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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2015年12月号

2015私が選んだ今年の5大ニュース

荒美有紀 あらみゆき

1988年9月9日、栃木県生まれ。東京都在住。明治学院大学文学部フランス文学科卒業。16歳の時に「神経線維腫症2型」という身体中の神経に腫瘍ができてしまう難病を発症。現在は全盲、全聾に加え、手に障害があり、歩行にも困難が伴う。東京盲ろう者友の会理事、全国盲ろう者協会の発行雑誌「コミュニカ」編集委員。

1 自伝的著書を出版!!

拙著ですが、3月下旬、朝日新聞出版より『手のひらから広がる未来―ヘレン・ケラーになった女子大生―』を上梓。ごく普通の大学生だった私は、難病を発症し、聴覚視覚と肢体の自由を失う。絶望の淵にいた私を救ったのは、周りの温かい人たちの支えであり、心で感じる幸せでした。ぜひご一読ください!

2 仏映画「奇跡のひと―マリーとマルグリット―」日本公開!

19世紀末、フランスに実在した“もうひとつのヘレン・ケラー物語”が日本に上陸。

盲ろうという障害を越えた、出会いの大切さに感動しました。

3 インクルーシブな防災に世界が注目!

仙台市で 第3回国連防災世界会議が開催され、障害者が防災の担い手として役割を持つことに注目が集まりました。私も防災意識を高めていかなければならない、と気の引き締まる思いです。

4 視覚障害者用の時計に新たな顔ぶれが!

振動で時間を伝える「Tac-Touch」、小さなボールで時間を知らせる「ブラッドリー」、 点字スマートウォッチの「dot」 といった視覚障害者用の時計が発売・発表になりました。

今後は、視覚障害者もデザインを楽しめるよう、さまざまな種類が拡充することを期待します。

5 初の遠方での講演を経験!

7月某日、2泊3日での遠方・山口での講演を経験させていただきました。全国各地で盲ろう者支援が充実するよう、東京の友の会の理事として、今後も全国で講演をしていきたいと思います。


大村美保 おおむらみほ

1973年群馬県生まれ。全社協、国立のぞみの園研究部を経て現在、筑波大学人間系障害科学域助教。専門は障害者福祉。地域生活する障害者の就労と所得保障、障害者の虐待防止、非行犯罪行為のある障害者の支援、高齢知的障害者支援が最近の研究テーマ。

1 障害年金の初診日認定方法が変更

申請時に医療機関の診断書など初診日を明らかにする書類での受給要件の確認が必要だが、この10月からは初診日を推定できるような一定の書類により本人が申し立てた日を初診日と認める歴史的な変更。別途、地域差がある精神・知的障害の等級判定ガイドラインも検討中。

2 新たな時代に対応した福祉の提供ビジョン

9月に示された厚労省PTによるビジョン。従来のように対象者を制度に当てはめず、本人のニーズを起点に、誰もがその人の状況に合った支援を受けられる新しい地域包括支援体制を目指す。これに基づく来年度の概算要求も行われた。“「制度の狭間」という日本の福祉制度に最後に残った欠片を埋める営み”という文言には覚悟が滲む。

3 障害者総合支援法3年後見直しの議論が本格化

社会保障審議会障害者部会において本年4月より本格スタート。法改正に向けた議論が今まさに佳境である。

4 障害福祉サービスと介護保険の適用関係

サービス内容や機能に相当するものがある場合は原則として介護保険が優先、個別の状況に応じた判断をするよう通知されるが、自治体の対応実態に基づき国は事務連絡を2月に発出。内容は、自治体の丁寧な説明や併給可能な場合の案内、計画相談と高齢者ケアマネジメントとの連携等。

5 改正少年院法施行

66年ぶりに抜本見直しされ6月1日より施行。個々の特性に応じた矯正教育の充実、出院者等からの相談を可能とする等。障害関係では1.従来の特殊教育課程を支援教育課程と改め、2.知的・発達障害とまではいえないいわゆるボーダーラインにある少年を対象とした支援教育課程が新設。


香山リカ かやまりか

精神科医・立教大学教授。1960年北海道生まれ。東京医科大学卒業。豊富な臨床経験を活かして、現代人の心の問題を中心にさまざまなメディアで発言を続けている。専門は精神病理学。NHKラジオ第一「香山リカのココロの美容液」(金曜・夜9:30より)でパーソナリティをつとめる。近著に「半知性主義でいこう」(朝日新書)、「ヒューマンライツ:人権をめぐる旅へ」(ころから)など、著書多数。

