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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2015年12月号

工夫いろいろエンジョイライフ

実用編●色の見分けに一工夫、他●

提案者:早川美奈子 イラスト:はんだみちこ

早川美奈子(はやかわみなこ)さん

網膜色素変性症による視覚障害。企業内マッサージルームで施術者として働きつつ、視覚障害や盲導犬、子育てなどの講演活動、震災被災地へのマッサージボランティア、骨髄バンクドナー登録説明員としても活動している。


色の見分けに一工夫

今やアイフォンのアプリなどで色を見分けることができるようになってきましたが、そのような機器を持っていなくても色を見分ける方法があります。

衣類には襟元の後ろや左脇下の方にタグが縫い付けられています。私はそのタグに、はさみで3ミリくらいの切り込みを入れます。白は切り込みを入れず、黄色は2か所、オレンジは3か所、赤は4か所…と、切り込みが多いほど濃い色になります。

さらに細かく分類するなら、赤系は三角切り込みの横に濃さに合わせて切り込みを増やし、青系は四角い切り込み、緑系は角を切り落とすなど、同じように切り込みを入れます。

ストッキングの後ろの縫い目にも小さなタグが付いているので、同じように切り込みを入れると色を見分ける時に便利です。


触って区別できればいい♪

買い物をして時間が経つと「あれ?これ何だったっけ?」と何を買ったのか分からなくなります。買い物のたびに点字シールを作って貼り付けるのが一番確実ですが、面倒です。

そんな日常で私がやっている工夫があります。たとえば、カレーのルーは甘口には箱の表面角に箸などで1つ穴をあけ、中辛には2つ、辛口には3つと辛さの度合いを穴の数で区別しています。シチューのルーは、ビーフには箱の角をはがして折り、クリームには両角をはがして折っておけば区別できます。

缶詰も同じ大きさならフルーツ系には輪ゴムをかけ、カットトマト、コーン、クリームソースなどには布ガムテープを細く裂いて、缶の表面に「ト」「コ」「ク」などとカタカナの文字を貼り付ければバッチリです。

1リットルの調味料、特に醤油やみりん、料理酒などは、最初からボトルの形状の違うものを購入するように心がけています。


迷って心細い時

目の見えない私たちは、まちなかや店内でどなたかの目をお借りしたい時、つい「すみません!」と声をかけがちです。でも、「すみません」だと誰かに謝っているのかと勘違いされたりします。

援助を依頼する時は「すみません、どなたか教えていただけますか?」などと声をかけると気づいていただきやすいです。…とは言え、人込みで大きな声を出すのは少し恥ずかしいし、誰にも気づいてもらえないと寂しい気持ちになります。

目の見えない人が何か迷っているような場面を見かけたら、ぜひ、肩をトントンとたたき、声をかけてくださった方の存在を示した後に「何かお探しですか?お手伝いしましょうか?」と声をかけていただけると本当にうれしいです♪

外出先で親切な方にたくさん出会えると、次に出かけるパワーも充電される感じですね♪