音声ブラウザご使用の方向け: ナビメニューを飛ばして本文へナビメニューへ

「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2017年12月号

第4次基本計画 分野別の評価

文化芸術活動・スポーツ等の振興:文化芸術活動ができる環境の整備

田中正博

文化芸術活動では、第4次障害者基本計画の(案)を第3次計画と比較すると、より詳細に目標や課題が整理されていると評価します。

特に児童期からの関わりを示したことは、今後に長期的な展望を示すことになります。その際に、質の高い文化芸術の鑑賞・体験等の機会の提供が具体策を伴っていることでより分かりやすくなっています。障害の有無を超えた関わりとしては、障害の特性によって評価される芸術家等を派遣し、文化芸術活動を進めていくことは、相互の理解・啓発・促進につながると期待します。

人材育成に関して、「障害者のニーズに応じた文化芸術活動に関する人材の養成、相談体制の整備、関係者のネットワークづくり等の取組を行い、障害の有無にかかわらず文化芸術活動を行うことのできる環境づくりに取り組む。」として、具体策が示されました。「特に、障害者の文化芸術活動に対する支援や、障害者の優れた芸術作品の展示等の推進を図る。」とも記載があり、関係職員等に、障害のある人に対するサポートや理解に関する研修の実施が必要なため、活動支援、評価及びマネジメント等、人材育成の内容や成果目標等を盛り込んでより具体的に推進されることを期待します。特に芸術性が高く優れたものについては、2010年、パリでの「アール・ブリュット・ジャポネ」展を大きなきっかけとして、高い評価を受ける事例が多数出てきています。本年10月19日から25日には、文化創造都市として有名なフランスのナント市において、ナント市の文化施設と日本の文化庁が主催する国際文化交流事業が開催されました。日本の障害者の造形表現(アール・ブリュット「KOMOREBI」展は、出展者42人、総作品約900点で、14日間の会期中14,550人が観覧)や舞台表現(延べ11,000人が鑑賞)が大々的に紹介されました。このことは計画案の「広報文化外交の観点から、障害者の文化芸術活動を含む日本の多様な魅力の発信に努める。」の明記と重なります。

文化芸術振興費補助金において、聴覚に障害のある方々のためのバリアフリー字幕及び視覚に障害のある方々のための音声ガイド制作支援を行うことにより、わが国の映像芸術の普及・振興を図ると示された点も、的を射た事項として評価します。

(たなかまさひろ 2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けた障害者の芸術文化を推進する全国ネットワーク事務局長)