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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2010年10月号

わっぱの会―社会的事業所をめざして

働く人の声

マロさん

愛称マロさん(マシュマロからきてる。本名シム・ミンギョン)は韓国から今年5月にやってきて、わっぱの会の共同生活体で生活している。そして12月まで、わっぱの会のいくつかの現場でみんなと共に働きながら、映画を作るためのカメラを回し続けている。そう、彼女はわっぱの会の映画を撮ろうとしているのだ。

彼女は成均館大学法学部を卒業し、女性学を学ぶため梨花女子大大学院に入学したが、映画監督の夢をあきらめられず中退し、その後、アルバイトをしながら映画の勉強をしてきた。これまでKBSテレビ(韓国国営放送)で放映されたものには、1.超高層アパートを批判する「孤独なあなたのアパート」、2.代替エネルギーをテーマとする「森と風と太陽が寄り添うエネルギー社会」、3.社会的企業をテーマとした「希望で満ちる社会」がある。

2008年の春、友達を頼って9日間程、わっぱの共に働く現場を見学し、わっぱの会で見た風景、聞いた話を必ず後で記録して残したいと考えた。その理由を次のように彼女は言う。

「私の姉は重度の知的障害者で、養護学校を卒業したが、当初は行き先がなく、現在は施設にいるが、私や家族にとっての悩みである。わっぱの中で活発に働く人々を見て、私の中に希望が生まれた。その希望を映画を通じて多くの人々に伝えたいと強く思った。今のわっぱを撮ることで、人が共に生きる姿を描きたい。そして、多くの人々が希望として持ちうるような社会的事業所という一つの答えについても、わっぱを通じて探すことができればと思う。けれども、この作業はあらかじめ与えられた答えを探すのではない。これはわっぱの人たちにとっても、自分たちの今を振り返ることで、共に今の姿を見つめ直す記録作業として意味あるものにしていきたいと思う」

7月から始めた撮影は8分ぐらいを終え、12月には韓国に戻り、編集作業を続ける。来年秋までの完成を目指すというが、果たしてどんな映画ができるのか。