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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2008年10月号

工夫いろいろエンジョイライフ

実用編●倒れない万能マイカップ、他●

提案者:中川康男 イラスト:はんだみちこ

中川康男(なかがわやすお)さん

1962年生まれ。養護学校に11年通っていたが、施設ができたということで退学し、授産施設や療護施設に入所して18年間、施設生活を送っていた。その後、友達の影響を受けて、兵庫県西宮市で自立生活を始めた。今は、コンサートに行ったり、映画に行ったりしている。脳性マヒ。


倒れない万能マイカップ

僕は、お茶やジュースをストローで飲みます。不随意運動がありコップにあたるとこぼれてしまうからです。以前、コップが倒れないように市販のコップ置きを買ったことがあります。1、2年経ってコップ置きが壊れてしまい、新しいものを買おうとしたら販売中止になっていました。それでもお茶やジュースを飲みたいので、何かコップ置きに代わるものを作ろうと思いました。そこで、コップを潰すことにしました。

コップの底の真ん中に穴を開け、まな板を4分の1に切って底をネジで留めました。そうしたらコップが倒れなくなり自由に飲むことができたのです。このコップの中には、ペットボトルや缶ジュースもそのまま入れることができるのでさらに便利です。

福祉器具は買う人が少ないので、どうしても値段が高くなります。その点、自分で作ることができると、買うよりも安くあがるし、自分に合ったものが作れるので楽しいです。作るのには介助者が必要なので、介助者確保も忘れずに。


手作りティッシュボックス

ティッシュペーパーは、どうしても残りの2、3枚が箱の底に残ってしまいます。ティッシュボックスは一般に発売されていますが、何かを使って僕仕様のティッシュボックスを作りたいと思っていました。ある時、クリーニングの針金ハンガーがたくさんあったのを見て、それを再利用することを思いつきました。僕は一人ではできないので、まず介助者にどういうものを作りたいのかを説明して、試行錯誤を繰り返しながら作業を始めました。作業が進むにつれ針金を思うように曲げられるようになり、介助者も作ることを理解してくれました。棚に掛けたかったので引っ掛けるところを作り、ティッシュペーパーの箱が安定するように、板も使うことにしました。最終的には針金ハンガーと板と普通の針金を使ってティッシュボックスができあがりました。おかげでどこにでも掛けることができて、最後の1枚まで使えるようになりました。材料は針金なのでゆがむとすぐに直せるところがいい。自分で考えて作ることは、いろいろと工夫ができて楽しいので、時間があればみなさんも作ってみてはいかがですか。


カギの絡み防止

僕は7年前から兵庫県西宮市で介助者を雇い、一人暮らしをしています。僕は自分でカギの開け閉めができません。そのためあらかじめカギを家のポストに入れておき、介助者が家に出入りをする時は、そこからカギを取り出すようにしました。そこで、カギ盗難予防のためにいろいろと試しました。最初は、カギに紐を通しました。しかし、紐が絡まり、カギを使うたびに紐をほどくのにも時間がかかりました。そこで紐が絡まない方法として、金魚ホース(ゴムのストロー)に紐を通すことを思いつきました。はじめ3メートルの長さなら簡単に通ると思っていましたが、途中で引っ掛かって通らなくなりました。次に細い針金を通して、針金の片方に紐をくくりつけてもう片方を引っ張ればスムーズに通ると思いました。しかし、途中でまた引っ掛かってしまい、介助者と2人で汗をかきながら綱引きのように引っ張り合いをして、ようやく紐を通すことができました。太い金魚ホースにつなげたことで、もつれてもすぐに直すことができるようになりました。おかげで介助者が毎日来ても簡単にドアのカギを開けることができるようになりました。しかし、ホースに紐を通したことはだれも気が付きません。