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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2016年11月号

列島縦断ネットワーキング【鳥取】

季節を感じるスイーツを鳥取県から発信
~お菓子工房トリシエ

谷口和弥

お菓子作りに挑戦

障がい福祉サービス事業所就労継続支援B型の向山ブルースカイでは、現在、26人の利用者の方々が「自主製品お菓子工房」、「電機部品加工」、「紙器加工」の3つの事業に分かれ、日々仕事に取り組んでいます。

従来より行なっていた電機部品や紙器加工の売り上げが減少したこともあり、約5年前から、自主製品としてお菓子工房「トリシエ」を始めました。利用者の皆さんがなるべく携わっていける作業として、お菓子作りに挑戦しています。お菓子の製造作業は、3人の利用者と職員3人で行い、各売店、ショップ、問屋などさまざまな販路で販売しています。

現在、お菓子工房トリシエの主な製造菓子は「クレープ」、「ナッツタルト」、「サブレ」、「クッキー」、「シフォンケーキ」、「プリン」です。

オープン当初は、焼菓子のクッキーを中心に製造販売していましたが、現在はクレープが人気となり、お客さまに喜んでいただいています。

クレープは「彩りつつみ」とネーミングしました。季節のフルーツや野菜などを使った筒状のクレープ(130円)が人気です。彩りつつみの特徴は、筒状に包みこんでいるため、持ち運びに便利で、どこででも食べられる大きさと手軽さが人気となっているようです。

クレープメニューは、「フルーツ」、「チョコバナナ」、「カフェオレ」、「ココア」、「梨」、「キウイ」などが人気で、現在30種類以上となっています。月に約1,500個販売しており、年々販売数が伸びています。

クレープの生地は、一枚一枚丁寧にフライパンで焼き上げています。現在、利用者の一人が担当して、製造しています。重いフライパンを毎日、何百枚と焼き上げる作業は非常に難しく、誰にでもできる作業ではありません。焼きあがった生地はとても薄く、ふわっともっちりとしており、焼き色の無い手作りならではの繊細な口あたりが楽しめるものとなっています。

スイーツ甲子園関西大会に出場

そんな人気のクレープを、昨年12月、神戸ハーバーランドで行われた第7回スイーツ甲子園関西大会に鳥取県代表としてエントリーさせていただきました。神戸といえばスイーツのショップが多く、激戦区の地域ですが、その中で鳥取県のスイーツ代表として参加できたことは、利用者にも私たち職員にも大きなチャレンジとなった大会でした。私たちの作ったお菓子が、他県の皆さんにどれだけ評価してもらえるのか、楽しみの大会でもありました。

大会に向けて、鳥取県代表としてプレゼンするクレープを新たに企画し、製造することになりました。さまざまなケーキ屋さんや乳製品加工の工場などからアドバイスをいただき、エントリー商品の方向性がまとまっていきました。鳥取県をクレープで感じてもらいたい、その中でも鳥取県名産の「二十世紀梨」を使ったクレープを考えました。二十世紀梨といえば、とてもみずみずしく、甘く、シャリシャリとした食感も特徴的です。

その二十世紀梨をさらに活(い)かすには、鳥取県の自然から生まれた「白バラ牛乳」の生クリームをふんだんに使用すること。卵も鳥取県産の卵にこだわりぬいて企画・製造は進んでいきました。製作期間は約2か月あまりしかありませんでしたが、利用者と職員が一丸となり一緒に頑張ったこともあって、何とか大会に間に合うことができました。

エントリークレープの名前は「梨花」(りんか)と命名しました。あまりご存じないかもしれませんが、梨の花は桜に似たとても綺麗な花が咲きます。「梨花」の由来は、そんな綺麗な花に負けない、薄くて、もちもちとした薄緑のクレープ生地がとても綺麗だったので「梨花」と名付けました。

大会当日の会場では、利用者と職員が一緒に参加し、プレゼンから試食、PRと全員が頑張りましたが、残念ながら優勝はできませんでした。とはいえ、神戸の市民の方々には試食の際、非常に高評価をいただき、良い思い出のイベントとなりました。

エントリーしたクレープ「梨花」は、現在、地元の鳥取二十世紀梨記念館で、定番のスイーツとして販売しています。記念館は観光スポットということもあり、県外の方々に鳥取県の美味しい梨を使ったスイーツを発信することができます。スイーツ甲子園に出場できたことが、私たち事業所にとって自信になったことはもちろん、今後につながる更なるヒントをいただけたように思います。

鳥取県の豊かな恵みを利用したお菓子作りを目指す

今後は、主力のクレープ「彩りつつみ」を中心に、焼菓子の「ナッツタルト」、「サブレ」、「シフォンケーキ」などさまざまなお菓子作りに挑戦し、鳥取県の豊かな自然と飽きのこない、誰からも愛されるお菓子を目指していきたいと思っています。

自主製品のお菓子が皆さんに愛され、売り上げも順調に伸びていけば、利用者の方々の賃金アップにもつながっていきますし、施設としても、次のステップアップになると考えています。

向山ブルースカイ「お菓子工房トリシエ」は、鳥取県倉吉市という豊かな自然とゆったりとした人情味あふれる素敵な街にあります。山陰地方へお越しの際は、ぜひそんな雰囲気を肌で感じてもらいたいと思います。

なお、クレープ「彩りつつみ」は、全国発送可能です。ホームページなどを参考にご利用ください。お待ちしています。

(たにぐちかずや 社会福祉法人みのり福祉会障がい福祉サービス事業所就労継続支援B型 向山ブルースカイ職業指導員、お菓子工房トリシエ販売営業)