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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2013年12月号

2013私が選んだ今年の5大ニュース

宮城
早坂洋子(はやさかようこ)

1982年宮城県生まれ。生まれつき、目と耳の両方が不自由な弱視難聴者。2002年に宮城県に盲ろう者の団体を発足し、2008年より、みやぎ盲ろう児・者友の会会長を務める。全国盲ろう者団体連絡協議会委員。映画「生命のことづけ」でナビゲーターを務める。

1.震災ドキュメンタリー映画「生命(いのち)のことづけ」制作

JDFが制作し、聴覚障害の早瀬憲太郎氏が監督を務めたこの映画に、縁あってナビゲーターとして出演しました。被災した当事者・関係者の証言を収録し、今後の復興・防災に向けた提言がなされています。日本各地だけでなく、世界に向けても配信されました。

2.プロ野球、東北楽天、日本一!!

東北楽天が、震災後も被災地に寄り添い、東北を大いに盛り上げてくれました。そして、ついに今年、日本一に輝きました!!感動をありがとう!!

3.障害者差別解消法成立

視覚と聴覚の両方に障害のある盲ろう者は、これまで障害の困難さが理解されずに、さまざまな不利益を被っていました。この法律を武器に盲ろう者だけではなく、「生きにくさ」を抱えるあらゆる障害者が暮らしやすい社会となることを期待したいです。

4.第22回全国盲ろう者大会が過去最高人数で開催

今年は千葉県幕張メッセで開かれ、盲ろう当事者、通訳・介助者、家族、ボランティア等を合わせ、過去最高となる約千人の参加で大盛況でした。まだ「盲ろう者」を知らない人が多いなか、こうした大会を通じて、少しずつ地域の方々に知っていただけたらと思います。

5.障害者総合支援法施行

法律の施行に伴い、都道府県の「盲ろう者向け通訳・介助員養成及び派遣事業」が任意事業から必須事業となりました。今後、事業拡充に向けた「追い風」となることが期待される一方で、地域格差など、問題も山積しています。今後の動向を動かすカギは、私たち盲ろう当事者、家族、支援者の団結力です。来年も共に頑張ろう!


東京
小林瑞恵(こばやしみずえ)

1979年生まれ。社会福祉法人愛成会 アートディレクター、特定非営利活動法人はれたりくもったりアートディレクター、アトリエpangaea(ぱんげあ)主宰。アール・ブリュット関連の展覧会を国内外の美術館や団体と連携し開催する。多数の展覧会でキューレターを務める。

1.ヨーロッパ巡回展「Art Brut from Japan(Outsider Art from Japan)」イギリス ウエルカム・コレクションにて94,000人来場!

今、日本のアール・ブリュットが熱い。今展始め、ヨーロッパで大きな話題となっている。今展がきっかけで英国BBCが制作する世界のアール・ブリュットを特集する番組に紹介された。

2.歴史的快挙!第55回ベネチア・ヴィエンナーレ国際美術展澤田真一氏出展!

奇跡を見た。自分が生きている時にこの出来事が起こるなんてよもや思えなかった。自閉症という障害をもつ澤田さんが出展したことは人の表現が障害の有無で区別されず、一人の作家として世界の舞台に立ち認められた瞬間であり、歴史的な快挙であった。

3.障害者の芸術活動支援推進の懇談会開催(文化庁と厚労省共同)

国の方でも障害者の芸術活動への支援について議論され、来年度予算概算要求に上がることとなった。10月には、文部科学省主催でアール・ブリュット作品展「心がカタチをもつとき」が開催され、日本の新しい芸術文化として根付き始める息吹を感じている。

4.成年後見制度、被後見人に選挙権付与へ

成年後見制度で後見人が付いた知的障害者らの選挙権が剥奪(はくだつ)されることに疑問を持ち、また利用した当事者たちや家族の切なそうな顔をたくさん見てきた。この一報は本当にうれしかった。

