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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2017年12月号

第4次基本計画 分野別の評価

文化芸術活動・スポーツ等の振興

藤田紀昭

第4次障害者基本計画におけるスポーツ等の振興に関しては、障害者がスポーツを実施するための環境づくり、障害者スポーツの普及、振興、競技性の高い障害者スポーツの育成強化、地域の特別支援学校を中心とした障害者スポーツの拠点づくりの4つの項目について言及されている。これらに関連する数値目標としては、成人障害者の週1回以上のスポーツ実施率(現行19.2%、目標40%、若年層に関しては31.5%⇒50%)、障害者スポーツ指導者数(現行2.2万人、目標3万人)、パラリンピック競技大会における金メダル数(現行:リオ大会0個、目標:東京大会過去最高=17個以上)などが挙げられている。

今回の計画は次の2点において評価できる。第1点は、各地の特別支援学校等地域において障害者のスポーツを振興していくという視点が入ったことである。障害者のスポーツの普及に関しては各地域での取り組みが重要である。第2点は、現状を踏まえての数値目標が明示されている点である。とりわけ障害者のスポーツ実施率とパラリンピックでのメダル獲得数は、アウトカム指標としては分かりやすいものである。PDCAサイクルを回すためにも指標の具体化は欠かせないものであり、実施、評価、見直しを実効あるものにしていくことが重要である。なお、これらの数値は、今年度から実施されているスポーツ庁の第2期スポーツ基本計画に記載のものと同じである。

今回示された目標を達成するのはかなり大変なことである。目標達成のためにとりわけ重要なのは、地域における障害者スポーツの振興に関わる組織の連携と障害者のスポーツ指導ができる指導者の養成である。

国レベルでの障害者スポーツの普及振興は平成26年から厚生労働省の手を離れ、文部科学省、スポーツ庁によって行われている。しかしながら都道府県、とりわけ市町村では障害福祉関連部局や教育委員会の特別支援教育担当部局、保健体育担当部局などに分かれているのが現状である。まずは行政が連携をすること、そして、それぞれに関係する組織(社会福祉協議会、当事者団体、学校、競技団体等、指導者組織等)が連携することが大きな課題である。指導者に関しては教員やPT、OT、障害者施設指導員等が障害者のスポーツや運動、レクリエーションの指導ができる能力を持つことが課題である。パラリンピック後を見据えて国や地方で障害者スポーツ振興を図らなくてはならない。

(ふじたもとあき 日本福祉大学スポーツ科学部部長)