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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2011年10月号

体験
IT業界へ向けての就職活動

三上勇輝

私は、生まれつき脳性マヒからなる四肢マヒで電動車いすに乗って生活をしています。現在、湘南工科大学の工学部に在籍して、プログラミング等を勉強しています。

今まで私は障碍者だから大変だと思ったことはありません。健常の方が途中で障碍になってしまったのと違い、感覚的に違和感が少なく自分自身のことを客観的に理解できるからだと思います。

就職活動を始めるにあたり、障碍者雇用を求人している機関やインターネットの求人サイトを探しました。まずは市内の就労支援センターを回り、登録をしました。ただ問題なのは、市内にある支援センターでは、新卒採用を行っていないことが多く、「ここでは、新卒や身体障害はあまり扱っていないので…」と冷たくあしらわれたのを覚えています。そのため、障碍者雇用の新卒を扱っている支援センターを探し、東京まで登録に行きました。

現実的になってきた就職という問題、学生から社会人になるという不安がありました。自分は本当に企業に就職して働けるのか、社会人として通用するのか、自分に何ができるのか、さまざまな不安が襲ってきました。こういう不安は健常者、障碍者関係なくあると思います。もともと不景気で採用状況が厳しいことは知っていましたが、セミナーや説明会、就労支援機構の方々から、改めて採用状況を聞かされ、想像以上に厳しい状況を知りました。

次に、障碍者対象のセミナーや説明会に行っても、上肢・下肢・聴覚・視力・内部といった障碍の方々が多かったです。車いすに乗っている人は、全体の1割程度もいませんでした。ここでも、まだ車いすに乗っている人の社会参加は難しいのかと改めて現実を確認しました。ましてや脳性マヒの自分はどうなのだろうと思うこともあったのですが、私は自分の人柄を見てもらえれば何とかなると思うようにしました。

最後に、就職活動をしていてプラスになったことを紹介したいと思います。まずはコミュニケーション能力のアップです。これは説明会や面接で全く知らない人と話す機会が増えたためです。次に、考え方や文章の書き方等勉強になったことがいろいろあります。なので、障碍があろうと怖がらず、動いてみてください。その中で得られるモノはたくさんあると私は就職活動を通して感じました。もっともっと障碍者の方々が社会参加を果たせば、周りの人々の目も変化し、今以上に社会の重要な一員として認められるようになると思います。

(みかみゆうき)