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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2011年2月号

工夫いろいろエンジョイライフ

実用編●会社では…電子メールの「署名」欄に一工夫、他●

提案者:藤田克己 イラスト:はんだみちこ

藤田克己(ふじたかつみ)さん

4歳の頃に失聴。105デシベルで手帳は2級。大学まで健聴者と一緒の学校に通い、現在会社員。NPO法人東京都中途失聴・難聴者協会での活動のほか、地域の難聴者の会の代表もしている。図書館司書の資格を持っており、手話のできる図書館員になるのが夢。


会社では…電子メールの「署名」欄に一工夫

今の会社に入社して、今年で24年目。健聴者の中での会社生活も慣れてきました。最大の悩みであるコミュニケーション方法ですが、パソコンが社員一人一台の今、電子メールが電話代わりになっています。

以前は、電話ができないため、直接、出向かなければなりませんでした。出向いても、言っている内容が分からないと何にもなりません。電子メールを使えば、いろいろとコミュニケーションできるので大変便利です。

でも、メールをしても、電話で返事をくれる人もいたり、中にはメールで連絡するのは失礼だと思っている年配の人もいるかもしれません。そのため、メール文の最後の「署名」欄の中に、「私は聴覚障害者です。お手数をおかけしますが、連絡はメールでお願いしております。」と書き加えています。そうすることで、メールでのホウレンソウ(報告、連絡、相談=「報・連・相」)もできるようになりました。


街の中では…聞こえないことをアピールして積極的にコミュニケーション

街の中では、いろいろなシーンでコミュニケーション問題に向き合うことがよくあります。

病院や銀行などの順番待ちでは、自分の名前や番号を呼ばれても、気が付きません。

病院の場合、私は、携帯型双方向無線振動呼出器「合図くん」を持っていき、自分の名前と「この名前を呼ぶ時は『呼出』ボタンを押してください」と書いた紙を入れたキーホルダータイプのネームホルダーをもう一方の合図くんにつけ、これを受付に渡しています。また、診察券や保険証に「耳マーク」のシールを貼って、聞こえないことをアピールし、「私は、あそこにいます」といる場所を指定しておけば、手で合図してくれます。

銀行では、番号札を取る前に、近くに立っている警備員や銀行員に耳マークカードを見せたり、聞こえないと言えば、代わりに番号札を取って、対応してくれます。

お店で品物を注文する時には、最初から紙や筆談ボードで書いたり、携帯電話で文字を打ったりして、お店の人に見せれば、同じように対応してくれます。


家族などでは…便利な手作り筆談ボード

私は子どもの時に聞こえなくなったので、読話は自然に身に付いています。そのため、家族や友人などとのコミュニケーションは読話がほとんどですが、分からない時もあるので、手作り筆談ボードを使っています。

お好みの生地、好きな大きさにカットできるホワイトボード、厚紙、ボンド、フェルト、紐があれば、簡単にできます。

私が使っている筆談ボードの大きさは、A5サイズとB7サイズ。特に、B7サイズはシャツの胸ポケットに収まるので、お店での注文、駅・役所・病院・銀行など、いろいろなシーンで便利です。

ホワイトボード用のペン差しも付け、字を消すためのフェルトを紐でボード本体に付けます。フェルト部分を収めるポケットもペン差しのすぐそばに付けるので、かさばることもなく、すごく便利です。

自分で作るのが面倒な人には、販売もされています。NPO法人東京都中途失聴・難聴者協会では4種類の大きさのものを販売しています。