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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2011年10月号

東芝サマーインターンシップ
~未来につながる夏のチャレンジ~ 障がい学生の職場体験

(株)東芝 人材採用センター

1 東芝が考えるインターンシップについて

人財育成の核となる大学等において、アカデミックな教育研究と社会経験を結び付け、学生の学習意欲を喚起する契機が求められており、学生に対しても、自己の職業適性や将来設計について考える機会を提供し、高い職業意識を醸成することで就職後の職場への適応力や定着率の向上を図る場が求められている。こうした状況の中、産学連携による人財育成の一形態であり、学生が自らの専攻や将来のキャリアに関連した就業体験を行うインターンシップが、社会から必要とされている。

当社では2001年より、インターンシップ公募を始めており、ここ数年における大学や学生のインターンシップに対する意識の高まりは著しく、受講希望者は年々増加する傾向にある。

2010年からは、障がい学生が応募しやすいように、ホームページやポスター等で、障がい学生インターンシップ公募のPRを行った。その結果、参加者は、2010年は3人、2011年も3人となった。

今後の課題として、もっと多くの障がい学生に参加していただくために、積極的にPRを行い、~未来につながる夏のチャレンジ~の場を提供していきたい。

2 インターンシップの目的

(1)社会的責任の遂行

1.実践的な人財の育成

インターンシップによって学生が得る成果は、就職後の企業等において実践的な能力として発揮されるのであり、実社会への適応能力がより高い実践的な人財の育成につなげる。

2.当社に対する理解促進

大学等と当社の接点が増えることにより、相互の情報交流の促進につながり、企業等の実態について学生の理解を促す契機とする。

(2)社員の指導力強化

学生の受け入れを通して、若手社員の指導力強化や社内組織の活性化につなげる。

3 2011年募集要項

【実施期間】

営業・スタッフ系:8月23日(火)~9月2日(金)

エンジニア系:1.8月23日(火)~9月2日(金)、2.8月23日(火)~9月16日(金)、3.8月23日(火)~9月30日(金)

【募集対象】高専本科生・専攻科生(技術系のみ)、大学学部生、修士生の方

【募集人数】営業・スタッフ系30人、エンジニア系100人

【実施内容】営業・総務人事・財務経理・調達、研究開発・設計・生産技術・品質保証・知的財産など

【実施場所】本社(東京都港区)研究所、工場、およびグループ会社(東京・神奈川が中心)

【勤務時間】8時30分~17時(但し、事業所によって異なる場合があります)

【宿泊施設】現居住地から通勤が片道2時間以上の方に無償で提供します。

【食事代】勤務日1日につき1,000円を支給します。

【交通費】当社規定により支払います。

【日当】支給しません。

【傷害保険】当社にて加入します。

【募集期間】6月1日(水)~6月19日(日)まで

【応募方法】日経就職ナビまたは、東芝採用ホームページの「インターンシップエントリー画面」から応募。

4 2011年実施概要

・8月23日(火)集合研修:会社概要・技術戦略の講演、グループワーク、ビジネスマナー研修

・8月24日(水)~9月1日(木)職場体験

・9月2日(金)集合研修:プレゼンテーション研修、グループワーク、成果発表会

初日は、翌日の職場体験実習に備えて、ビジネスマナーや東芝について理解を深めてもらう研修を行う。最終日は、個々人の職場体験実習で得たこと、感じたことをグループでディスカッションをし、最後にグループごとに体感したことを発表する。インターンシップ修了式にて、修了証書を手交した。

5 職場体験事例

◎聴覚障がいAさんの職場体験

インターン先:研究開発センター研究企画部/専攻:産業技術学部産業情報学科

(東芝採用ホームページよりご紹介 www.toshiba.co.jp/saiyou/

東芝インターンシップを選んだ理由:大学院で学んでいる有機化学とは、あえて違う分野に飛び込んで、広い視野を持ちたかった。環境に配慮した社会をつくる、という東芝のビジョンに共感。

こんな仕事を体験しました!

