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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2007年11月号

知り隊おしえ隊

隊長のお勧めTOKYO
TOKYOは、バリアフリーワンダーランドだ!

今福義明

2007年のTOKYOは、電動車いす使用障害者には、まさしくバリアフリーワンダーランドと化していました。TOKYOジャングルを毎日のように探検している自称「知り隊おしえ隊」隊長が頼まれて仕方なくお教えします。

第1位 アーバンランチ

第1位は、2007年4月1日に、「芝浦アイランド~お台場海浜公園」間に就航した新水上交通「アーバンランチ」で、隅田川や東京湾内の超高層マンションや水辺を気軽に探検するというものです。現在は、8月1日から「お台場海浜公園~豊洲」間にも就航したことで、「芝浦アイランド~お台場海浜公園~豊洲(アーバンドックららぽーと豊洲)」と巡ることができます。

41人乗りの19トン・カタマラン(双胴船)の速力は12ノット(約22km/h)で、1号艇、2号艇、3号艇の3隻が運航していて、いずれも船着場までのスロープ、船の乗り降りのスロープ設置で、船内はリフト(潮位に応じて高さ調節できる)、フリースペース方式の車いすスペース(固定具付)、多機能トイレもあります。また、船内とデッキを自由に移動できますし、雨天寒暖にも冷暖房対応です。船員スタッフのさりげない接遇が水上観光に親しみを感じさせてくれます。

お台場海浜公園や豊洲で、2004年3月26日から「浅草~お台場」間を運航している漫画・アニメ界の巨匠・松本零士氏がデザインした宇宙船のような「ヒミコ」(新型バリアフリー水上バス)に乗り換えることも可能です。こちらの「ヒミコ」は、電動スロープ付きで、電動車いす乗船客も単独自力乗船可能。船内は、デッキ面だけですが、フリースペース方式の車いすスペースが2席(固定具付)、多機能トイレ、冷暖房対応で、雨天時は半透明屋根ですっぽり覆われているから景色もよく見えます。浅草→お台場→豊洲→浅草と巡っています。

(注)次に記載する駅は、すべてエレベーターでのワンルート・アクセスが可能です。また、電動車いす使用障害者も利用可能な多機能トイレも設置されています。記載「分」は、電動車いす6km/時の速さでのおおよその推定時間です。

行き方〕芝浦ふ頭:三田線三田駅またはJR田町駅より電動車いすで南へ約15分程の位置です。お台場の水上バス乗り場:お台場海浜公園駅から電動車いす3分。豊洲港:有楽町線・ゆりかもめの豊洲駅より5分。

第2位 国立新美術館・ミッドタウン

第2位は、国立新美術館と東京ミッドタウンの回遊です。2007年1月21日開館した六本木・国立新美術館(設計は黒川紀章氏)のコンセプトは「森の中の美術館」。館内には、ミュージアムショップ・レストラン・カフェ、無料展示スペースもあるなど、とても親しみのある美術館となっています。それが千代田線の乃木坂駅の地下コンコースと屋根伝いにエレベーターで直結しています。これは電動車いす使用者にはうれしいことです。というのも、雨降りの日でも傘やカッパなしで容易にアクセスできるからです。

同美術館から地上歩道で電動車いす2分のところに、2007年3月30日にグランドオープンした東京ミッドタウンがあります。とても広大なので回遊するだけで半日ぐらいはかかるでしょう。サントリー美術館、グリーン&パーク(ミッドタウンガーデン・檜町公園)もお勧めです。

東京ミッドタウンは、大江戸線六本木駅とエレベーターで直結しています。残念ながら日比谷線六本木駅とも地下通路でつながっていますが、ここはバリアフリー・ルートではありません。

第3位 東京駅周辺

第3位は、東京駅&周辺です。東京駅がバリアフリー化観光地として刻々と変貌を遂げています。電動車いす使用者にとっては、これほど目がくらくらドキドキするバリアフリー化観光プレイスは無いのではないか!と思えるぐらいです。とにかく地下通路や超高層ビル・超多路線の鉄道や地下鉄、そして、路線バスに循環バス・長距離バスなどなど、観光地への扉がいっぱいです。このバリアフリー化ワンダーランドの東京駅&周辺をほんの少しだけご紹介します。

