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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2011年6月号

時代を読む20

日本で初めての本格的な自立生活センター、ヒューマンケア協会の設立

1986年6月、八王子市に初めての自立生活(IL)センター『ヒューマンケア協会』が誕生した。

呼びかけに集まったメンバーは、代表の中西は通所センター若駒の家のメンバーで頚損、ピアカウンセラーの安積、樋口、阿部はバークレーの自立生活センターで研修を修了している。野上は社協の経歴がありポリオと、全員障害をもっており、士気は高かった。

日本で初めての本格的なILセンターを作り、全国に広めることが使命であることを全員が確信していた。

ILセンターは、運動体として行政へ交通アクセスや介助サービスの充実などを要求するとともに、サービス事業体として24時間の介助サービス、障害者の心理的なサポートをするピア・カウンセリング、障害文化の継承であるILプログラム、その他障害者が地域で暮らすために必要なすべてのサービスを提供する新たな組織である。

運営委員会で決められた目標は、1.当事者主権(障害者がサービスの受け手から担い手に代わり、社会的な地位を高めること)、2.ニーズ中心の福祉サービスの実現(最重度の障害者が暮らせる24時間の介助サービスの制度化)、3.ILセンターの国制度化、4.福祉の自由化(NPO法人制度の確立)であった。

ピアカウンセラーは全国を駆け回り、講座を開催し、各地にILセンターを開設して回った。協会では介助サービスを有料ではじめ、東京都の介助サービス制度化の追い風を受け、規模が拡大していった。キリン福祉財団の支援を受け、世界8か国のILセンターでの研修でノウハウを習得し、東京都の地域福祉振興基金の助成を受け、経営基盤を確立させた。開設後10年目の1996年に国の制度化である市町村障害者生活支援事業が始まり、発足時の目標はすべて実現した。

2011年までに、アジア8か国でのILセンターの設立を支援し、来年より、アフリカでのILセンター研修プロジェクトを開始する。

(中西正司 ヒューマンケア協会代表)