これから東芝が参入しようとしている市場にライバルがどの程度、研究開発を進めているのかについて情報検索を行い、今後の開発戦略の判断材料となるデータを作成しました。決められた時間の中で仕事をすることは大変でしたが、毎日朝9時から深夜遅くまで続く大学の研究と比較すると、肉体的な疲労度はなく、健康的な毎日を過ごすことができました。研究部門というのは、その研究内容を深く追求することが主体となりますが、同時に広い視野を持つことが重要です。その視野を広げる部分を担っているのが、研究企画部。ここでの研究は、研究者を目指す僕にとって、重要な経験となりました。早く社会人になりたいですね。

内側から見た東芝!

厳しくプライドが高い人たちばかりというイメージでしたが、実際は、気さくな人柄の方が多く、アットホームな雰囲気が印象的でした。研究という仕事の性質上、仕事に集中して作業していますが、とてもリラックスしています。一流の研究者は、スイッチの切り替えが上手なんですね。

こんな先輩社員と出会いました!

先輩社員には、仕事について厳しく指導していただき、社内のことは丁寧に教えていただきました。「視野を広げること」の重要性を教わり、もっと勉強したいというモチベーションが高まりましたね。

環境×東芝

省エネ家電や150万本の森づくりなどの事業は、東芝がいかに地球環境を重視しているかの証だと思います。技術のチカラで、時代の課題を解決していけることを実感できました。

インターンシップの1日

7:00 起床
9:15 出社
9:30 情報集め、まとめ 前日に情報の集め方、まとめ方をレクチャーしていただき、その方法に則って情報検索
12:30 職場の方とランチ 学食並みの値段とおいしさに驚きました。 
13:00 再び情報検察・まとめ 情報検索をしていると他社の事業内容も知ることができて、いい経験になります。
18:00 退社 
23:00 就寝

◎聴覚障がいBさんの職場体験

配属先:社会インフラシステム社府中事業所/専攻:産業技術学部産業情報学科

(インターンシップレポートの一部をご紹介します)

感じたこと

私が担当したシステムの開発過程において、自分で考えて学ぶことを経験した。大学では覚えるために効率の良い課題が出される。しかし、会社では利益を上げるために効率の良い課題が出される。私は、担当者の方から全く知らないperl言語でプログラムを実装する課題を出された。サンプルとなる、前の工程で作成されたプログラムを受け取り、いきなり、ここから自分で学ぶことになった。大学の講義とは異なり、職場からプログラムに関する解析の説明は行われなかった。これが職場の世界であることを実感した。

このような状況で仕事が開始されたが、私はプログラム言語を知っていたため、プログラムはどのようなものか分かっていた。元となるプログラムに対して分からない命令や記法等を、インターネットで調査を行い、ワードにコメント文をつけて解析を行った。実習の終わりに近づくにつれて、調べる機会は減り、逆に自分のアイデアでプログラミングを行い、エラー等も自力で発見することができるようになった。1週間みっちりと同じことを続けることで、自然に未知の言語や職場の雰囲気にも慣れていき、安心感を得ることができた。もっと職場にいたい気持ちになったこともあり、充実したインターン期間であった。

今後への決意表明

職場では幅広い分野を扱うため、大学の講義、課題そのものは役に立たないことが多い。しかし、教員や課題に対して、自分の考えを持ち、考察として書いたり、自分の考えを持ってプログラムの機能の追加等を行ってきた。このように自分で考えるという努力が職場では重要であると実感したので、以降の講義では、より自分の考えを加えるようにしていきたい。また、夏休みには卒業研究が始まる。自分でテーマを決める段階から考え抜いていく期間に入る。自分で何をするかを見つけるのは難しいと思うが、職場では、常に、このような状況に直面すると思う。卒業研究は、職場で働くのと同じ心構えで進めていきたい。

6 2012年に向けて

東芝は“ダイバーシティ(多様性)”を大切にしている企業である。さまざまな個性を持つ人材が集うことで、企業として活力が生まれる。障がい者採用に積極的に取り組んでいるのもその一環である。

今後も、インターンシップを通して、障がい学生一人ひとりが、自分の可能性を限定せず、将来に向けて大きなビジョンを持つことができるように、積極的に取り組んでいく所存である。