1 川崎簡易宿泊所火災で11人死亡

貧困、高齢者が集まる簡易宿泊所で大規模な火災が起きた。病や障害を抱えても行き場も家族もない彼らを支えるのは誰なのか。ここから「弱者を救え」という大きなうねりが作られていかなかったことが、私にとっては衝撃的であった。

2 TPP大筋合意 介護・福祉にも影響か

もめにもめたあげく、ようやく合意に達したTPPだが、中身に関しては依然不透明。おそらく介護や福祉もビジネス化されていき、これまで日本で培われてきたシステムに打撃が与えられるのではないだろうか。懸念すべき材料は多い。

3 安倍総理、「介護離職ゼロ」を宣言、対策へ

誰もが「本当?」とツッコミを入れたくなった「アベノミクス新3本の矢」。一方で障害を抱えた人や高齢者の介護を家庭に押しつけようとしながら、一方で「介護離職ゼロ」などと宣言されてもにわかには信じがたいのである。

4 高齢者施設で転落死相次ぐ

障害者、高齢者の施設での死亡事件はしばしば起きるが、週刊誌などが一部で話題にするだけで、かつての「宇都宮病院事件」のような社会的関心を呼ぶことはない。誰も自分のことで手いっぱいなのだ。事件も悲しいし世間の反応も悲しい。

5 社会福祉士・藤田孝典氏の『下流老人』がベストセラーに

まじめに働いても高齢になってから貧困に転じ、十分な福祉を受けることができず、孤独に陥り犯罪を起こしたり孤立死に至ったりする。このシビアな現実を描いた本書に多くの読者が関心を持ったのは、誰もが「明日は我が身」と思ったからか。


河原仁志 かわはらひとし

1957年愛知県生まれ。国立病院機構八戸病院臨床研究部長。筋ジストロフィー、てんかんなどの小児神経疾患の専門医。摂食嚥下リハビリテーションにも積極的に取り組み、世界初の非接触・非侵襲の嚥下機能評価器を発案して、(株)イデアクエストに協力。臨床応用を目指している。障害をもつ方の芸術活動支援も行い、多くのミュージシャンとも親交がある。

1 難病の患者に対する医療等に関する法律(いわゆる難病法)施行

「難病の克服を目指し、患者がその社会参加の機会が確保され、地域社会において尊厳を保持しつつ他の人々と共生するために総合的に医療等を行う」という基本理念を何度もつぶやきながら、法律が活かされるよう英知を集めていきたい。できないことを嘆くのではなく、できることを拡げていきましょう。私も少しはお役に立てるようにと、来春の『難病ケアガイド(仮)』の上梓に向け奮闘中。

2 児童福祉法の一部を改正する法律施行

基本方針「良質かつ適切な小児慢性特定疾病(いわゆる小児難病)医療支援の実施その他の疾病児童等の健全な育成に係る施策の推進」の意味をみんなで共有したい。私は小児科医。健全な育成にもこだわりたい。

3 生活保護を受けている家庭の高校生のアルバイト代、奨学金を塾代に使うと保護費が減額されるルールの見直し(ようやく)

この見出しを見てあきれて、恥ずかしくなってほしい。障害者福祉と同様に、社会における公正とは何だという問題意識は常に持ち続けなくてはならない。

4 障害者施設暴行事件

繰り返される、繰り返す。もう終わりにしたい。「まさか」から「もしも」の意識改革も役立つと思う。

5 鎌倉投信 テレビ番組で紹介

障害者雇用を進めながら発展している会社を積極的に支えている投資信託がある。運用責任者に「いい会社を増やします」と言われたので、前記の会社について問うと「もちろんです」と答えてくれた。


佐々木卓 ささきたく

1978年東京生まれ。高校3年の時に神経難病ジストニアを発症する。現在は針治療を行いながら、NPOジストニア友の会に所属し、ジストニア周知のために活動を続けている。趣味はサイクリングと映画鑑賞。

1 難病制度が改正され、それに伴い新たな医療費助成制度が開始

新たな医療費助成制度の開始により、指定難病の対象疾患300疾患に拡大された点は評価できる。しかし医療費助成制度の周知がいまだ医療関係者、患者たちの間に浸透していない。改正前より医療費の負担が増加する問題などもあり、今後も議論していく必要がある。

2 指定難病及び障害福祉サービス対象疾患として遺伝性ジストニアが認定される

ジストニア患者にとって、指定難病及び障害福祉サービスの対象疾患に選ばれたことは喜ばしいが、遺伝性のみであり、その対象範囲も限定的である。サービスが必要な他のジストニア患者のためにも活動を続ける必要がある。