ぜひ、丸の内シャトル(ニュージーランドのデザインライン社製の環境にもやさしくバリアフリーで、しかも無料の巡回ノンステップバス)に乗車してほしいです。東京駅丸の内南口の三菱ビル前から午前10時から午後8時まで15分間隔で一周30分のルートに乗車して、大手町、丸の内、有楽町地区を廻ります。大きな車窓から見えるオフィスビル群や皇居の夕焼けなどは絶景です。途中停車場の「東京サンケイビル」で、丸ノ内線(池袋駅方面のみ)・半蔵門線・千代田線の大手町駅に乗り換えられます。「丸の内マイプラザ」では、三田線の大手町駅・日比谷駅・千代田線の二重橋駅・有楽町線の有楽町駅とも乗り換えられます。

さらに、東京駅八重洲口からも歴史の街の京橋、日本橋地区を結ぶ無料巡回バス「メトロリンク日本橋」(全便ノンステップバス)が毎日午前10時から午後8時まで、東京駅八重洲口と日本橋の南北のエリアを、約10分間隔で運行しています。途中停車場の「(三越日本橋)新館」と「三越前駅」で、銀座線の三越前駅、「日本橋三井タワー」と「千疋屋総本店」で、東西線及び銀座線の日本橋駅、「第二鉄鋼ビル」で、JR各線の東京駅八重洲口と乗り換えられます。

第4位 都電荒川線

第4位は、およそ17年ぶりに新型車両が導入された都電荒川線の「昭和初期の東京市電をイメージしたデザインの“新しく懐かしい”」レトロ車両に乗って、荒川区・北区・豊島区・新宿区の下町を観光してみてはどうでしょうか。

起点の三ノ輪橋電停は、「昭和30~40年代を思い起こさせる商店街の中に」あります。町屋駅前では千代田線の町屋駅と乗り換えられます。飛鳥山電停すぐに「都内有数の桜の名所である飛鳥山公園」があります。王子駅では南北線王子駅と乗り換えられます。新庚申塚駅から電動車いす3分のところに三田線西巣鴨駅があります。庚申塚電停のプラットホームには、餡蜜(あんみつ)やお汁粉のお茶屋があって、ここでの飲食は、都電ながらの風情があります。ここからすぐに「おばあちゃんの原宿」の高岩寺(とげぬき地蔵)があり、商店街を通り抜けると、JR山手線の巣鴨駅・三田線の巣鴨駅と乗り換えられます。東池袋四丁目電停では、有楽町線東池袋駅に乗り換えられます。

都電荒川線は全長12.2km・停留所数30電停です。電動車いす使用乗客は、いずれの電停でもスロープで地上からプラットホームまでアクセスできます。また、一人で乗り降りできるとても自由な乗り物となっています。これは国内路面電車の中ではまだ都電荒川線のみです。しかし、残念ながら8500系5両だけはホームと車両とに段差があり、時に運転乗務員のホーム渡り板使用乗降車介助が必要となります。

第5位 原宿竹下通り

第5位は、千代田線明治神宮前駅のエレベーター出入口すぐの原宿竹下通りとその界隈です。竹下通りを抜けると「KDDIデザイニングスタジオ」というバリアフリーな建物(多機能トイレあり)があって、エレベーターでもらせん状のスロープでも5階まで上がれます。お勧めは、らせんスロープ上でガラス越しに見える外の景色です。最上階の5階にはスイーツカフェがあります。

第6位 表参道ヒルズ

第6位は、同建物から電動車いすで5分のところにある「表参道ヒルズ」です。ここは、2006年2月11日(建国記念の日)にオープンしました。地下3階から地上3階まで「スパイラルスロープ」と呼ばれるらせん状スロープ通路になっています。国内外の有名ブランドなどが入居する商業施設のウインドウショッピングを楽しめます。本館内部は6層分の吹き抜け構造で一見の価値有りです。もちろん、エレベーターででも各階にアクセスできますし、随所に多機能トイレがあります。残念ながら、飲食店の中には店舗内玄関口段差があるのもあります。

同建物は、千代田線・銀座線・半蔵門線の表参道駅からも電動車いすで3分です。表参道駅の構内改札内外にも「Echika表参道」という商業施設&おしゃれな飲食スペースがあります。改札内のおしゃれな飲食スペースへアクセスするには、駅員に申し出て千代田線のエレベーターの特別操作による誘導が必要です。同エリアには、多機能トイレもあります。

電動車いす使用者にとって、今や都市内観光のワンダーランドと化してきたTOKYOは、ますます変貌しています。とても楽しみです。

(いまふくよしあき DPI交通問題担当)