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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2014年3月号

被災地首長からのメッセージ

心ひとつに 世界に誇る 南相馬の再興を
~防災と障がい者~

桜井勝延(さくらいかつのぶ)
福島県南相馬市長

千年に一度の大災害と言われた東日本大震災に加え、東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う放射能汚染による避難もあり、震災前7万1千人の市民のうち、現在もなお2万4千人弱の市民が、避難生活を余儀なくされています。避難先は全国に渡っており、慣れない土地での不自由な生活を強いられています。

今回の災害では、障がいをおもちの方については、避難の情報が行き届かずに自宅に取り残されたり、避難所での生活に順応できずに自宅に戻った等の状況が明らかになりました。

これらの事から、障がいをおもちの方やそのご家族が、災害発生時に迅速、確実に避難できるように、障がいに応じた個別の避難計画の作成が急務であり、安心した避難生活が送れるための福祉避難所の設置や、要支援者に対する適切な対応ができる運営を行なっていく体制整備が重要であると、改めて感じております。

これらを踏まえ、自立支援協議会において、障がいの種別ごとに福祉避難所(福祉避難室)の必要性を検証し、福祉避難所を効率的に運営する仕組みの一つとして、センター方式の検討を進めているところです。

障がいをおもちの方々は、その障がいの特性により、自力での避難等が難しい状況にあります。

防災の基本となる自助・共助・公助の実現を図るため、平素から居住している地域の皆さんのご協力をはじめ、関係する福祉団体および行政が一体となった取組みを推進していかなければなりません。

当市において、現在、市の地域防災計画を策定中であり、そのうち、原子力災害対策編・原子力災害避難計画については、過去の経験を活(い)かして、屋内退避を含めた計画を平成25年12月に策定しました。

今後は、災害時要援護者名簿の整備を行うとともに、障がいの特性を広く理解のうえ、その特性にあった支援を検討し、障がいをおもちの方々が災害発生時において、今回と同様の避難時の弱者とならないように対応することが、重要であると切に捉えています。

そして、当市へ避難されている方々に対しましては、これまでと同様に、同じ市民として対応して参ります。

また、市外に避難されている方々の対応につきましては、避難先の自治体への引き続きのご支援とご協力をお願いするとともに、ご支援をいただいている全国の皆様へ、心より御礼を申し上げる次第です。