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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2010年4月号

ピアサポーターとして思うこと

K.H.

先日、精神障害のある人々の精神科病院からの地域移行について、区役所の係りの人と保健センターの保健師さんとこらーる・たいとうの人々で話し合う機会があった。その保健師さんは、僕が高等学校の卒業式の前日に相談に行った保健師さんだった。大変お世話になったことを僕は思い出した。あの頃、僕は病識がなく、なぜ病院や施設を紹介してもらっているのか納得がいかなかった。無理を言って精神保健福祉センターまで紹介してもらったが、まともに通わずやめてしまった。

僕は統合失調症だ。一度2年間の入院を経験したことがある。現在は、精神障害者ピアサポートセンターこらーる・たいとうで職員として勤務している。

精神障害者ピアサポートセンターこらーる・たいとうでは、病院訪問をしている。僕は主に、出張こらーるカフェを担当している。コーヒーをいれているのである。僕は3年間、病院訪問活動に参加しているのであるが、いまだに人に解けこめないのである。僕は自分のためにこの活動を続けている。人の輪の中に入れなくて落ち込んだ時期もあったが、どうすることもできず、ただ通い続けた。そのうちに話せるようになるかもしれないなと思ってみたのである。そういう場所に行くこと自体、刺激となり、多少は僕の気持ちや状況が変化するからだ。

病院では入院している人々と輪になって“分かち合い”ミーティングをする。順番に最近の出来事や感じたこと、思ったことを話すのである。それと同時に、出張こらーるカフェを開き、入院している人々に1杯100円でコーヒーをいれる。僕はピアレストラン“こらーるカフェ”で、ずっとコーヒーをいれる仕事をしていたのでコーヒーをいれる役をすることが多い。

人と会話ができず、入院している人々ともコミュニケーションができてない僕である。だからもしかしたら「ピアサポーター」はできてないかもしれない。しかし、理由なく休んだりして逃げたらこれっきりになるような気がして続けているのである。

A病院の門の前の薬局の方々から「2階を利用しませんか」という話があった。長期入院者の高齢者の人々が病院の外に一歩踏み出す機会になればいいと思い、訪問活動のたびにお掃除をしたり、どうやって使おうかと話し始めたところだ。さまざまな人々と協力しあって長期入院した人々に「地域社会の暮らしを味わってもらえたらいいな」と思っているところである。

(NPO法人精神障害者ピアサポートセンターこらーる・たいとう)