職業  職業評価関係職員の分類と活用についての指針

<職業>

職業評価関係職員の分類と活用についての指針

Guidelines for the Classification and Utilization of Vocational Evaluation Personnel

Julian M.Nadolsky,Ed.D. *

大木勉**

序言

 職業評価とは、身体的・精神的あるいは情緒的障害の結果として雇用障害に直面している人についての評価というニードを充足するために生まれた専門領域である。最近では、職業評価サービスは、社会構造の意味・内容を理解できないがために、雇用に支障のある文化的障害者にも手を広げてきている。その対象とする障害の態様とはかかわりなく、実用的かつ実際的な職業評価プログラムが、社会的依存性や不適応性をもっている人々に伴う雇用障害を解決するための重要な手段となったわけである。

 マスコミュニケーションの結果として、我々の社会は、障害並びに貧困に関したいくつかの問題を深く認識するようになった。我々の市民は、豊かな社会においても貧困がありうるとか現存しているという事実を知らされてきたし、更に、各種障害をもつ人々の間に貧困が広がっていることにも関心を示している。これらの人々の窮状が広く知られることにより、職業評価への国民的関心が深まり、関連サービス拡充を求める圧力が高まってきている。これらの要請にこたえるため、職業評価という専門領域が、職業評価サービスを提供する数多くの人々の間に急速な発展をみるに至ったのである。

 職業評価関係職員は、増大かつ多様化するグループに効果的なサービスを提供することを強く求められてきており、他方、職員養成プログラムにも、職業評価を志す学生に対して明確な知識体系をさずける責任が課せられてきている。これら職員養成プログラムは数も比較的少なく、現存する職業評価プログラムの職員確保のニードを満たすまでにも至っていない。職業評価関係職員についての特別な養成プログラムが広く行きわたっていないために、職業評価の分野に進む大多数の者は、職業評価プロセスをめぐる〈周辺の〉事柄について多様な教育訓練を受けているにすぎない。このような状況では、職業評価関係職員として独立の機能を果たすことは困難であろう。従って、職業評価の中核や〈中心的な〉事柄に通暁するためには、更に補足的な特別の訓練を受けるか的確かつ適切な経験を積んでゆくか、どちらかが必要となるであろう。

職員分類についての問題

 職業評価の分野では、近年職員数が急速に増加するに伴い、その技術面も範囲が大きく広がった。こういった背景のなかで、職業評価という比較的若い専門領域は、多様な教育ないし現場経験をもつ職員を活用して、その機能を果たさなければならない。既に確立している他の専門職と異なって、職業評価の分野へ入っても、専門職としての資格要件、業務内容、倫理について厳密な内部綱領によって規制されることがない。厳しい内部の専門職綱領に規制されるよりも、職業評価関係職員の資格要件、業務内容、倫理、責任範囲は、現在では、それぞれの所属する機関の現実の必要に応じて定められているのである。

 対象者のタイプに応じて、職業評価関係職員は、対象者個々の特定のニードに焦点を絞り、全職業評価過程を通じて個別化された対象者のゴールを支えてゆくということが絶対必要である。この専門領域は、現在、職員の選定とか活用のための共通な一定基準を欠いているけれども、そのサービスの効果というものは従事職員の資格次第というわけである。言い換えれば、職業評価の成功の程度は次の相互に関連した二つの要因に大きく依存している。①職員の能力のレベル、②採用可能な職員の最大限の活用。

 養成プログラムの数が限られている分野では、職員の確保に当たって、そこで教育訓練を受けている志望者だけをあてにしているわけにはいかない。更には、職員の採用と活用が、専門職としての資格要件、業務内容、責任範囲についての共通な内部綱領がないことによってより複雑になっている。職員の採用や活用の指針というものは、学力のレベルとか確立された専門職綱領に基づくよりは、職業評価過程の本質や職員がその過程で遂行すべき業務内容のタイプから導き出されなければならないものであろう。職業評価過程やその関連の業務内容に注目することによって、一連の職員の分類・定義や職員構成類型が職業評価プログラムに資するように作成できるようになる。職員の分類・定義を応用して有能な職員を確保できるであろうし、一方、確立された職員構成類型を守ることで個々の職員がプログラム内で効果的に活動できるようになるだろう。これら二つの「職員に関する」要因に焦点を絞った結果として、まず定義を作成して職業評価関係職員を7種のレベルに分類し、次いで指針を立てて、職業評価プログラムの規模の大中小に応じての職員構成類型を考案した。その定義と類型について以下に述べ、検討してみたい。