3 職場での障害者虐待483人が被害、未払いなど「経済的虐待」が最多

統計上の結果はそうだが、他の虐待との差が開き過ぎている。その裏でいまだ隠されている虐待があると考えられる。

4 障害者権利条約が絵本に

子どもたちに広く知ってもらうために、日本障害フォーラム幹事会議長の藤井克徳氏が『えほん 障害者権利条約』を出版した。この出版を機に、将来を担っていく子どもたちに権利条約の考え方が広がっていくことを願う。

5 第3回国連防災世界会議でフォーラム開催 

今年仙台市で開かれ、市内各地でフォーラムが開催された。東日本大震災では、障害者の死亡率が全体の2倍になったとの統計が出ている。避難計画の策定や訓練の段階から障害者を参画させることの重要性、緊急時の個人情報開示の必要性などが訴えられた。


関根義雄 せきねよしお

1964年東京生まれ。障害者の生活保障を要求する連絡会議代表。スタジオIL文京理事。障害があっても地域の中で暮らしていくため、社会保障だけではなく、障害者総合支援法等の政策充実を目指し、現在、自立生活運動、当事者運動に取り組む。

1 DPI(障害者インターナショナル)日本会議・福島大会(5月31日)

原発汚染で障害当事者に対し、県は「安全に配慮し、施設に閉じ込められている現状」にふれ、「憤りを持ち各地で差別解消条例を行脚して行こうではないか」とのアピール文が実行委員長から読み上げられ、参加者一同の拍手で採択された。

2 全国自立生活センター協議会・仙台総会(6月25日)

障害者が地域で生活を実現させるため、自立生活センターが国内で120か所存在している。権利条約にもある「特定の様式に限らず…」ということを国に守らせるためにもきめ細かな運動が必要。

3 「本郷のサカミチでパラリンピック選手の皆様をお迎えするために」集会(7月5日)

2020東京オリンピック・パラリンピック開催で、海外の選手を「文学」や「銭湯」のまちである地域をどう案内していくかを検証するとともに、ワークショップを開いた。

4 「第25条」大集会(10月28日)

憲法第25条が今ないがしろにされている。そんな中、日比谷公園・野外音楽堂に約3600人が結集し、憲法第25条の生存権、福祉追求権も侵害されている現状を参加者一同再認識した上で、その怒りを厚生労働省に向けて団結を新たにした。

5 「骨格提言」の完全実現を求める10・29大フォーラム(10月29日)

約220人が結集し、「5年前にわれわれ訴訟団と交わした骨格提言は今、国の蔵の中で眠っている。私たちで成就させなければならない」とのアピールがあった。


平塚千穂子 ひらつかちほこ

1972年9月19日生まれ。早稲田大学教育学部教育学科卒業後、飲食店や映画館に勤務。2001年、City Lights設立。以後代表を務める。第37回NHK障害福祉賞で優秀賞受賞。2014年 上映スペースArt Space Chupkiオープン。

1 平成28年4月1日 障害者差別解消法施行

障害者の文化的生活の享受における差別解消は、映画の視聴環境をバリアフリー化することも対象としています。映画館のみならず、行政が主催する上映会・映画祭等でもバリアフリー上映の機会が一気に増えた気がします。来年からはもっと!

2 経済産業省、映画館にて「UD Cast」の実証実験スタート

スマホやタブレット端末を使って、映像を言語バリアフリー化させるアプリケーション「UD Cast」。このシステムがどの地域の映画館にも導入されれば、字幕や音声ガイドがいつでもどこでも、好きな時に鑑賞できる未来が近づきます!

3 視覚障害者の「目」をサポートするアプリ「Be My Eyes」発表

デンマークの非営利団体がつくったアプリで、見えない人がスマホのカメラを使って見える人と共有し、「道案内」や「PCの操作」等、たくさんの晴眼者が目の変わりとなって世界でつながり支えられる素敵なツール!

4 本間一夫生誕百周年

生前の本間先生にお会いする機会のなかった私も、本間先生の諦(あきら)めない精神、純粋でまっすぐで温かいお人柄に触れることができ、感動しました。

5 「シネマ・デイジー」ダウンロード数、19万件を超える

映画のサウンドと音声ガイドが一つになった「シネマ・デイジー」が制作数133本。ダウンロード数19万件を突破しました。音声ガイド制作者の育成がいよいよ急務となりました。


堀場浩平 ほりばこうへい

1979年神奈川県生まれ。元DPI日本会議事務局員。障害と開発分野の研究・調査に携わる。英国マンチェスター大学大学院を修了し、現在、株式会社国際開発センター研究助手。

