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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2011年10月号

体験
私の障害と就職活動について

七転び八起き

私は大学時代に交通事故による頭部強打で脳外傷を受傷し、高次脳機能障害となりました。物事を記憶することが難しい記憶障害、物事を計画的に手順良く遂行することが難しい遂行機能障害です。

社会生活復帰のためのリハビリでは、私の記憶・思考の代償となる手段(メモ・ボイスレコーダー等)を利用して生活する訓練を中心に行いました。

卒業前の就職活動では、次の4つの機関を利用しました。1.(株)イフ総合研究所主催障害者就職イベント、2.ハローワークでの職業能力評価の受験、3.品川労働局六本木ジョブパーク障害者就職イベント、4.大学の障害学生支援室。これらを利用し、100社を超える会社の採用試験に臨みました。

受傷後の学生生活と就職活動では、次のことを特に心がけました。

他の人には分かりづらい自分の障害を人に分かりやすく説明する=見た目では分かりづらい高次脳機能障害を、難しい医療用語は極力使用せず、周囲の人に説明・理解してもらうことを心がけました。なお、「自分の障害について、仕事に取り組む上での困難点と職場で支援を受けたい点」を文書にして、就職試験の時に持参しました。この文書も、分かりやすく書くように心がけました。

障害者であることを前向きに捉え、周囲に助けを求められるようにする=これが私にとって一番難しいことでした。

周囲の人に自分は障害者であることを何度もアピールする=前述のとおり、高次脳機能障害は見た目だけでは障害者であるという判別が難しいため、周囲の人に障害者であることを忘れてもらわないように努力しました。

前向きであること、明るいこと=前向きに明るいことで多くの人が援助してくれます。就職活動の際も、後ろ向きで暗いとマイナス評価につながることが分かりましたので、前向きで明るく振る舞えるように努力しました。

私は、大学卒業後民間会社に就職し、初年度は人事部に所属しました。今年の8月からは、総務部に異動となり事務補佐、社内全般の資産・備品管理等を行っています。

現在も、社員には私の障害を理解してもらうよう説明し、声かけをはじめ指示記録を残す援助等をお願いして業務に取り組んでいます。援助をしてもらうことは、決して甘えではなく、会社と私が仕事を介して成功するwin-winの関係を築くためにとても重要なことであると考えています。

最後に、今も心がけていることを紹介したいと思います。障害者であることで、さまざまな困難があります。しかし、困難なことがあっても周りの人に助けてもらうこと等さまざまな挑戦をすることで解決の糸口が見つかります。社会生活不適合者=障害者ではなく、社会生活に新しい光を見いだす挑戦者=障害者(Challenger)であれるよう常に挑戦していきたいと思います。