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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2008年2月号

工夫いろいろエンジョイライフ

実用編●絵本はアドリブ読み聞かせ!?、他●

提案者:佐藤麻衣 イラスト:はんだみちこ

佐藤麻衣(さとうまい)さん

関西出身。視力低下は12歳頃から始まり、20歳頃に両眼共0.02程度になる。中心暗点あり。普通学校のみで就学。民間企業で7年勤務し、結婚を機に退職。現在は2歳児の母親として育児を楽しんでいる。弱視者問題研究会会員。愛媛県在住。


絵本はアドリブ読み聞かせ!?

2歳の娘は絵本が大好き。図書館に行くと大喜びで絵本を出してきてページをめくる。でも、借りるときは係りの人にお願いして、絵が単純ではっきりくっきり描かれているものを探してもらう。またはよく知っているお話。文字が見えなくても絵を頼りに読み聞かせができるからだ。題して「文字無視アドリブ読み聞かせ」!? 作者さんには申し訳ないけれど、毎回セリフの変わるこのやり方になっている。もちろん、休日に夫がきちんと読み聞かせしてくれるのは非常にうれしい。また、地域の「子育て支援センター」に出向き、子どもが喜びそうな細かい絵の絵本の中から娘が選んだものを読んでもらったりもしている。

絵本のほかにお話のDVDをよく見せている。「あれ、だれ?」とか尋ねられると、いつも画面にくっつくようにして見る私を真似して、娘も近付いて見てしまうのがちょっと気になるのだけれど。


大活字本で遊びながら言葉の習得

2歳の娘は何にでも興味津々で、私に毎日「あれ、なに?」「これ、なに?」と質問攻め。子どもは細かい絵や文字が気になるのか、「これ、なになに?」と小さな指でさしながら持ってくる。そんなときはルーペや拡大読書器で一緒に確認するのも楽しい。

最近は文字を覚えはじめたこともあり、大きな文字のあいうえおとアルファベットの絵本を活用。1ページに1文字が大きくはっきり書かれている。見開きとなり1ページにはその文字が頭にくる動物などの絵。これならどこでだってゆったり教えてあげられる。「これ、なに?」などと新聞や広告の文字をさして持ってきても、「どれと一緒かママに教えて」とその絵本をめくる。自分が指差していたのと同じものを見つけると、「あった!これ一緒!」と得意げにはしゃぐ。「それと一緒なの?それは“お”っていう字よ。ほら、おおかみさんの“お”」。そんなふうにも使える。


液晶モニターのアーム取り付けでらくらくパソコン

晴眼の夫は仕事で日中は不在。実家も遠いのでやはり頼みはご近所さん。お隣さんには「私の見え方紹介カード」を渡し、お向かいさんにはよく出向く。日頃の付き合いがあると、子どもが転んだときなど、ちょっと見てもらうのには本当に助かっている。

それから、パソコン利用は欠かせない。情報収集やメールのやりとり、よく使うのはおかずやお菓子のレシピ情報。そんな大活躍の私のパソコンにはもちろん拡大ソフトや読み上げソフトを入れているが、何よりの工夫はモニターがラクな姿勢で見られること。夫が液晶モニターにアームを取り付けてくれたので好きな位置にモニターを移動できる。焦点距離が短くてもモニターはキーボードより手前に出せるので背筋を伸ばして作業ができる。これは弱視の皆さんに一押しです!!


(注)文中の「私の見え方紹介カード」は一人ひとり見え方の異なる弱視者が、自分の見え方を伝えるためのツール(著者・編集・発行 弱視者問題研究会)を掲載しています。