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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2018年2月号

霞が関BOX

Specialプロジェクト2020
~特別支援学校でのスポーツ・文化・教育の祭典~

スポーツ庁健康スポーツ課障害者スポーツ振興室

1 はじめに

本誌2017年6月号では、第2期スポーツ基本計画における障害者スポーツについての目標や取組等に関する概要を紹介しました。

この基本計画で障害者スポーツの振興等について定めた17の具体的施策のうち、障害のある幼児、児童及び生徒が通う特別支援学校を活用するものとして、「国は、地方公共団体等と連携し、2020年に全国の特別支援学校でスポーツ・文化・教育の全国的な祭典を開催することにより、2020年東京大会のレガシーとして地域の共生社会の拠点づくりを推進する。」というものがあります。

今回は、この実現に向けてスポーツ庁が2017年度から実施している「Specialプロジェクト2020」の概要を紹介します。

2 Specialプロジェクト2020とは?

2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会(以下、「2020年東京大会」)の開催まで、いよいよあと2年半となりました。スポーツ庁を含め、関係者が一体となってその成功に向けて取り組んでいます。一方、たとえば重い障害をもつ方のように、2020年東京大会を観戦することも困難である等、その開催を身近に感じることが難しい方々も少なくありません。そこで、全国各地の特別支援学校で祭典を開催することで、そのような方々が身近な特別支援学校で開催される祭典に参加して「ほんもの」のスポーツや芸術に触れて感動できる機会とし、2020年を特別な年と実感してもらうことを目指す取組が、「Specialプロジェクト2020」です。

この祭典に、地域の人々が障害のあるなしにかかわらず参加することで、障害の有無等を超えて誰もが心を触れ合う機会となり、さらには特別支援学校が障害の有無や年齢、性別を超えた地域の共生社会の拠点となっていくことによって、2020年東京大会のレガシーの一つとも言える「共生社会の実現」につながることも願っています。

3 2020年に向けた取組の概要

それでは、「Specialプロジェクト2020」において現在進めている事業のうち、「祭典に向けたモデル事業」、「特別支援学校を活用した地域における障害者スポーツの拠点づくり事業」及び「特別支援学校を対象とした全国的なスポーツ・文化大会の開催支援」の3つの事業について、概要と事例を紹介します。

(1)祭典に向けたモデル事業の実施

地域でモデル事業を実施し、そのノウハウを蓄積して全国に紹介していくことで、2020年に各地の特別支援学校で祭典を行うための体制整備を推進します。

2017年度は、北海道、徳島県及び京都市の3つの地方公共団体で実施しています。たとえば北海道では、函館市、網走市及び稚内市の3か所の特別支援学校で、パラリンピアンとの交流、北海道ゆかりのパフォーマーやアーティストによるパフォーマンス、料理家との調理体験など、さまざまな催しが行われ、一部の会場では近隣の小中学校や地域の方々も参加しました。

(2)特別支援学校を活用した地域における障害者スポーツの拠点づくり事業

特別支援学校では運動部活動への参加機会が限られているなど、学校における障害児のスポーツ環境は十分とは言えないのが現状です。他方、3割以上の特別支援学校の運動部活動・クラブ活動に卒業生が参加している1)ように、スポーツの場としての特別支援学校は在校生のためのものだけにとどまらない、という実態があります。

これらを踏まえ、特別支援学校が地域の障害者スポーツの拠点となっていくよう、特別支援学校における運動部活動等を充実するとともに、特別支援学校を拠点とした障害のある方が参加できる地域スポーツクラブの設立を支援する事業を行なっています。

2017年度は、滋賀県、鳥取県、福岡県及び神戸市の4つの地方公共団体と、国立大学法人弘前大学が実施しています。

(3)特別支援学校を対象とした全国的なスポーツ・文化大会の開催支援

特別支援学校の児童・生徒が参加できる全国的なスポーツの大会は、障害のない児童・生徒が参加できるものと比較すると、極めて少ないのが現状です。

そこで、Specialプロジェクト2020の趣旨を踏まえ、スポーツに限らず文化も含めた特別支援学校での活動の充実を図るため、特別支援学校のスポーツ・文化活動の成果を披露するための全国大会の開催を支援する事業を行なっています。

2017年度は、3つのスポーツの大会の支援を実施しています。昨年7月には、その一つとして「第2回全国特別支援学校ボッチャ大会(ボッチャ甲子園)」が東京都港区で開催され、前年大会の2倍の36校が参加しました。大会には義家文部科学副大臣(当時)が出席し、出場選手やリオデジャネイロパラリンピック銀メダリストとの交流試合にも参加しました。

このほか、2月17日(土)~18日(日)には、静岡県藤枝市で知的障害者サッカーの第3回全国知的障害特別支援学校高等部選手権大会が開催されます。開催地のお近くにいらっしゃる読者のみなさま、大会の観戦に行ってみませんか?

図1 Specialプロジェクト2020のイメージ図
図1 Specialプロジェクト2020のイメージ図拡大図・テキスト


【参考文献等】

1)平成28年度スポーツ庁委託事業「地域における障害者スポーツ普及促進事業(障害者のスポーツ参加における障壁等の調査分析)」