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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2014年9月号

創設2年目を迎えた『鉄道ホーム改善推進協会』の活動

今野浩美

私たちの会「鉄道ホーム改善推進協会」は、2013年7月14日に産声を上げたばかりのかけ出し任意団体だ。いわゆる障害者団体の権利を強調し社会に働きかけていく運動団体というよりも、鉄道ホームの使い方を国民みんなで考え、思いを巡らして安全にしていくには、どのような工夫が必要で、それにはどのような活動が必要なのかを話し合ったり、その実現に向け活動していくことを主な目的としている。

第3条 この会は、鉄道駅プラットフォームを利用する障害者、高齢者、子供に代表されるような、より安全性の高い利用環境を必要とする市民と、その改善に取り組む諸団体、及び運用団体、管理機関との間に入り、私達の身近な生活の問題として共に考え、理解し、相互に協力できるように、様々な具体的な設備や利用マナー、配慮や対策・工夫についてのあり方を、日常的な分かりやすい啓発活動で、広く社会に伝えていくための事業を実施することを目的とする。

会則の中ではこのように謳っている。

活動初年度となった平成25年度には、ちょうど国土交通省が旗振りとなって、いくつかの鉄道会社と設備開発メーカーとがコラボレートする形で「可動式ホーム柵実証実験」が行われた。会では、これら実証実験に関わる開発メーカーと直接連絡を取り合い、実際にホームに設置された設備と同じ物がある各メーカーの工場に行き、その実験設備の仕組み、構造、設置費用などについて直接話を聴く機会を設けることができた。

公共施設であるこうした新しい設備に、実証実験段階から私たち鉄道ホームの安全に関心のあるメンバーが参加できることは、今後の設備開発に大きな影響を与えることのできるチャンスとなった。

10月18日、第1回ホーム柵開発メーカー工場見学会。参加者は、会員4人、メーカー職員8人の合計12人。

相模鉄道株式会社と長野県佐久平に工場を持つ株式会社高見沢サイバネティックスの協力を得ながら進めた企画が実現した。

そこでは、相鉄いずみ野線弥生台駅(神奈川県横浜市泉区弥生台5―2)の昇降式ホームバーのホーム柵が出来上がるまでの詳細を聞いたり、長野の工場で設置されている現地と同様の実際の柵の動きを直接触れたりすることにより、設備の開発に直接携わった方たちの熱心さと、温かい思いを感じる体験会となった。

会では、設備が無人で安全性を確保するが故に生じるさまざまな警告音についての意見や要望を伝えたり、導入に伴う公的予算には、列車の保安に関する部分が盛り込まれないという鉄道会社側の立場から見た不利益の問題提起についても、学ぶことができた。

また12月17日、第2回ホーム柵開発メーカー工場見学会を開催した。埼玉県の日本信号株式会社久喜事業所に、会員約20人(ガイド者含む)、メーカー職員数人が集まった。こちらも、人数が多かったにもかかわらず、東急田園都市線つきみ野駅(神奈川県大和市つきみ野5丁目)設置の物と同様の上下可動式ロープ柵を何度も動かしていただき、しっかりと見学・体験することができた。その後に行われたフリーディスカッションでも、活発な意見が出て、担当の方たちからも利用者側に対して熱心な質問も出され、有意義な時間を設けることができた。

その結果、第2回当会定例総会が去る7月21日に行われ、この日に開催した特別イベントでは、これらメーカー技術者と国土交通省鉄道局の方をお招きした実証実験の総括と、利用者主体の現状と今後の問題についてのディスカッションを実施した。

会では今後、実験・調査に協力できる関係機関や関連会社、そこに関わる方々との繋がりを大事に育てて、人の出会いで解決できる設備や、接遇のバリアを取り除く事業を展開できるよう会員を募っていくことにしている。ぜひご協力いただければ幸いである。

(こんのひろみ 鉄道ホーム改善推進協会副会長、川崎市視覚障害者情報文化センター利用者支援グループ訓練担当)


・鉄道ホーム改善推進協会事務所
〒241―0821 神奈川県横浜市旭区二俣川1―43―28 グレーシア二俣川615
電話とFAX 
050―3123―8489
電子メール 
jitsugen@anzenplatform.org

・本会にご協力いただける場合は、
郵便振替
加入者名 鉄道ホーム改善推進協会
口座番号 00250―9―135975
ゆうちょ銀行からは、
店名 〇二九店
預金種目 当座
口座番号 0135975

・活動年度:7月から翌年6月

・年会費:正会員3千円 賛助会員一口5千円(一口以上で申し受けます)