5.新生美術館の検討―美の滋賀―

滋賀県では、全国への情報発信拠点として、アール・ブリュット ネットワークを設立。また県立近代美術館を従来の近代・現代美術に加えて、仏教美術やアール・ブリュットも含め、発信する拠点(=新生美術館)の再整備に向けた検討を始めた。


東京
竹内哲哉(たけうちてつや)

1973年生。長野市出身。アメリカでの新聞記者生活を経てNHKディレクター。3歳4か月のときの急性脊髄炎が原因で車いすユーザーになる。妻と息子の3人家族。

1.出生前検査スタート

多くは語りません。「いのち」とは何か。そして、誰のものなのか。きちんと議論すべきである。多くの現場で小児科医と産婦人科医の考え方に大きな乖離があるのが、取材者としては理解に苦しむ。

2.障害者差別解消法成立

障害者に対して不当な扱いは、まだまだ解消されていないなかで成立した法律の意味は大きい。しかし、合理的配慮とは何なのだろうか?その答えは、この法律をきっかけにして健常者と障害者が接することで初めて生まれる。どこまでが権利で、どこからがエゴなのか。障害者自身も考える必要があるだろう。

3.東京オリンピック・パラリンピック招致決定

招致によりパラリンピックの強化策がようやく文部科学省の所管へ。ようやく障害者アスリートにとっては念願が叶う形だ。ただ、マイナースポーツだと判断されると予算が削減されるので、そこはきちんと予算を確保してほしい。

4.いじめ問題

「相手が傷ついていたら“いじり”ではなく“いじめ”」。いじめられた経験のある某人気俳優が言っていたがまさにその通り。笑っていても嫌なものは嫌なのだ。“いじめ”は「ならぬものはならぬ」の一つ。教育制度の改革は、教師から威厳も取り除いてしまったのではないだろうか。

5.バリアフリー観光地「ハワイ」

家族で行ったハワイへの旅行。確かに世界一と呼ばれるだけのバリアフリー観光地。でも、物理的にバリアフリーというよりは「こころ」かな…と。五輪招致で流行している「おもてなし」。その精神は、海外選手だけでなくすべての人に向けてほしい。


東京
松本キック(まつもときっく)

お笑い芸人・松本ハウス(サンミュージック所属)として活動。相方は統合失調症当事者のハウス加賀谷。タレント活動のみならず積極的に講演会を行い、障害への理解を広めている。NHK・Eテレ「バリバラ」に準レギュラーとして出演中。

1.精神障害者の雇用義務化が閣議決定

施行は2018年4月の予定だが、管理職や責任者の方は、今から当事者と触れ合うべきかと。完全な理解に至らなくとも、距離が縮まることで補えるものもあるはず。また、「これはできないだろう」ではなく、それぞれの個性を見極め、共にチャレンジしてほしいですね。

2.全国障害者スポーツ大会、鈍い客足

東京パラリンピックへの盛り上がりはあるが、国体レベルでの関心は正直低い。大切なのはパラリンピック後も変わらず障害者スポーツへの関心をつなぐこと。一過性のお祭りで終わらないよう、2020年後のビジョンも描きつつ大会へと向かっていただきたい。

3.「統合失調症」発症の鍵を握る物質を確認か

薬もどんどん進化していくことでしょう。薬の進化に置いていかれないよう、当事者を取り巻く環境も改善していきたいですね。良い薬と良い環境、両輪がうまく回っていくことを期待します。

4.精神障害者医療で入院を1年未満に(厚労省指針案)

入院が長引けば社会復帰へのハードルも上がると言われています。当事者や家族、病院、そして地域社会がそれぞれ連携を深め、復帰しやすい社会作りが必要です。特に、地域社会との交流に多くのアイデアが出るといいですね。

