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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2008年1月号

県知事

千葉県知事
堂本暁子(どうもとあきこ)

あけましておめでとうございます。

国では今、障害当事者やその家族の皆様にとって最大の関心事である障害者自立支援法の見直しが行われています。成熟した制度となるためには、紆余曲折があるかもしれませんが、今回の見直しにより安定したサービスが確保され、皆様にとって安心して暮らせる1年になりますことを心から願っています。

また、昨年9月に、わが国は障害者権利条約に署名しましたが、早期に批准が行われ、ノーマライゼーションの実現に向け大きな弾みとなる1年になるよう期待しています。

さて、千葉県では昨年7月、「障害のある人もない人も共に暮らしやすい千葉県づくり条例」が施行されました。そして今、県内各地で障害者差別をなくするための取組が始まっています。

この条例は、「障害があっても、住み慣れた地域で、自分らしく暮らしたい」という県民の思いから提案されました。そして2年半以上にわたって障害当事者やその家族を含む多くの方々が繰り返し議論を重ね、成立に至った条例です。まさに当事者の熱意と努力が、大きなうねりとなって、この条例を成立に導いたと言っても過言ではありません。

私は、このうねりの中心にあるのは、「自分たちの地域社会は自分たちで創っていこう」とする明確な県民の意志なのだと思います。

わが国が近代化する中で、福祉や教育など全国一律の制度が整備された反面、地域独自の個性や解決力は大きく後退してしまいました。千葉の条例づくりの中で起きた県民の動きは、いつしか失くしてしまったアイデンティティを再発見し、取り戻していくうねりであり、県民自らの手による「地域社会づくり」への模索に他なりません。

21世紀のキーワードは、「多様性」であり、その本質は、人々や地域の多様な個性や価値観を認め合うことです。そして、こうした多様性こそが、新世紀型の地域社会の「ちから」の源泉にもなるものと考えています。

千葉県の取組みが一つのうねりとなり、障害当事者をはじめとする皆様に声をあげていただき、障害者にとって暮らしやすい地域社会づくりの輪が広がっていくことを期待します。