「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2010年6月号
工夫いろいろエンジョイライフ
実用編●マイコースターの利用、他●
提案者:海老澤弥生 イラスト:はんだみちこ
海老澤弥生(えびざわやよい)さん
子育ても一段落した今、大阪府身体障害者相談員をしつつ、「茶・い・夢」という見えない、見えにくい女性の会を始めて4年目。女性が集まれば……おしゃれとランチとおしゃべり。外食を楽しむ工夫をご紹介します。
マイコースターの利用
外食をすると、たいてい出てくるのが透明のウォーターグラスです。テーブルの上に置かれたグラスに気付かず、倒してしまったことはありませんか?白いテーブルクロスの上に置かれたグラスは、同化して存在が消えてしまいます。その上、足の長いグラスであれば、いっそう倒しそうで怖いです。
そこで、安心して食事ができるよう、透明グラスの位置が見えやすくするために“マイコースター”を使っています。
コースターは、裏表どちらでも使えるように薄い色と濃い色のリバーシブルを選び、常にかばんに入れておきます。テーブルの色が白っぽいときは、コースターの濃い色の面を上にし、逆に濃い色のテーブルなら、薄い色の面を上にしてグラスを置き、テーブルの色とコントラストをつけることで、コースターの位置がはっきり見え、グラスに手を伸ばしやすくなります。
バイキングだって楽しめます
店内を移動しながらチョイスしていくバイキング料理は難しいけれど……最近はやりの“オーダーバイキング”なら大丈夫!
座席に座ったまま、好きな料理を好きなだけ注文すると、作りたての料理がテーブルに運ばれてきます。これなら視覚障害者同士で来店しても食事ができます。事前に、メニュー内容を店員さんからメールで送っていただいたものを参加者の携帯電話に送信しておくと、当日、メールを聞きながらおのおのが注文できます。
旅行先での朝食バイキングなど、従来のバイキング形式でも、事前にヘルプをお願いしておくとスムーズです。その際のコツは……「他のお客さまに熱いコーヒーをこぼすと危ないので、お手伝いをお願いできますか?」これで、バッチリです。
手伝っていただくときには、ワンプレートに何種類もの料理を入れるのではなく、スープコーナーなどにある小皿や小鉢を何枚も並べて、一種類ずつ入れると食べやすくなります。
一手間かけてらくらくバーベキュー
アウトドアと言えば“バーベキュー”。動きにくい屋外での行事ですが、準備に加われば、楽しさもアップします。そこで、焼き手さんの負担を少なく、食べやすい方法として、お肉などメイン以外は“ホイル焼き”にするのがお薦めです。
五目野菜ホイル・きのこバターホイル・じゃがバターホイルなど、ホイルの中身の野菜はなんでもOK、人数分あれば配りやすいです。
キャベツ、人参、ピーマン、玉ねぎなど、野菜の千切りとゆでジャガイモは、事前に私たちが家で用意したものを持参すれば、当日は流れ作業でホイルに包んでいくだけなので、手探りでできます。きのこ類は、小分けにして包みます。塩コショウで味付けをしますが、ここで気をつけないといけないのは、バター焼きといっても、ホイルにバターを入れるのは高温になり過ぎ危険なので、食べるときに入れます。ホイルの包み方を変えておくと、中身が分かりやすいです。
事前に準備をしたり、手探りでホイルを包む作業をしたり……、これですっかり、アウトドア派の一員です。