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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2008年1月号

市区町村首長

四国中央市長(愛媛県)
井原巧(いはらたくみ)

生涯を見通した発達支援体制の構築

当市の自治体主導型の発達支援システムの構築は、保護者がわが子の成長や発達に何らかの不安が生じた時、子育てに困難さを感じた時に、行政がその不安に寄り添いながら将来を見据えた支援ができているだろうか、との問いかけから始まったものです。

現在、乳幼児健診の精密度や受診率は向上し、障害の早期発見がなされるようになりましたし、その後の療育体制も整備されてきました。また、学校教育では今年度より特別支援教育の理念に基づいた一人ひとりの教育的ニーズに応じた支援が開始されています。

そこで、それぞれの関係機関で行われている支援をよりスムーズに結びつけることが、保護者の不安軽減になるとの考えから、発達支援体制の基幹となる発達支援室を庁内に新設しました。発達支援室は、福祉・教育・保健・就労・医療の関係機関の横の連携によるサービスと個別支援計画による縦の連携によるサービスを提供しています。個別支援計画に基づく機関内のコーディネートと、個々のニーズに応じた長期の一貫した支援をすることで、行政や関係機関が常に連携して保護者を支えるネットワーク作りを目指しています。

そして、この発達支援システムを検討し評価する機関として、発達支援事業に関係する代表者による発達支援相談連絡会を設置しました。さらに発達支援・特別支援教育・就労支援・地域生活支援の4つの専門部会を組織することで、成長のステージに応じてより専門的な見地からの助言や協力を求めることができるようにしました。

今後支援体制の充実を図るためには、既存の療育・指導機関に多様な機能を併設し、支援者の専門性を向上させることが不可欠ですし、市立特別支援学校設置に向けての具体的な検討も期待されているところです。そして、この発達支援体制を軸とした関連資源とのネットワーク化を築くことが、自治体全体の扶助精神の再生につながり、障害により支援を必要としている人たちの生涯にわたる精神的な支えになれることを期待してやみません。

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