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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2012年1月号

時代を読む27

第60回「手足の不自由な子どもを育てる運動」を迎えて

「手足の不自由な子どもを育てる運動」は、当協会創設者である故高木憲次博士が昭和20年代の肢体不自由児に対する劣悪な社会環境を改善すべく地域社会における肢体不自由児への理解ならびに療育思想の普及促進を図るべく提唱して昭和28年に始められた運動であり、本年はこの運動が第60回という節目の年を迎える。

この運動は、当協会と各道府県(東京都は当協会が担う)肢体不自由児協会との共催により行われており、毎年11月10日から12月10日までの1か月間の運動期間中を中心として「友情の絵はがき」「愛の絵はがき」「ゆーむとあーむのクリアファイル」及び「ゆーむとあーむのエコバッグ」を頒布しての寄付金募集活動を行い、これにより得られた寄付金は「肢体不自由児・者の美術展」「各種療育キャンプ」及び「高校生奨学金」などの事業に役立てられている。

これら事業の中心をなすのが「肢体不自由児・者の美術展」の開催事業である。1981(昭和56)年に国連が定めた「国際障害者年」ではさまざまな記念事業が行われ、これを契機として翌57年を初年度とする国際障害者年長期行動計画の実施に呼応する意味から、当協会においても肢体不自由児・者の生きがいづくりに資するとともに、障害者に対する理解を促進することを目的として、全国の肢体不自由児・者より美術作品を募集し、12月3日から始まる障害者週間に合わせて4日間にわたる美術展を開催してきている。毎年開催されるこの美術展の初日には、厚生労働省、文部科学省、東京都をはじめ多くの関係機関並びに企業からの後援を得て、絵画・書・コンピュータアートの各部門から選ばれた特賞受賞者の表彰式を行っている。

今年度は、美術展の開催も第30回目を迎え、昨年12月8日から11日までの4日間、従来の東京開催を特殊事情から神奈川県川崎市の川崎市市民ミュージアムにて「第30回肢体不自由児・者の美術展」を開催し、その初日には当協会の総裁常陸宮殿下並びに同妃殿下のご臨席を賜り3部門での特賞受賞者への表彰式を行った。美術展は今後、全国各地(昨年度は大阪、福岡、沖縄、新潟等)において開催されることとなっている。

以上のように、「手足の不自由な子どもを育てる運動」が半世紀以上の永きにわたって継続することができたのは、各道府県協会の並々ならぬ努力とご協力があってのことであり感謝申し上げるとともに、日本障害者リハビリテーション協会をはじめ、これまでこの運動にご理解とご支援をいただいた関係機関・企業に対して御礼を申し上げ、今後のご支援をお願い致したい。

(井田千昭 (社福)日本肢体不自由児協会常務理事)