医学、職業、教育および社会各4分野に関する将来のための指針は、1972年8月、オーストラリアのシドニーにおいて、国際障害者リハビリテーション協会およびオーストラリア障害者リハビリテーション協議会によって共催された第12回世界リハビリテーション会議に集まった参加者の総意として結集されたものである。世界各地において障害者のためのサービスに広い経験を有する、千五百人以上にのぼる個人、ボランティア、専門職者が、この草案作成に協力をしてくれた。
本指針の最初の草案は、リハビリテーション・プロセスを構成する上記主要4分野において必要とされる活動の主要方向を打ち出す目的で、国際障害者リハビリテーション協会の医学委員会、職業委員会、教育委員会、社会委員会によって、それぞれ作成された。
これらの草案は、第12回世界リハビリテーション会議開催直前に、オーストラリアのシドニー、アデレード、メルボルン、ブリスベインの4都市で開催された各セミナーにおいて、その参加者によって検討が加えられた。また、第12回世界リハビリテーション会議の総会においても、会期中に、書面をもってか、または円卓討議に参加し、指針に対する提案事項を提出してほしいと、全参加者に要請した。
このようにして出されたすべての資料をもとにして、上記4委員会が、以下のような「指針」の改訂版を作成したのである。しかしこのようにして完成された「指針」は、討議中に出されたすべての意見のニュアンスをとらえていないし、各種様々な見解をあまねく網羅してもいないし、また、国際障害者リハビリテーション協会やその他の機関が正式に採択したものでもない。そうではなくて、この「指針」は、第12回世界リハビリテーション会議に集まった多くの人々の総意を表すものであり、また、リハビリテーション事業をより発展させるために最も力を入れるべき諸事項を明確化するものである。
このような発展に寄与する立場にあるすべての者に、是非読んでいただきたく、またそれに十分に値するものである。
1972年12月20日
国際障害者リハビリテーション協会事務総長 Norman Acton
(財)日本障害者リハビリテーション協会発行
「リハビリテーション研究」
1975年7月(第18号)2頁