5.「統合失調症がやってきた」(イーストプレス)出版

僕たち松本ハウスにとっても大きな意味を持つ1年となりました。相方であるハウス加賀谷の発症から入院、復活までを一つの物語にしました。障害と付き合っていくヒントや励みになればうれしいです。


東京
村上清加(むらかみさやか)

1983年生まれ。2009年4月、鉄道事故により右足大腿部の半分より下を切断。短距離・走り幅跳びの陸上選手。2014年のアジアパラリンピック、2016年リオデジャネイロパラリンピックに向けて練習に励んでいる。義足メーカーの歩行デモやスポーツイベント・医療関係の学会などに参加している。

義足歴4年半の私の2013年を振り返る。

幸運なことに今年も忙しく1年が過ぎていった。あっという間だったけど、いろんなことがあった。

1.まずは私自身の変化として、競技用の義足を変えたことが大きな出来事だ。2年ほど使っていたものを違うメーカーにした。膝の部分と膝から下の部分の2つのパーツを変えたので、慣れるまでに半年くらいはかかるだろう。来年にはその成果を出したい。

2.2つ目は、東京で行われた「スポーツ祭東京2013 第13回全国障害者スポーツ大会」に東京代表として50メートルと100メートルに出場したことだ。出場したい大会の一つだったので、とても充実した時間となった。

3.3つ目は、この1年で、義足以外の障害者スポーツをじっくり観戦し、ルールを学んでかなり面白いと思ったことだ。より幅広く陸上の楽しさを伝えられるようになったと思う。

4.4つ目は、皆さんもよくご存じの2020年のオリンピック・パラリンピックが東京に決定したことだ。成功するために、どのような活動や変化があるのか楽しみだ。

5.そして最後は、昨年ロンドンパラリンピックが終わり、今年は義足関係の取材や依頼事が減ると思っていたが、去年に引き続きたくさん取り扱ってくれたことだ。大きな大会がある時だけ注目されるのではなく、常にスポーツとして、またいち個人として継続的に関わっていただけることはとてもうれしい。今後の障害者スポーツや障害者福祉にとって大きな意味を持つと思う。この機会を無駄にしないようにしっかり発信していきたいと思う。


神奈川
江川文誠(えがわぶんせい)

1955年東京生まれ。上智大学理工学部卒、聖マリアンナ医科大学卒。小児神経科医。川崎市立病院、聖マリアンナ医科大学を経て現職。障害者の地域生活支援を行うNPO法人「療育ねっとわーく川崎」の理事長。専門は障害児者医療。重症児・者福祉医療施設 ソレイユ川崎施設長。

1.障害者差別解消法成立

この法律は障害者に対する「合理的配慮」を法として求めるもので、保護的な要素の強い日本の障害者福祉制度に対等な人間関係で接することが大切であることを教えてくれる。

2.非医療職による医療的ケア2年目

平成24年度より介護職員などがケアに加われるようになり2年目となった。25年現在、全国で10,569事業所、202,342人の介護職員等がケアに取り組んでいる。定着までまだ年数がかかるだろう。

3.療養通所介護事業における重症心身障害児者の利用

正確には、24年度に通知が出て可能になった制度なのだが、医療との距離が近い介護保険制度で先行実施されていた訪問看護ステーションが担うデイサービス機能である療養通所介護は、今回、正式に障害者が利用できる制度として制度化された。医療難民と揶揄される在宅療養者にとって朗報である。

4.障害者総合支援法施行

障害者自立支援法成立に絡んで数多くの障害当事者、関係者が議論を積み重ねたが、形を代えて総合支援法の施行に至った。最近、猫の目のように変わる障害福祉制度であるが、中身を支えるものの一人として制度に魂を吹き込みたい。

5.ヘルパー講習制度終了、初任者研修スタート

長年、居宅を中心に制度の下支えを行なっていたヘルパー制度が教科書も厚くなり、テストも課される初任者研修に格上げされた。広く浅く人材を求めてきた福祉の重要な担い手だっただけに、少し惜しいというのが感想である。


