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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2013年12月号

参加者の報告

障害と開発に関するハイレベル会合の成果と課題

松井亮輔

9月23日に行われた今回の「障害と開発に関するハイレベル会合」の最大の成果は、その冒頭で「2015年以降の新たな国連開発課題において、障害のあるすべての人びとを十分に考慮することの重要性」を明記した成果文書が採択されたことと、その後、午前と午後の2回に分かれてそれぞれ3時間ずつ行われた「ラウンドテーブル」(協議)での90人近い政府代表の発言から、各国が障害施策に積極的に取り組んでいることが明らかになったことである。

にもかかわらず、9月25日(水)に開かれた、ミレニアム開発目標(MDGs)に関する中心的な会合といえる「MDGs特別イベント」で採択された成果文書には、障害については全く言及されていない。

ポスト2015年開発目標は、正式には2015年9月に開かれる「国家首脳によるサミット」で採択されることになっているが、9月23日のハイレベル会合と25日の特別イベントの成果文書に見られる落差を埋め、障害をポスト2015年開発目標に確実に含めるようにするためには、MDGsに関わる貧困、教育、環境、保健、女性、子どもなどのメインストリームのNGOの理解と協力を得て、各国政府に根気よく働きかけることが不可欠であろう。その意味でも、2015年9月のサミットに向け、国内外のメインストリームのNGO関係者とも積極的にコミュニケーションをとる努力をすることが、私たちに求められていると思われる。

(まついりょうすけ 法政大学名誉教授)