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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2008年9月号

工夫いろいろエンジョイライフ

実用編●ロープを使ってベッド移乗、他●

提案者:陶山雄一 イラスト:はんだみちこ


陶山雄一(すやまゆういち)さん

17歳の時オートバイ事故で、胸髄損傷と左頸髄引き抜き損傷の後遺症により、右手しか動きませんが、電動車いすを利用しながら、介助者のサポートを受け、自立生活をしています。自立生活夢宙センターで活動しています。


ロープを使ってベッド移乗

私は、ベッドと電動車いすの移乗をひとりで行うことがあります。電動車いすをベッドの左側に隙間が空かないように平行に置き、右側のサイドカバーを外しベッドへの移乗を行っています。

簡単に移乗ができるように、そして敷き布団がずれないようにロープでベッドに固定して、身体をベッド側に倒しながら、右手で固定したロープを持ちベッドに身体を引き上げるようにして移乗しています。

逆に、ベッドから電動車いすへの移乗時は、ベッドと電動車いすの座面の高さが平行だと、自力で身体を電動車いす側にずらすことが困難なので、ベッドのほうを電動車いすの座面より10cmぐらい高く上げています。そして右手でロープを持ちながら身体を左右に振り、電動車いす側に身体をずらしながら電動車いすに滑り落ちるようにして移っています。

寝返りの時も、固定したロープを持ち、身体を左右に向き直しています。固定のロープは腰の辺りに来るので違和感なく!悪夢にうなされることなく!いい夢を見ながら☆ぐっすりと眠れます。


オシッコも簡単!オシャレの幅も広がりました!

外出することが好きな私は、自分がしたいときに簡単にオシッコができたら、どんなに気分が爽快で行動範囲も広がり、もっと人生を楽しむことができるのになあと思っていました……。

右手だけしか動かない私にとって、自力でパンツを脱いだり、ずらしたりすることが困難なので、以前は履きやすく脱ぎやすいパンツを第一に考え、自分の履きたいパンツやオシャレは二の次にして、機能重視の幅の広いパンツばかり履いていました。

それは、幅が広いパンツであれば、尿瓶をパンツの中に入れてオシッコができるからです。パンツが細めだと尿瓶を入れることができないので、一度、パンツを脱がなければなりません。

オシッコもしたいがオシャレもしたい、オシャレもしたいがオシッコもしたい……。

そこで、どちらかを諦めることなく考えついたのが、パンツの太股内側の縫い目に沿ってファスナーを付けることです。これなら細めのパンツでもファスナーを開けてオシッコができるので、飲みたいものも飲め、水分制限もしないでいい。何よりも自分の履きたいパンツが履けるので、オシャレの幅も広がり、外に出ていく意欲も出てくるので、行動範囲も広がり、新たな発見や人との出会いも増え、楽しみが増えました。


タオルでするっと!トイレに移乗

私は福祉住宅に住んでいます。お風呂も広いし、トイレも電動車いすで利用できるだけのスペースがあります。

自力で便座に移るときは、まず、パンツを脱ぐ必要があります。右サイドカバーを外し、ベッドに身体を傾け電動車いすの上でパンツを脱ぎトランクス1枚になります。次に便器の右側に電動車いすを隙間なく着け、左サイドカバーを外して、トイレ便座に平行移動をします。この時はトランクスを履いているので、肌が便座などにくっつくことがなく、滑るように便座に移乗することができます。

便座に座ってからトランクスを脱ぎ、用を足してから臀部を水で洗い流します。トイレットペーパーで臀部を拭きますが、汗や水分で臀部が湿っている状態では、電動車いすに移乗するにも困難です。そこで、タオル半分を電動車いすの左座面から垂らすように敷き、右足を電動車いすのフットレストに移乗させ、太股が少しタオルの上に乗るようにして、右手で電動車いすの右アームレストを持ち、身体を電動車いす座面のほうに引き寄せながら、タオルごと滑るように移乗します。

タオルを敷くことによって、臀部にも擦り傷ができにくいので!「タオルでするっと」とネーミングを付けて活用しています。