1 仙台防災枠組が採択

3月、国連防災世界会議において、世界レベルでの防災・減災に向けた指針が設定された。東日本大震災における「障害者の死亡率2倍」の衝撃は記憶に新しいが、災害弱者としての側面だけでなく、平等な社会の一員として障害者が防災への取り組みに参加していくことが望まれる。

2 ADA(障害をもつアメリカ人法)25周年

1990年に制定されたADAは、国際的規範として各国の差別禁止法や障害者権利条約に影響を与えてきた。日本の障害者施策や障害者運動もADAの影響を大きく受けている。一方で、米各メディアは社会に根強く残る障害者に対する差別意識を報告している。

3 アフリカでポリオ撲滅

WHOは9月、ナイジェリアでポリオ流行の終息を発表した。これでアフリカからポリオは根絶され、ポリオの常在国はパキスタンとアフガニスタンの2か国となった。

4 国連、持続可能な開発目標(SDGs)を採択

2030年までに貧困・飢餓を撲滅し、不平等の是正や気候変動対策等を目指す国際開発目標が定められた。障害者団体等の活発なロビーイングにより、障害者の課題も不平等や教育の文脈で盛り込まれた。

5 LGBTの躍進

渋谷区で同性パートナーシップ条例が成立、アイルランドで国民投票による同性婚の承認、米全州で同性婚承認と、今年は性的マイノリティの権利が大きく前進した。このアイデンティティ・ポリティクスの成果は、差別撤廃において部分的に課題を共有する障害者の権利問題においても重要な示唆となるのではないか。


村岡真治 むらおかしんじ

1958年、山口県生まれ。上智大学外国語学部卒業。1978年、ゆうやけ子どもクラブ(小平市。障害児の放課後活動)発足に、学生ボランティアとしてかかわる。障害児放課後グループ連絡会・東京(放課後連・東京)会長。著書に『ゆうやけで輝く子どもたち』『揺れる心が自分をつくる』(ともに全障研出版部)。

1 雅弘が意欲的に遊ぶようになった!

雅弘(知的発達の遅れ。小6)は脳腫瘍の手術をした。いつもゴロゴロして、意欲が乏しかった。その彼が今、ガムテープをちぎって、私の口に貼り付け、ピッと引きはがす。私が「痛いよー!」と言うと、笑いながら逃げていく。子どもの変化に、元気をもらう。

2 放課後デイが事業所6000か所、利用者9万5000人

2012年創設の「放課後等デイサービス」は現在、事業所6000か所、利用者9万5000人にも達する。だが、“もうけ本位の”事業者も入り込んできた。背景に、「福祉も商売」とする政策や制度があることを見抜かねばならない。

3 「放課後連・東京」が“記録を書く”実践講座を開く

11月8日に開催。受講者は60人以上。実践記録は8本も提出された。講師の竹沢清先生(日本福祉大学講師)は「書くことで、実践主体の形成を!」と話された。子どもを深く理解し、主体的に働きかける実践者を育てていきたい。

4 「障害者と戦争」(NHK)が放映

障害者20万人の殺害が、ナチスによる、ユダヤ人600万人殺害のリハーサルとして行われた! “時流”に流される恐ろしさ―。藤井克徳さん(日本障害者協議会)の言葉「障害者は危険察知請負人に」は、今だから、私たちの胸に刻んでおきたい。

5 茂木俊彦先生(都立大元総長)が逝去

9月25日、茂木俊彦先生(東京都立大学元総長)が逝去された。「放課後連・東京」では、1994年からこれまで20回の学習集会を開いてきた。先生は、そのうち8回も講師を引き受けてくださった。私の中では、今も、先生の姿が見え、声が聞こえる。


山河正裕 やまかわまさひろ

1967年生まれ。社会福祉法人豊中きらら福祉会理事、工房「羅針盤」施設長。中途障害・高次脳機能障害がある人たちの作業所やグループホームを運営しながら、大阪リハビリテーション専門学校で非常勤講師を勤める。

1 戦後70年、不戦の誓い新たに

NHKにおいて、シリーズ戦後70年「障害者と戦争」が放送された。ナチス政権時代、ホロコーストのリハーサルとして20万人以上の障害のある人たちが虐殺された「T4作戦」。そして、それに立ち向かったオットー・ヴァイト。私たち人類は再び戦争を起こさぬよう、胸に刻み続けるべきだ。

2 障害年金の不服申し立てが3.5倍増

障害年金の支給決定に納得がいかず、不服申し立てするケースが10年前に比べ3.5倍、約6,500件に上った。また、判定基準も最大6倍という地域間格差があったことが判明。障害の実態に合った公平で透明性のある認定が求められる。

