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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2014年5月号

工夫いろいろエンジョイライフ

実用編●あいさつで広がるネットワーク、他●

提案者:向後善一 イラスト:はんだみちこ

向後善一(こうごぜんいち)さん

15年前に、スポーツ事故により、脊髄損傷(腰椎1番骨折)になる。その後、国立障害者リハビリテーションセンターにて職業訓練を経て、12年前に、「自立生活センターくれぱす」に就職、事務を担当。現在59歳、家族は、妻とさくら(愛犬3歳)。趣味は、チェアスキー、ジョギング、車椅子カーリング、日本酒愛飲。


あいさつで広がるネットワーク

私は日頃からあいさつをするように心掛けています。それが習慣になり、今では、ご近所の方々に「おはようございます」と、あいさつするのが当たり前になっています。朝ばかりではありませんが、朝あいさつをすると、その日一日が清々しい気分で過ごせます。

私は、1・2度あいさつしただけでは顔を覚えられませんが、相手からすると、「車いすの人」ということで、記憶に残ることが多いようです。これは、ちょっとしたメリットです。

「さくら」の散歩中、行き交う人にあいさつをしますが、後日会った時に、先方が私のことを覚えていてくれて、通勤途中に「さくらちゃんは、どうしたの?」と声をかけてくれます。これも、「さくら」のおかげと感謝していますが、あいさつは、人の心を和ませ、穏やかにさせてくれます。これからも、続けていきたいと思います。


夜の外出にはヘッドライト

私は、いつもリュックサックの中にヘッドライトを入れて持ち歩いています。ヘッドライトは、夜間の仕事の帰り道や買い物、愛犬「さくら」の散歩に欠かすことができません。ヘッドライトはベルト付きで、帽子の上から装着しています。頭に直に付けると、ヘッドライトを取った時にベルトの跡がくっきりと付くのが嫌だからです。

私が使っているヘッドライトは、上下の角度を自由に変えることができます。もちろん、両手は自由なので非常に便利です。LEDなので、毎日使っても2・3年は十分持ちますし、単3電池1本で連続12時間程度持ちます。

ヘッドライトは、自分から相手を確認するためもありますが、それよりも、相手の車・バイク・自転車などにこちらの存在を示すことで、自分の身を危険から回避することが、最大のメリットだと思います。もちろん、「さくら」の首にもお散歩ライトを付けています。「さくら」の散歩はほとんど夜間なので、「うんち」の始末をする時にもとても便利です。


車いすでも動きやすいマイホーム

4年前、私が過ごしやすいように自宅を新築しました。家を設計するにあたって、3つのコンセプトをたてて、建築士さんにお願いしました。

1つ目は、どこにいても暖かいこと。これは、友人宅を見学させてもらい、すぐに友人宅と同じ「ハイブリッドソーラーハウス」にすることを決めました。太陽光だけでは、1年間暖かく過ごすことはできませんが、4月から10月は、補助燃料の灯油を使うことなく、どこに居ても暖かく、快適に過ごすことができます。

2つ目は、段差をなくし、どこの部屋にもスムーズに移動できることです。これで、車いすの私も自分で掃除などができます。

3つ目は、家の敷地内を車いすで移動できることです。建物の構造上、周りを全部フラットにすることはできませんでしたが、おかげで草むしりをはじめ、植樹・水やりなどが車いすでもできます。

この家を造ってくださった、設計士のYさん、工務店の方々、モデルハウスとなった友人のKご夫妻に感謝しています。