる事を希望します。

働く場でも利用料を払うのはおかしな事ですので、なぜ、働くためにお金を払うのか説明をしてほしいと言う事と、働く場での利用料を下げるか、無くす事を希望します。そして、働くために訓練が必要な人がたくさんいますので就労訓練所、福祉工場、ジョブコーチをいままでよりも増やし、多くの本人が仕事に就けるよう希望します。

又、生活保護を受けている本人でも働きたいと思っている人が多くいます。短時間でも出勤日数が少なくても働ける場所を作り、仕事に就ける本人達が増えるよう希望します。

本人への理解がある職場がまだまだ少ないように思うので、本人への理解がもっと広まるよう本人と職場の人との話し合いができる機会を作り、本人の意見を聞いたうえで理解をしてもらう事を希望します。

一般企業で働きたいと思っている本人も多くいますので、どこの企業でどの障害がある本人を雇ってくれるのかが分かりやすい全国共通の仕組みを考えてくれる事を希望します。

それに、ホームヘルパーは以前よりも利用できる時間が減り大変な思いをしている本人もいますので、もとに戻せないにしても、少しでも利用できる時間を増やしてくれるよう希望します。

自立支援法の印象……

自立支援法の事を少しずつ知っていくうちに良いところがあったんだと思い、さらに知っていくと良いところと悪いところが少しずつはっきりしてきました。

一番印象を悪くしているのは、収入の少ない人や障害が重く、医療費が多くかかる人にも利用料がかかる事です。これらの事が利用を控える原因にもなっています。

良い印象としては、以前よりも多くのサービスを使えるようになったため、選べるサービスが増えた事と、自立支援医療により、わずかながら医療費がさがったことです。

このように悪い印象のほうが多く頭の中に浮かんでくると言うのは悪い印象のほうが強い証拠ですので、これからは本人達が安心して、自分達から進んで使いたいと思えるサービスに変わってほしいと思います。

(釧路市未来~トゥモロー~編集委員会)