「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2017年4月号
当事者の声
差別解消法から1年
新居真理
息子、優太郎は大阪府立春日丘高校定時制の3年生。人工呼吸器をつけていて、痰の吸引や胃ろうからの注入などの医療的ケアが必要で、小学校は支援学校に通いました。
支援学校では、看護師が複数配置されているにもかかわらず、親が付き添いをさせられたので、中学校は地域の学校に進学しました。そのきっかけになったのが『バクバクの会~人工呼吸器とともに生きる~』でした。バクバクの会は、人工呼吸器をつけていても、どんな障害があっても、「ひとりの人間・ひとりの子どもとして」当たり前に地域で生きていける社会の実現を目指して活動を続けている団体で、人工呼吸器を使いながら逞(たくま)しく地域で自立した生活を送っている先輩方が背中を押してくれました。
地域の中学校に入学した際、校長から「吸引や注入は人前でするものじゃない」「こんな人は来るべきじゃない」等の差別発言を受け、看護師や介助員の配置があってもなかなか関わってもらえず、親の付き添いを強要されました。少しずつ状況は改善されていきましたが、校外学習や修学旅行では最後までみんなと同じバスに乗せてもらえず、親の付き添いも外れませんでした。親の付き添いに伴う宿泊費も負担させられました。
高校受験では、前例の少ない中、看護師配置や代筆、代読などの配慮を申請して認められました。高校では看護師が配置され、親の付き添いもなく、校外学習もみんなと同じバス、公共交通機関を利用し、行くことができました。
2年生になり、差別解消法が施行され、学校でも職員会議などで合理的配慮についての話も出ていたようですが、特に変化はありません。依然として、部活動の時間は看護師の配置がされていません。また、修学旅行は、飛行機のストレッチャー席の費用や、リフト付きバスの差額分を「個人の負担」としてほしい、と府教委から言われ、何度も話し合っています。安全で無事に行程をこなすための配慮が必要であるのに、このままでは学校側は保護者に費用負担させないように、少々危険で時間がかなりかかるプランに行程を変更せざるを得ないような状況です。府教委はこういった必要経費を予算化していないので、現場が犠牲になります。本人や現場の先生、保護者ともに安心して無事故で旅行の過程を行うことが最優先なはずなのに。法律ができてもまだまだ教育の現場は変わっていません。
(あらいまり バクバクの会関西支部幹事)