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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2013年12月号

参加者の報告

障害と開発ハイレベル会合(HLMDD)に参加して

長瀬修

1.障害者の権利条約(CRPD)という人権課題としての障害という流れと、HLMDDに示される開発課題としての障害という流れの2つがあることを再確認した。障害者の権利条約の第32条(国際協力)が示すように両者が重なりあう部分もあるのは、HLMDDの事務局を担当した国連事務局経済社会局(DESA)がCRPD事務局を国連人権高等弁務官事務所と共に担当していることにも示されている。

2.HLMDDは障害分野側の取り組みとして、障害と開発への高い関心を示す場となり、重要な成果文書をまとめたが、2016年以降の新たな開発目標に障害がどのように盛り込まれるのかは依然として不透明である。

3.ラウンドテーブルでは発言順がトップで、しかも障害者である中国障害者連合会の張海迪主席が発言した中国、ジュディ・ヒューマンらを従えてジョン・ケリー国務長官が発言した米国、ハイキ・ホルモース国際開発相の発言がシャープだったノルウェーが印象的だった。

4.日本は岸田文雄外相が発言した点は良かったが、発言内容はいささかパンチに欠けていた。なお、マレーシアの発言が、同国での国際協力機構(JICA)のジョブコーチ事業について触れていたのはうれしかった。

(ながせおさむ 立命館大学客員教授・国際育成会連盟理事)