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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2018年2月号

時代を読む100

日本難病・疾病団体協議会(JPA)の結成と難病法

日本の患者会は、戦後間もなく当時の難病であったハンセン病や結核の療養所から始まった。1960年代にはさまざまな患者会が設立され、これらの患者会は協議会として繋(つな)がっていく。1972年、難病の患者団体「全国難病団体連絡協議会(全難連)」が結成され、1975年、長期慢性疾患の患者団体「全国患者団体連絡協議会(全患連)」が結成された。また、各都道府県で活動する地域難病連の連絡組織として、1975年には「地域難病連連絡会(地難連)」が設けられた。

やがて地難連と全患連が合併して、1986年「日本患者・家族団体協議会(JPC)」が結成された。さらにJPCと全難連は、難病・長期慢性疾患・小児慢性疾患対策の拡充を求め、全国の統一組織として、2005年5月29日「日本難病・疾病団体協議会(JPA)」が設立。2011年5月には、一般社団法人へと改組した。

日本の難病対策は、1972年に難病対策要綱が策定され、調査研究の推進、医療機関等の整備、医療費の自己負担の軽減を3本柱として始まった。1989年地域保健医療の推進、1996年QOLの向上を目指した福祉施策の推進が盛り込まれた。2003年には各都道府県に難病相談支援センターが設置され、患者団体が運営を受託しているところもあり、ピアサポートが重点的に行われている。

2001年には、厚生科学審議会疾病対策部会に専門家による難病対策委員会が設置された。2009年2月の第8回難病対策委員会より患者・家族の当事者団体から2人の代表者が委員となり、同年7月の第9回委員会でJPA前代表理事の伊藤たてお氏が「新たな難病対策・特定疾患対策を提案する」として、日本の難病対策のあるべき姿について提言を行なった。2011年12月委員会でまとめられた中間的な整理では、難病は遺伝子レベルの変異が一因であるものが少なくなく、国民の誰もが難病を発症する可能性があるとの認識となり、社会で包含して支援していくことが必要であることを難病対策の基本的な認識とし、法制化に向けて検討が行われる。2013年1月、難病の治療研究を進め疾病の克服を目指すこと、地域で尊厳を持って生きられる共生社会の実現を目指すことを基本理念とする提言が示された。2014年2月「難病の患者に対する医療等に関する法律案」及び「児童福祉法の一部を改正する法律案」が閣議決定され、国会に法案が提出された。国会にはJPAからも参考人として意見を述べ、全会派一致で5月23日に法案が成立し、2015年1月より難病法が施行された。

難病法は実施後もさまざまな課題が出てきており、JPAはその修正を厚労省に働きかけている。患者団体の社会的な役割はさらに重要となっている。

(森幸子(もりゆきこ) 一般社団法人日本難病・疾病団体協議会代表理事)