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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2008年1月号

県知事

富山県知事
石井隆一(いしいたかかず)

富山型の共生社会の実現を

新年明けましておめでとうございます。

富山県では、赤ちゃんからお年寄りまで、障害の有無にかかわらず、誰もが一緒に身近な地域で福祉サービスを受けられる「富山型デイサービス」を推進しています。

「富山型デイサービス」は、平成5年に、3人の看護師の方々が開設された施設から始まったものであります。民家を使い、家庭的な雰囲気のもと、対象者を限定せずにサービスを提供するこの取り組みは、既存の縦割り制度にはない柔軟なサービスの形として、開設当初から全国的に注目を集めてきました。

私も、平成16年に知事に就任して間もなく、この施設を視察いたしましたが、子どもからお年寄り、障害のある方のそれぞれが、お互いに刺激を受け、本当にいきいきした表情で過ごされ、大家族のような暖かみのあるサービスを提供する姿に大変感動しました。

こうした「富山型デイサービス」は、障害者施策においても大きな役割を果たしています。平成15年に認定を受けた「富山型デイサービス推進特区」では、介護保険指定のデイサービス事業所の利用が、高齢者、身体障害者に加え、知的障害者、障害児にまで広がり、また、障害者の指定デイサービス事業所では、それまで利用できなかった障害児の受け入れが可能となるなど、サービス拠点が偏在しがちな障害福祉サービスにおいて、身近な地域におけるサービス拠点確保の一翼を担ってきました。この特区は、高い評価を受け、特区内に限らず、全国において実施できるようになっています。

さらに、平成18年7月に「富山型福祉サービス推進特区」の認定を受け、介護保険制度において創設された小規模多機能型居宅介護事業所において、障害者の受け入れを可能とし、通所サービスに加え、宿泊サービスの利用を可能にするなど、サービス拠点の確保に一層努めてきているところです。

今後、障害福祉サービスをさらに充実していくためには、従来から障害者の更生援護を支えてきた入所施設や、障害者自立支援法に基づく各種サービス事業所に加え、こうした富山型デイサービス事業所など、さまざまな形態の施設・事業所と密接に連携して、障害者のある方一人ひとりのニーズに応えていくことが重要であります。

昨年度に施行された障害者自立支援法に基づく制度の運用については、さまざまな議論がなされているところですが、その理念は、本県がめざしている「障害の有無にかかわらず、誰もが相互に人格と個性を尊重し、社会参加や就労等を通じて自立した生活ができる共生社会」の実現につながるものであり、私としても障害者施策に積極的に取り組み、人が輝く「元気とやま」の創造をめざして努力してまいりたいと考えています。