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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2008年5月号

フォーラム2008

身体障害者補助犬法の改正について

高木憲司

『身体障害者補助犬法』とは、身体障害者補助犬(以下、「補助犬」という)を使用している視覚障害者、肢体不自由者、聴覚障害者の自立と社会参加を促進するため、補助犬の同伴を拒んではならないこと等を定めた法律ですが、民間の職場での受け入れ等が努力義務となっていたことから、議員立法により、「身体障害者補助犬法の一部を改正する法律(平成19年法律第126号)」が成立し、昨年12月5日に公布されたところです。

この法律改正は、補助犬を使用する身体障害者の自立と社会参加の更なる促進を図るため、障害者雇用事業主にその事業所または事務所に勤務する身体障害者の当該事業所または事務所において補助犬を使用することを拒んではならないこととする(H20.10.1施行)とともに、都道府県知事(政令市及び中核市の場合は市長)が施設等における身体障害者による補助犬の同伴または使用に関する苦情を処理することの措置を講じること(H20.4.1施行)としたものです。

特に、補助犬に係る苦情等の相談については、これまでも、都道府県等の障害福祉担当課等で受けていたと思われますが、受け入れ拒否事例に限らず、訓練事業者とのトラブルや衛生管理の問題等、さまざまな相談内容が想定されることから、厚生労働省としては、都道府県等の相談窓口を支援する目的で「身体障害者補助犬受け入れ等相談対応マニュアル」を作成し、都道府県等に配布致しました。また、改正内容の周知を図るため、ポスター及びパンフレットを作成し、自治体や関係機関等への配布も行ったところです。ポスター及びパンフレットの一部については次頁に掲載しておりますので参照してください。

今後とも、身体障害者補助犬使用者の社会参加の一層の促進が図られるよう、皆様方のご理解とご支援をいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

(たかきけんじ 厚生労働省社会・援護局 障害保健福祉部企画課福祉用具専門官)


図 ほじょ犬(身体障害者補助犬)とは… ポスター拡大図・テキスト

図 ほじょ犬(身体障害者補助犬)とは… パンフレット拡大図・テキスト


■身体障害者補助犬法の概要■

1.目的

良質な身体障害者補助犬の育成及びこれを使用する身体障害者の施設等の利用の円滑化を図り、もって身体障害者の自立及び社会参加の促進に寄与すること。

2.定義

「身体障害者補助犬」とは、盲導犬、介助犬及び聴導犬をいう。

3.身体障害者補助犬の訓練

(1)訓練事業者は、適性を有する犬を選択するとともに、これを使用しようとする身体障害者の状況に応じた訓練を行うことにより、良質な身体障害者補助犬を育成しなければならない。

(2)訓練事業者は、身体障害者補助犬の使用状況の調査を行い、必要に応じ再訓練(フォローアップ)を行わなければならない。

4.施設等における身体障害者補助犬の同伴等

(1)国、地方公共団体、公共交通事業者、不特定多数の者が利用する施設の管理者等は、その管理する施設等を身体障害者が利用する場合、身体障害者補助犬の同伴を拒んではならない。ただし、身体障害者補助犬の同伴により当該施設に著しい損害が発生するおそれがある場合などはこの限りではない。

(2)民間事業主及び民間住宅の管理者は、従業員又は居住者が身体障害者補助犬を使用することを拒まないよう努めなければならない。(→一部改正事項あり。を参照。)

(3)身体障害者補助犬を同伴して施設等(住宅を除く。)の利用又は使用する身体障害者は、その者のために訓練された身体障害者補助犬である旨の表示をしなければならない。

5.身体障害者補助犬に関する認定等

(1)厚生労働大臣は、身体障害者補助犬の訓練又は研究を目的とする公益法人又は社会福祉法人であって身体障害者補助犬の認定業務を適切に行うことができるものを指定することができる(指定法人)。

(2)指定法人は、身体障害者補助犬として育成された犬であって申請があったものについて、他人に迷惑を及ぼさないことその他適切な行動を取る能力を有すると認める場合は、その旨の認定を行わなければならない。

6.身体障害者補助犬の取扱い等

(1)訓練事業者及び身体障害者補助犬を使用する身体障害者は、身体障害者補助犬の体を清潔に保つとともに、予防接種及び検診を受けさせることにより、公衆衛生上の危害を生じさせないよう努めなければならない。

(2)国及び地方公共団体は、身体障害者補助犬が果たす役割の重要性について国民の理解を深めるよう努めなければならない。

.一部改正概要等

(1)政令で定める障害者雇用事業主は、その事業所等に勤務する身体障害者が当該事業所等において身体障害者補助犬を使用することを拒んではならない。ただし、身体障害者補助犬の使用により当該障害者雇用事業主の事業の遂行に著しい支障が生ずるおそれがある場合その他のやむを得ない理由がある場合は、この限りでない。(H20.10.1施行)

(2)都道府県知事、中核市及び政令市の市長は、身体障害者補助犬使用者又は施設管理者等からの、身体障害者補助犬に係る苦情相談に応じ、必要な助言、指導等を行うほか、必要に応じて、関係行政機関の紹介を行うものとする。(H20.4.1施行)