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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2010年10月号

新しい働き方の実現
~日本スローワーク協会の就労支援の取り組み

働く人の声

日本スローワーク協会・スロースペース事業部「まごのて」

引きこもりを経て「就職」してからの日々。働き、生活費を稼ぎながら生きてゆくことに何の疑問も抱かずにきましたが、経済不況のなか共に働く人たちが次々とリストラされていく現状を目の当たりにした時、競争社会ゆえの、そこに座れる人、座れない人が必然的に生じてしまう椅子取りゲームのような世界を痛感したことが、日本スローワーク協会で事業を始めさせていただく大きなきっかけとなりました。

履歴書や職務経歴を一つの目安に、即戦力を必要とする一般企業とは違い、引きこもり・ニート・障がいのある方も「働きたい」気持ちがあれば働ける場所を作ることを目標に掲げ、当面は、私自身が培ってきた運転手の経験を活(い)かし、トラックを使用した運搬業(不用品処理・引越し・配達など)と、同じ自立支援団体で出会えた仲間の培ってきた清掃業を柱とし、今後、関わってくださる人たちの人柄や特技を活かせる「何でも屋」の窓口を築きたいと思っています。地域、横の繋がりを大切に、背中だけではなく生活上の届きそうで届かない、かゆい所に手が届くイメージを描き、事業名を「まごのて」と名付けました。

今は地域の方たちとの繋がりを育むため、地域の行事など、ボランティアとしてお手伝いできる所に出させていただき、ともに自分たちの活動を伝えていくところから始めています。まだ始まったばかりですが、小さな出会いを大切に事業の芽を育んでいきたいと思います。


働く人の声

カフェ・コモンズでの仕事

光藤彰(みつどうあきら)

私は日本スローワーク協会の就労支援の活動を経て、カフェ・コモンズで働くようになりました。就労継続支援A型事業の場であるランチカフェタイムで、週に2日ほど調理担当と運営責任者をしています。

もっと集客力を高めることが大きな課題なのですが、仕事の体験ということでコモンズを営業していて思うことを書いてみます。

普段は調理の下準備や注文後の仕上げをみんなにもやってもらっていますが、各々がいつもやっている作業やできることをして、自然と作業を分担している状態になっています。その時のメンバーによっては作業の分担がうまくいかず、自分は日替わり定食の調理に時間をとられている中で大部分の作業をやらざるを得ない時があります。

仕事中の居場所作りとしても、状況に柔軟に対処するためにも、みんなに仕事を振って覚えてもらおうとしています。しかし、体調が良くなかったり気後れしてしまいできないという場合もあれば、自分から仕事を限定してしまっていて断られたり、フラットな人間関係が悪いほうに働いて指示が通らなかったりと、コミュニケーションのとり方に苦心しています。

それでも少しずつでも仕事を覚えていってくれているので、ゆくゆくは調理も全部任せられれば、コモンズの経営に力を注ぐなり新しいことを始めるなりして、仕事の場を広げていけるのではないかと思っています。