「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2011年6月号
自治体の支援施策 東京都中野区
民間賃貸住宅住み替え支援事業
中野区都市基盤部都市計画分野
中野区は東京都23区西部に位置し、人口は31万人、人口密度が23区で一番高い区です。都心に近く交通の便が良いことから、若者に人気の町となっています。
今回は、住み替え住宅の情報提供と居住安定支援事業をご紹介します。いずれも高齢者世帯や障害者世帯、ひとり親家族などの賃貸住宅住み替えがスムーズに行われるようお手伝いをすることを目指しています。
住み替え住宅の情報提供
この制度は、区内の民間賃貸住宅に転居をする、高齢者世帯、障害者世帯、ひとり親家族を対象に、区内の住み替え支援事業協力店の協力により、住み替え住宅の情報提供を行います。
対象となる方は、区内に居住し、以下のいずれかに該当する世帯です。
- 65歳以上のひとり暮らしの方、または65歳以上の人を含む60歳以上の方だけの高齢者世帯
- 身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳または愛の手帳を持つ方がいる世帯
- 18歳未満の児童がいるひとり親世帯
- その他、自ら物件を探すことが困難な方
まず、担当者が相談者の方に現在のお住まいと生活の状況やどのような条件のお住まいに住み替えをしたいのかなどをお聞きします(転居の理由、世帯の構成、お住まいの間取り等)。お聞きした内容をもとに、担当者が書類を作成し、相談者の情報(個人情報に係る内容は除外します)を登録している不動産店に提供し、その条件に合った物件を紹介していただきます。
担当者から相談者の方へ、紹介いただいた物件の情報を提供し、その中から気に入った物件があれば紹介先の不動産店を訪問し、契約に向けて具体的な話をしていただくことになります。
利用実績は平成22年度で31人です。利用者は高齢者が多くなっています。
居住安定支援事業
この事業は、保証人がいないために、区内での住み替えができない高齢者世帯・障害者世帯の方に対して、区と協定を締結した民間の保証会社をご紹介し、その保証料に対する助成と、区の見守り支援を行うことによって、住み替えを支援する制度です。
(1)債務保証サービスの利用助成
保証人がいない高齢者や障害者世帯が民間賃貸住宅へ住み替える場合に、区と協定を締結した民間家賃債務保証会社を利用する場合にその保証料の一部を助成します。
○事前に窓口で相談の上、区内転居3か月以内に必要な書類と合わせて「金銭保証事業に係る保証料の助成金交付申請書」を提出していただきます。
○助成の要件に該当した場合には、「金銭保証事業に係る保証料の助成金交付決定通知書」をお送りします。その後、助成金の請求の手続きをしていただくことになります。
【必要な書類】
1.世帯全員の住民票の写し(続柄記載のあるもの)、2.世帯全員の前年の所得を証明する書類(住民税課税証明書、源泉徴収票、確定申告の控えなど)、3.保証会社との契約書及び保証料の領収書、4.転居をする前及び転居後の民間賃貸住宅の賃貸借契約書、5.その他区長が必要とする書類(身体障害者福祉手帳、精神障害者保健福祉手帳、愛の手帳など)
次のすべての要件を満たす世帯が対象となります。
- 65歳以上のひとり暮らしの方、または65歳以上の人を含む60歳以上の方だけの高齢者世帯または障害者世帯(身体障害者手帳1~4級、愛の手帳1・2度、精神障害者保健福祉手帳1・2級の交付を受けた者を含む世帯)
- 中野区の民間賃貸住宅に2年以上居住していること。
- 前年の収入が月額200,000円以下であること。
- 緊急連絡先(連帯保証人とは異なります)が確保できること。
なお、助成額は、債務保証制度の保証料の2分の1です(ただし、15,000円を限度とします)。
*契約更新時の保証料については、助成の対象とはなりません。
(2)見守り支援
区内で住み替えをした高齢者世帯・障害者世帯の方のご自宅を、月に1度訪問員が訪問し、日常生活の状況確認と身の回りの相談をお受けすることにより、住み慣れた地域で安定した生活ができることを目的としています。
○事前に窓口で相談の上、区内転居3か月以内に必要な書類と合わせて「見守り支援申請書」を記入・提出していただきます。
○申請書により審査を行い、助成の条件に該当した場合には、「見守り支援実施決定通知書」をお送りします。
○支援の実施の決定後、訪問日時については、利用者の方と事業者の間で相談していただくことになります。
【必要な書類】
1.世帯全員の住民票の写し(続柄記載のあるもの)、2.世帯全員の前年の所得を証明する書類(住民税課税証明書、源泉徴収票、確定申告の控えなど)、3.転居をする前及び転居後の民間賃貸住宅の賃貸借契約書、4.その他区長が必要とする書類(身体障害者福祉手帳、精神障害者保健福祉手帳、愛の手帳など)
対象となる方は、(1)債務保証サービスの利用助成の1~3と同じです。
*介護保険法、障害者自立支援法の居宅介護を受けている方は対象となりません。
現状と課題
高齢者等の民間賃貸住宅の住み替え時の債務保証サービスの利用拡大を図るため、国の債務保証会社の登録制度の移行を踏まえた新制度に変更すると同時に、区民が利用しやすい助成額とするように見直したいと考えています。