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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2010年12月号

列島縦断ネットワーキング【福岡】

ときめきプロジェクト2010始動
―障がい者施設の商品が身近にあふれるまちを目指して―

町宗博

「ときめきプロジェクト2010」は、障がい者の就労支援の取り組みとして平成22年度から始まりました。

今回のプロジェクトのポイントは「連携」です。これまで、市役所の保健福祉局と経済振興局とが別々に障がい者施設への支援事業を行っていましたが、プロジェクトにより、それぞれの事業を連携するようにしました。

その他、福岡市では、障がい者施設の商品を集めたアンテナショップ「ときめきショップ」や障がい者施設の商品の紹介雑誌「ariya」の発行など、民間側での盛り上がりがありました。この動きもプロジェクトにより、連携するようにしました。

グルメ雑誌のようなデザインと編集のときめきブック

プロジェクトの第一弾は、ときめきブックの発行と、ときめきウェブの運用開始とPRポスターの作成でした。

ときめきプロジェクト2010は、今年3月の市長定例会見で発表したのですが、プロジェクトの最初の取り組みとして、福岡市内85か所の障がい者施設の商品を紹介したカタログ「ときめきブック」とホームページ「ときめきウェブ」を紹介しました。

また、市長定例会見と同時に、ときめきプロジェクト2010のPRポスターを市内の地下鉄掲示板などに掲示しました。

特に反響が大きかったのは「ときめきブック」でした。取材や編集に時間をかけて取り組んだ結果、グルメ雑誌のようなデザインと内容に初めて見る人は一様に驚いていました。

ポスターについても、ときめきブックのデザインに連動して作成した結果、とてもインパクトのあるデザインとなり、ポスターのキャッチコピーの「ときめき、咲く。」は、プロジェクトの共通イメージとなっています。

イベントを企業や商店街と連携

ときめきプロジェクト2010の中心は、「ときめきCITY“ふくおか”実行委員会」です。

この実行委員会は、「ariya」を発行している方やときめきショップの代表の方のほか、学識経験者や企業経営者などで構成しています。

イベント運営についても、これまで、障がい者施設のイベントを数多く手掛け、障がい者施設の商品や作品に大きく貢献してきた企業に依頼し、委員会や運営会社、ともに充実したメンバーで臨むことができました。

プロジェクトとして次に取りかかったのが、障がい者施設による陶器市でした。博多区にある上川端商店街では、3月に起きた商店街内での火災跡地にイベント会場があり、そこを利用して陶器市を開催することができました。商店街による積極的な協力もあり、売り上げも上がりました。

その後、参加した障がい者施設が売り上げの一部を復興のため寄附をすることにより、商店街に恩返しをすることができました。

そして、プロジェクトの中心的取り組みとして行ったのが、障がい者施設の商品コンクール「ときめきセレクション」と商品の展示・販売イベント「ときめきCITY“ふくおか”」です。

ときめきセレクションは、市内の障がい者施設が商品のエントリーを行い、選考委員会による選考後、市民投票を経て最終選考で、ときめきセレクション金賞6商品を決めるものです。

商品の販促とPR作戦

ここまでは保健福祉局の事業なのですが、今回は経済振興局との連携により、ときめきセレクションの第1次選考を通過した20商品については、販売促進のためのアドバイザーの派遣を受けることができるほか、来年の1月には、20商品の販路拡大を目的としたビジネス商談会を開催するなど、受賞だけでなく、その後のフォローを充実し、真に商品の販売促進につなげることとしています。

またPRについても、ときめきセレクション市民投票のためのカタログの配付や、イベント会場内での市民投票の実施により、商品の露出度を高くしました。

最後の総仕上げが、ときめきCITY“ふくおか”でした。イベントは、福岡市中心部の天神にあるイムズという商業施設前で実施しました。そこで、ときめきセレクション商品の展示・販売や、イムズ店舗内でのセレクション商品の期間限定販売のほか、カフェを開設し、障がい者施設で作られたお菓子と一緒に施設で挽かれたコーヒーを提供しました。

また、イベントステージでは、施設のアーティストによるライブパフォーマンスを開催しました。福岡市で最も人通りが多い場所ということもあり、いずれのイベントも大盛況でした。

プロジェクトのこだわり―PRとイメージ

今回のプロジェクトで特にこだわったのが「PR」と「イメージ」でした。

今年は初年度ということもあり、まずは魅力的な障がい者施設の商品をできるだけ多くの人に知ってもらうことが課題でした。

まず取りかかったのが、障がい者施設の商品の呼び名でした。これまでは、障がい者施設で作られた商品を「授産製品」と呼んでいました。

しかしながら、「授産製品」という言葉はとても一般の人にとってなじみのない言葉で、福祉の壁を感じてしまうものであったため、今回のプロジェクトからすべて「障がい者施設の商品」と呼ぶようにしました。

次に取り組んだのが、さまざまな広報媒体の活用でした。大事な発表については、市長から行ったほか、福岡市が持っている広報テレビ番組や、ラジオ、広報誌、デジタルサイネージ(電子看板)を使ってプロジェクトやイベント広報を行いました。さらにホームページやブログ、ツイッターといったインターネット媒体を利用し、イベント開催中もツイッターなどでPRを行いました。その結果、多くの人にプロジェクトを知ってもらうことができました。

最後にこだわったのが、デザインでした。ときめきセレクションやときめきCITY“ふくおか”に関するデザインは、若い女性が多い福岡市中心部で発表することを意識し、ピンクで統一しました。PRのためのカタログやポスター、イベント会場の装飾に至るまで、デザイン、色、字体まで徹底的にこだわり、見る人に明るくキュートな印象を持ってもらうことを意識しました。

その結果、イベント会場でも、若い女性を中心とした多くの方に来てもらうことができました。

ときめきプロジェクト2010は、まだ始まったばかりですが、来年度以降もさらに充実した取り組みを行っていく予定です。

来年度は、商品を知ってもらうだけでなく、商品を通して、みんなで「ときめき」が感じられるような企画を考えています。

このプロジェクトは、障がい者の就労支援のための取り組みであると位置付けていますが、障がいのある方が作った商品を通して障がいへの理解が深まり、福岡市の街全体がプロジェクトのコンセプトである「障がい者施設で作られた商品が身近にあふれるまち」になることを信じて進めていきたいと思っています。

(まちむねひろ 福岡市保健福祉局障がい者在宅支援課)