愛知
今村彩子(いまむらあやこ)

名古屋市出身。愛知教育大学卒業。大学在籍中に米国留学し、映画制作を学ぶ。主な作品「珈琲とエンピツ」「架け橋 きこえなかった3.11」。今村彩子監督公式サイト「http://studioaya.com/」ブログで制作や上映活動などを綴っています。

1.映画「架け橋 きこえなかった3.11」の完成・劇場公開

東日本大震災で被災した聞こえない人たちを2年4か月間取材し、制作した集大成です。イタリア・ローマの映画祭「CINEDEAF」に招聘されました。

2.「架け橋」が本当の架け橋に~気象庁と全日本ろうあ連盟のつながり~

気象庁地震津波防災対策室の室長が「架け橋」を見て、聞こえない人たちにも伝えることが大切だと感じ、全日本ろうあ連盟と連携し、地震・津波防災知識や防災行動についての出前講座を実地しようということになりました。

3.ダスキン「つりざお」制作

ダスキン愛の輪基金の研修修了生の活動紹介ビデオを制作しました。それまでは聞こえない人を中心に撮っていましたが、目の見えない人、車いす利用者なども取材し、自分の世界が広がり、豊かになりました。

4.第47回全日本聾教育研究大会(愛知)

地元名古屋で開かれ、全国から教諭や聾教育関係者が集まりました。私は映像アトラクションで、愛知県内の5つの聾学校の紹介ビデオを制作し、上映しました。

5.「珈琲とエンピツ」完成して2年

私が制作した映画「珈琲とエンピツ」が完成し、70か所以上で上映され、13,000人以上の方に観ていただきました。


兵庫
相良二朗(さがらじろう)

1954年8月21日生まれ。神戸市在住。現在、神戸芸術工科大学プロダクトデザイン学科教授。8月まで(一社)日本リハビリテーション工学協会会長を務め、現在副会長。(一社)日本福祉のまちづくり学会関西支部長。

はじめまして。リハビリテーション工学やユニバーサルデザイン(UD)の視点から今年の5大ニュースを選んでみました。

1.一つ目は「障害者差別解消法の成立」です。ADAから四半世紀弱を経て障害のある人への差別を無くす法律が成立しました。差別禁止法ではないのが日本的なのでしょうか。2016年の施行が待たれます。

2.二つ目は「2020オリンピック・パラリンピックの東京開催決定」です。パラリンピックがよりオリンピックに近づくことが期待されます。この決定に先立ち、パラリンピックも文部科学省の所管になったことも大きなニュースだと思います。東京のバリアフリーが進むことでしょう。

3.三つめは「認知症者の数が462万人」という報道です。厚生労働省の研究班からの推計値が発表されました。これまで発表されてきた数値をはるかに上回る数字です。軽度認知症者数400万人を加えると、高齢者の4分の1が認知上の問題を抱えていることになります。関連する事故のニュースも目立ってきました。

4.四つ目は、障害のある人がメインストリームに加わるための方法としての支援技術やUDの国際的取り組みの促進のために「障害と開発」と題した公開書簡が国連事務総長宛に届けられました。これはAAATE(欧州リハ工学会)、RESNA(北米リハ工学会)、ARATA(豪州リハ工学会)、AITADIS(南米リハ工学会)、RESJA(日本リハ工学会)が連名で署名したものです。

5.最後は悲しいニュース。障害のある人の自立生活と権利の獲得に多大な貢献をされてきた日米のリーダーが相次いで永眠されました。マイケル・ウィンター氏とDPI日本会議議長の三澤了氏です。ご冥福をお祈りします。


兵庫
玉木幸則(たまきゆきのり)

1968年兵庫県生まれ。現在、(社福)西宮市社協障害者総合相談支援センターにしのみやセンター長。NPO法人日本相談支援専門員協会代表理事。厚生労働省社会保障審議会障害者部会委員。NPO法人メインストリーム協会理事。Eテレ障害者情報バラエティ「バリバラ」レギュラー出演中。

