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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2008年1月号

市区町村首長

太田市長(群馬県)
清水聖義(しみずまさよし)

わが自治体における障がい福祉施策

あけましておめでとうございます。世界経済の変動も大きくうねり、衆参逆転のねじれ国会がスタートをしています。

2006年4月に障害者自立支援法が施行されました。ノーマライゼーションを根底に障がい者を施設から地域へ、という図式は美しく思えますが、あまりにも大きな変化に戸惑いも超えた混乱が生じているのが実情です。施行以来、障がい者、団体、また関係法人等から利用料の軽減等を訴える陳情が後を絶ちません。

こうした中で考えることは、小手先のその場限りの施策ではなく、大局的な見地に立った、普遍的な施策とは一体どういったものなのかということです。障がい者だから、健常者だからということではなく、この街に住むすべての市民が等しく幸せになってほしいということを基本として、幸せになるために互いの「継続した配慮」が必要ではないでしょうか。

そうしたことから本市では平成14年にスワンベーカリーを立ち上げ、社会福祉協議会が障がい者とともに運営をしています。平成16年には「エコネット・太田」という空き缶のリサイクルを行う福祉工場の運営を社会福祉法人に依頼しました。また昨年は、本年行われる全国都市緑化群馬フェアのサテライト会場予定地に100万株の芝桜を植え、その除草作業を精神障がい者の団体にお願いしました。そこは来年以降も公園として残りますが、今後も継続して除草作業をしてもらえないか思案中です。また、福祉工場で働く知的障がい者の皆さんが、休日に仲間とともに過ごせる場所の提供を行ってきました。

そして今、頭にあるのは立ち遅れている精神障がい者に対してどのような配慮ができるかということです。特に退院後の安定した住環境も大きな課題であり、社会福祉協議会等と一緒になって、地域で支える方式を考え、具現化していきたいと考えています。

スワンベーカリーにI君という青年がいます。彼はイベント会場で私を見つけると「市長さん」と親しく声を掛けてくれます。会話中の笑顔を見ると、こちらも幸せな気分になります。福祉の原点とは今も昔もこんな所にあるのではないでしょうか。I君のことなど思い出しながら考えることは、今、目の前にいる人を見据えて幸せの方向を実現していくことが「わがまちの障がい者施策」だと思っています。