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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2014年3月号

提言 自然災害と障害者

防災の主役は地域の住民です

鳥羽茂

はじめに

静岡県に住む私たちは、いつ起きてもおかしくない東海地震に対し「備えよ、常に」と、災害時のボランティア活動の体制を整えるべく、その取り組みを行なってきています。

そして今、東日本大震災に匹敵する、西日本大震災とまで言われる「駿河トラフ・南海トラフ巨大地震」に対して、私たちは更なる備えに取り組んでいかなくてはなりません。

災害時の備えは足元から

皆さんが生活している町は災害に強い町ですか。たとえば、自宅はどんな場所に位置していますか。自宅の地盤は強固ですか。津波浸水域と重なっていませんか。河川や水路の氾濫の心配や火災延焼の心配はありませんか。

まず、自分たちがどのような場所で生活しているのかを知ることは何よりも大切です。住居を構える場所はどこでもいいという時代ではありません。その上で隣近所のつながりということになります。障がいのあるなしに関係なく、自分たちが暮らしている地域をしっかり見回すことが大事です。

まずは自身の意識を変えること

防災、減災は、一人ひとりの市民意識を変えると同時に、まず、自分自身の意識を変えることが大事です。たとえば、自宅は、家具の転倒防止を済ませます。自力でできなければ、業者にお願いすることも必要です。懐中電灯や携帯ラジオは使える状態で寝室の枕元に置きます。スリッパや靴も用意します。まずは「自助」です。これは、障害のあるなしに関係ありません。防災意識は足元にあります。

地域を守る

大地震が不意に襲ってきても、生き伸びる力を備えておく必要があります。その上で近隣の状況を確認します。近所に高齢者や障害のある方もいます。隣近所で声を掛け合い、無事を確認します。異変があれば、近所の人たちで救出・救助。これが「共助」です。大規模災害時には消防や警察はすぐには動けません。最悪の場合、同時多発の火災が発生し延焼します。小さな火であれば消し止めることはできます。

多くの人が小学校等に避難します。避難所の運営は、自治会長さんや主な役員がリーダー役となります。ボランティアを地域で受け入れる環境・知恵を「授援力」(支援を受ける力)と言います。ボランティアの力をうまく引き出し、被災地域の復興を早めることが可能になります。まずは、一人ひとりが防災の主役として自分にできることを考え、できることから取り組んでいきましょう。

(とばしげる NPO法人静岡県ボランティア協会事務局長)