今年の5大ニュースって難しいですね。毎年、この時期には、来年もよい年になりますようにと願いますが。来年こそは、ですね。

1.障害者差別解消法の成立

「我々のことを我々抜きで勝手に決めるな」(Nothing about us without us!)をスローガンに、2006年12月に障害者権利条約が採択されてから7年近く経ち、ようやく日本に、障害者に対する差別に向き合い、差別をなくしていくための法律ができたことは、感慨無量である。次は、いよいよ障害者権利条約の批准が待っている。

2.2020年東京オリンピック・パラリンピック開催の決定

オリンピック・パラリンピックが開催されることによって、さらにインクルーシブな社会の創造が進んでいくことを望んでいる。

3.障害者総合支援法の施行

法律がどう変わろうと、当事者、家族、事業者、行政、市民などが、いろんな意見を重ねていき、障害のある人もない人も共に暮らせる社会づくりを進めていきたい。

4.日本相談支援専門員協会の代表理事に就任

今年6月に就任した。昨年度より、相談支援の充実、強化が叫ばれているなか、ますます相談支援専門員の役割が大切になってきている。そのためにも、相談支援専門員がネットワークを結び、自らが資質向上できるように努めていきたい。

5.障害者総合相談支援センターにしのみや(基幹相談支援センター)がスタート

昨年、20年活動していたメインストリーム協会を退職して、今年4月より、基幹相談支援センターがスタート、センター長に就任した。みんなが西宮で暮らしていけるためにがんばっていきたい。


島根
福田功(ふくだいさお)

1952年3月生まれ。島根県出雲市在住。元島根県重症心身障害児(者)を守る会会長。姿勢保持具補装具製作会社((有)フィリンク)代表。長女(24歳)は家族と共に暮らす人工呼吸器使用の超重症者。

1.福祉医療費の自己負担減額への見直し(島根)

社会保険各法の規定により療養または医療に要する費用のうち、入院時の控除額(自己負担限度額)は、40,200円(1医療機関1か月当たり)である。島根県内の市町村格差もあり、これでは負担が重いですよね。早く見直し軽減策を決定してほしい。

2.重症心身障害児者の病院への短期入所時に訪問看護師が付き添い。全国で初のモデル事業(岐阜)

超重症心身障害児者は、呼吸器を装着、痰の吸引が必要なケースが多いので訪問看護師が家庭を訪問し、保護者を支えている。これまで冠婚葬祭等や他の子どもの学校行事に行けなかったが、これが利用できれば親としてありがたい。全国へ拡大してほしい。

3.長期入院児の地域移行の問題(全国・島根)

NICUから、いきなり「在宅へまたは重心施設へ」でなくて、地域の病院・CH等の確保も考えてほしい。在宅移行には地域整備と連携が必要である。島根の夜間対応型訪問介護事業所は1か所で、拡大してほしい。県内の医療機関の医療情報ネットワーク(まめネット)のシステムが稼働し、県内の医療連携への期待ができる。

4.サービス等利用計画の実施状況について

島根県は全国2位、27%(サービス利用者1万人当たりの計画相談支援利用者数)。全国2位でも実施状況率は低く、相談支援専門員の養成も急務である。出雲市は、障害児の利用計画作成率83%、県内でもダントツである。

5.ハザードマップの現状

地域の障害児者は、ハザードマップから取り残されている感じがする。今後、真剣にかつ熱心に取り組む必要がある。地域の自治会委員、民生委員の協力と理解が必要と考えられる。


熊本
三浦貴子(みうらたかこ)

熊本県山鹿市在住。明治学院大学卒。障害者支援施設愛隣館館長。内閣府障害者政策委員会委員長代理。全社協全国身体障害者施設協議会制度・予算対策委員長。熊本大学非常勤講師。ベトナムへ車いすを運ぶ空飛ぶ車いす事業主宰。

