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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2010年4月号

1000字提言

お見舞い

小山内美智子

皆さんは友達が入院した時にお見舞いに何を持っていこうと思いますか?今は、お花を持っていってはいけませんね。元気が出る本は病人にとって辛くなる時があります。食べ物も気遣って持ってきてくれて冷蔵庫が一杯になります。本当に難しいものです。人はげんきんな者ですから、お見舞いはやはりほんの少しでよいですから現金が良いと思います。それなら治療費にもなるし、下着や寝巻きなど自分の好みのものが買えます。

入院のお見舞い返しは日本の風習なのでしょうか?これは廃止したいものです。元気になったのなら、元気の良い写真と感謝の言葉を載せ、葉書を送ったらどうでしょうか?それだけで良いと思います。

病気になったことのない人はあげるばかりで損をすると思う人がもしいたとしたら、病気にならないことが何よりの幸福であり、自分の幸福を寂しい人に分けてあげてください。元気な笑顔が何よりのお見舞いだと思います。

私は、何度も入院を繰り返しています。体の調子が良い時は、(だれか見舞いに来ないかなぁ…退屈だなぁ~)と思うのですが、体の調子が悪い時には、だれにも会いたくありません。私のワガママでしょうか?

お腹を大手術した友人が手術の経過が良くないのでもう一度、お腹を切らなくてはいけないという時に友達とお見舞いに行きました。そして昔の恋愛話をして大笑いしました。「お腹が痛いからやめて…笑わせないで」と彼女はお腹を抱えていましたが、私は「ご主人に甘えてばかりではダメだよ。少し動いた方がいいのよ」と言って帰ってきました。翌日彼女から電話が入り、「美智子が帰った後、お腹から悪いものがすべて出て、ガスも出て手術しなくてもよくなったよ。ありがとう」と言ってきたのです。私たちは何よりのお見舞いをしてきたのだとうれしくなりました。

私は2008年、悪性リンパ腫に罹(かか)り、医師から死ぬデータばかり見せつけられました。しかし、抗がん剤が良く効き99%のガンが消えたのです。たくさんのお見舞いに来てくれた方々のお陰だと思います。一番うれしかったのは、障がいをもった仲間たちが来てくれたことや、職場を理由もなく辞めていった人が笑顔で訪ねて来てくれたことです。やはりお見舞いは、優しい笑顔が一番です。「早く良くなってね。小山内さんらしくまたけんかしようね」と言ってくれたことがうれしかった(入院中のことを書いた『私、生きるからね』(岩波書店)。ぜひ読んでください!)。

これからお見舞いに行く人たちは千円札何枚かと笑顔が一番良いお見舞いです。明るく「バイバイ!!今度は外で会おうね」という言葉が患者にとって何よりの薬になるはずです。

(おさないみちこ 社会福祉法人アンビシャス施設長)