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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2017年4月号

当事者の声

信じてもらえない、ぼくたちの悔しい気持ち

ピープルファースト京都

ピープルファースト京都は、知的障害者の当事者のグループです。カラオケやスポーツ、合宿、旅行、話し合いをしています。

京都では2015年に「障害のある人もない人も共に安心していきいきと暮らしやすい社会づくり条例」という条例ができました。そのあと、2016年に差別解消法がはじまりました。

条例ができたけど、内容が難しかったので、知的障害のある仲間にわかりやすいパンフレットをつくりました。

それから、条例ができて相談窓口ができたので、窓口のことを知ろうと思いました。2016年8月に、メンバーたちで、窓口にいきました。メンバーがこれまであった嫌なことを話しました。

「バスで運転手さんからしかられて、バスに乗るのがこわくなったこと」「女性なのに、お風呂介助で男性看護師が来て、イヤだったこと」「友達が、イヤだったのに、施設にいれられたこと」などについて、話しました。

知的障害者の相談が少ないので、話にきてくれてよかったと相談員の人は言ってました。(実際、2015年度、知的障害のある人の相談は1件か2件しかなかったそうです。)

窓口にいる人と話して、ぼくたちもよかったです。

その後、9月24日、事件がありました。ぼく(メンバーの一人)は、ゴーカートで乗車拒否されました。土曜のガイヘル(*ガイドヘルパー)のとき、京都市の交通公園でゴーカートに乗ろうとしたら、「運転したらあかん!」と言われました。他のおばちゃんや子どもは乗ってるのに「なんであかんのや」と思いました。奈良の生駒公園ではゴーカート乗れたのに、なんでや!と思いました。ぼくは、イライラ、パニックしました。

それから、支援者に電話しました。相談にのってもらいました。そして、京都府の相談窓口に電話しました。すると京都市の公園なので、京都市に連絡してほしいと言われました。京都市障害福祉課に電話しました。その後だいぶ待ちました。返事がないので、こちらから電話すると、「ヘルパーが運転したら乗れる」と言われました。ぼくは自分で運転したかったです。それから「免許もってますか?」と聞かれました。よくわからなかったです。また混乱しました。

その後、支援者が間に入ってくれました。京都市と話し合いをすることになりました。京都市の障害福祉課、交通公園の担当課、そしてぼくらで話し合いをしました。「ヘルパーがいる人の場合、ヘルパーに運転してもらっていた」と言ってました。それはおかしいので、障害者だけ運転禁止にしないでほしいと支援者が言いました。担当者は検討します、と言いました。それからちょっと待ちました。その後、返事があり、障害者と健常者区別なく、試し乗りして安全確認してから、ゴーカートに乗るということになりました。

12月3日、またヘルパーと交通公園にいきました。今度はゴーカートに乗れました。公園の人は、「また来てや」と言ってくれました。また行こうと思います。

最後に、今回の事例からわかることを、支援者にまとめてもらいました。

1.知的障害があると、本人の訴えが信じてもらいにくい。

2.本人が相談しても、第三者はなかなか動いてくれない。

3.本人の訴えが信じてもらえないので、差別されやすい。

4.差別されても、まわりが信じてくれないため、知的障害者への差別がなくならない。

今回の一連の経過からすると、支援者が入らなければ、結局、相談窓口も市の担当者も動いてくれなかったと思います。本人の訴えがきちんと聞かれることはなかったと思います。差別をなくすためには、みんなが知的障害者の訴えを軽く扱うことなくちゃんと時間をかけて丁寧に聞き、対応することがとても大事です。