1.障害者権利条約 締結へカウントダウン

6月に「障害者差別解消法」が成立し、条約締結に向けた国内の法整備が終了。臨時国会に審議上程。社会モデルで障害が定義されたこと、合理的配慮の否定を含む差別の概念など、世界の潮流に沿う改正が、当事者リードの下、日本で実現。

2.第3次障害者基本計画5か年期間で策定

障害者施策の最も基本的な新計画が開始。別表に計画関連成果目標数値を添付。障害者政策委員会は、本委員会と分野別小委員会で集中議論し、意見を取りまとめて総理大臣に提出。政府原案に対して、緊迫した意見交換を行い合意に至った。

3.災害時要援護者・人工呼吸器使用者の避難搬送調査訓練―山鹿植木消防本部が実施

救急隊員と消防隊員6人が1チームとなり、希望した24時間人工呼吸器使用の筋ジス女性宅を訪問調査。個別に支援計画を作成し搬送の迅速化を図る。また、調査結果を119番通報を受ける通信指令システムに登録して活用する。

4.つながろうJAPAN 震災復興支援Tシャツ事業開始3年、2万2千枚を販売

2011年、全国身体障害者施設協議会と地域のネットワークに呼びかけて始めた支援事業。支援金が累計1,700万円となり、東北3県の障害者、難病患者支援活動に送った。

5.歌舞伎の花道、車いす席に

国指定重要文化財「山鹿八千代座」で、権利条約翻訳者の川島聡氏講演会を開催。常設の車いす席で足りず、車いすユーザーが初めて花道に並んだ。明治の芝居小屋でバリアフリーを実現。


宮崎
楠元洋子(くすもとようこ)

都城市生まれ。重度障がいの次女の養育に際し、紙おむつの共同購入や食品販売を通じ、豊中市で作業所設立の資金づくりに奔走。04年にNPOキャンバスの会設立。09年にCBSリネンサービス、12年に(株)丸佳食品加工工場オープン。同年ヤマト福祉財団小倉昌男賞受賞。(社福)キャンバスの会理事長。

1.消費税率引き上げ

政府は消費税率を来年4月から8%に引き上げることを決定、近い将来、さらなる増税も予定されている。排せつ障害のある高齢者や障害者にとって紙おむつの着用は生涯必要であり、使用を減らすこともできず、消費税のアップは手ひどい家計圧迫となる。

2.障害支援区分案示す

現行の心身の状態を見て区分を決めるという、特性が反映され難い評価方法から、必要な支援の度合いを見るという考え方に変えるというように、評価方法を見直すということで、発達・知的・精神障害の人への支援が広がり、就労できる人が増えると思われる。

3.宮崎市花ケ島地区に福祉ゾーンが認められる

宮崎市の重度障害者保護者から「市中心部に重障児者の通所施設と短期入所施設を作ってほしい」との数年に亘(わた)る依頼を受け、県や市に働きかけていたが今年、宮崎広域都市計画の中で福祉ゾーンを設置、来年4月オープンを目途に建設が始まった。

4.社会を楽しくする障害者メディア「コトノネ」に掲載される

知的障害者の西村紗奈恵さんは(株)はたらくよろこびデザイン室の季刊誌「コトノネ」に掲載されたことで、仕事に自信を持ち見学者に作業内容を説明できるようになった。また、私生活でも家族への深い心配りをしながら、自身の結婚への目標も語るようになった。

5.口蹄疫を乗り越えて日本一となった宮崎牛の応援

畜産農家に未曾有の悲しみと大打撃をもたらした口蹄疫、大変な苦労の末、5年に一度開催の「第10回全国和牛能力共進会」で2年連続日本一となった宮崎牛。宮崎経済連とコラボして「宮崎県産和牛佃煮」を開発、フードビジネスとして空港などで売り出す準備をしている。