3 グループホームの寄宿舎問題 大阪府が緩和策

建築基準法上は寄宿舎に該当するグループホーム。そのため、開設にあたって大きなハードルとなっていた。しかし、大阪府は今年5月、定員が7人以下で延床面積が200平方メートル未満などの一定の基準を満たせば、一般の住居とみなす緩和策を制定。社会資源の整備が急がれる。

4 日本脳外傷友の会設立15周年

全国各地にある脳外傷による後遺障害を負った患者と家族の会が高齢化を迎える今、その連合組織である日本脳外傷友の会が今年で設立15周年を迎える。この国の福祉施策の推進に多大な貢献を果たしてきた家族会を、皆で支援していかなければならない。

5 「リボーン天王寺」が開所

中途障害や高次脳機能障害がある人たちの就労継続支援B型事業所が大阪市天王寺区にオープン。地域にまた一つ、安心が増えました。


山田親幸 やまだしんこう

1934年、強度弱視として沖縄県に生まれる。義務教育・高校はともに普通校へ。18歳で全盲。あはきと盲学校教員免許取得後の1966年から沖縄盲学校教員。1995年定年後、(社福)沖縄県視覚障害者福祉協会役員。

1 NPO法人ロービジョンライフ沖縄が那覇市指定の就労継続作業所ロービジョン繁多川設置

点字用古紙のリユース、もやしのひげとり、音声対応パソコンや盲人用具の操作指導の傍ら、生計・家事や狭き門この上なしの視覚障害者就労の手立てを工夫案出する拠点となり、さらに、就労継続のさんかく屋根治療院を立ち上げた。

2 沖縄統合医療学院のマッサージ課設置申請

9月の医道審議会あはき柔整分科会で、他5校の申請とともに当該法19条に悖るとして却下。やっと「視覚障害者からあん摩マッサージを奪うな」が労働行政当局も気づいた?

3 10月、徳島市で盲導犬ユーザーが盲導犬とともにバック警報音を止めたトラックに轢殺

視覚障害者関連事故がこの1年で30件との報道「NHKラジオ11月5日」に接してあぜんとした。

4 厚労省は6月、障害者の雇用状況は5年連続前年を上回ったと発表

ところが、障害種別では視覚障害者のみが求職者は増えたものの就職者は減少という。視覚障害者の障害特性を踏まえた「合理的配慮」が必須。

5 障害者の戦争体験が浮き彫り

私事で恐縮だが、講話・講演4件、マスコミ取材10件、寄稿依頼2誌からあった。「戦争を起こすのも止めるのも人間」。中選挙区復活など公選法の抜本改正が求められる。


米津知子 よねづともこ

1948年東京生まれ。2歳でポリオに罹患。長下肢装具と電動車いす利用。70年代ウーマンリブ運動に参加、障害者で女性という立場で人口政策・優生政策からの解放を考える。「DPI女性障害者ネットワーク」のメンバー。

1 障害者差別解消法基本方針が複合差別に言及

2016年4月施行の同法の基本方針が、2月24日に閣議決定された。「女性障害者は障害に加えて女性であることにより更に複合的に困難な状況に置かれる場合があることに留意する」とある。障害女性からの多くの声の成果だ。

2 優生保護法の強制不妊手術被害者が日弁連に人権救済申立て

6月23日に開かれた集会で、子どもをもつことを奪われた女性の声を参加者約100人が受け止めた。DPI女性障害者ネットワーク(以下、女性ネット)も集会に協賛。

3 リーダー育成研修で日本滞在中のインドの障害女性から

女性ネット6月の会議で話を聞いた、ウムール・ヘール(愛称モナ)さん。自身の障害、女性が勉強する困難を逆に力にしたキラキラと明るい女性。外交政策を学び、国連で働いてトップを目指すという。すてき!

4 女性差別撤廃条約委員会にカウンターレポートとメンバー派遣

障害女性の人権確立には、女性施策への働きかけも必要。女性ネットはNGOに加わり、日本政府の国連宛報告にもの申し、7月にジュネーブの国連委員会に2人が飛んで発言の機会も得た。来年2月には10人派遣を目標に寄付を募集中。

5 差別解消法の対応要領・対応指針にたくさんのパブコメ

対応要領は国と地方自治体の、対応指針は民間企業の職員に、差別的取扱いや合理的配慮とは何かを示す。基本方針とともに法の運用に重要だ。各省庁が公開した文案に、9月以降、障害女性も多数の意見を送り反映させた。