職員の分類・定義の作成

 プログラムのニードを充足しかつプログラムが拡充し、職員が昇進してもそのなかで一貫性が維持できるようにするために、職業評価関係職員を7種の職に分類してみた。これらの職は、職業評価対象者に提供されるサービスのすべてに対応しており、また、職業評価期間中に職員によって行われる多様な業務内容を体系的に包含している。定義は次のようになっている。つまり、2種類の補助員、2種類の技術員、3種類の専門員。3分類のそれぞれ最初のレベルは見習職員のためのものであり、次のレベルは十分に経験を積んだ職員のためのものである。専門員の第三のレベルは指導監督者を想定してのものである。

 それぞれの職を定義するための体裁は次の項目に基づいている。つまり、職の名称、分類レベル、業務内容、必要な能力(例えば知識、技能、応用力)、資格要件、特徴である。職の名称、業務内容、特徴はそれぞれの職の一般的内容の理解を助けるためのものであり、必要な能力や望ましい資格要件は適切な職員の採用の際に配慮されなければならない特定の内容を強調したものである。

 数字の分類が全部で1から11までに広がっていて少々まぎらわしいが、これは各職に要請される内容の説明に便利なように作成されたからである。この分類法は、高い数値の職では低い数値のものよりも、より高い能力を要請されることを端的に示している。しかしながら、その数値が各職間の能力の程度のちがいを正確に示すものと理解されてはならない。言い換えれば、この数値分類法は距離を示す尺度というよりも順序を示す尺度に基づいているものといえよう。

 この分類法が7種の職の間の複雑さの程度から相互の違いを明らかにする指針として導入されたということに注目してほしい。それぞれの職を示す数値は、各州の教育庁(Departments of Education)や職業リハビリテーション部(Divisions of Vocational Rehabilitation)の組織のなかの現存の職を示す分類番号と一致するものはではない。

 職業評価関係職員の分類のために作成された7種の職を以下に述べる。それぞれ詳細にかつ全く同一の項目に従って説明しているので、蛇足は要しないであろう。

職名:職業評価補助員 Ⅰ

分類:1

業務内容

 評価チームの一員として、対象者とその家族への職業評価プログラムの説明ないし解説を補助すること。職業評価補助員Ⅱが対象者の通所交通手段を手配し、確実な委託機関を確保し、更に対象者と評価職員間あるいは対象者が必要とするサービスの連絡役として業務を遂行することを補助すること。評価プログラムに通常欠かさず行われる業務の実施方法を習得すること。この職にある者は見習生とみなされる。職業評価専門員Ⅲの全般的な監督の下に、職業評価補助員Ⅱないしその他の評価職員の傍らで仕事を行うことになる。

必要な能力

知識

1.対象予想者群が居住している地域社会の内情を若干知っていること。

2.地域社会のなかで対象予想者群が利用できる各種サービスを若干知っていること。

技能

1.個人のもつ特定の問題を認識し、かつ地域社会のサービスを必要とする人かどうか認定できる若干の技能。

2.人を適切な地域社会サービスが利用できるようにするための若干の技能。

応用力

1.所定のプログラムの与えられた条件のなかで、他と協調して仕事ができる能力。

2.指導監督を受け入れ、更には職業評価補助員Ⅱとして単独で業務を行うに必要不可欠な知識・技能を習得できる能力。

資格要件

 これは、地域社会のなかで独立した生活を営めるように人々を援助することに関心を示す者のために設けられた初歩的レベルの職であり、一定の学力水準は必要としないけれども、職務上必要な国語力(読み書き話し、正確に綴れる力)を駆使できる人物でなければならない。加えて、職業評価補助員・の業務を習得できる能力をもっていることが必要である。

特徴

 この者は、この部署のあらゆる側面に習熟するまで、現場の実際の訓練と指導監督を受けることになろう。また、職業評価補助員のための短期間ないし所内訓練プログラムに参加することもあろう。補助員として単独で業務を遂行できるようになれば、職業評価補助員Ⅱへの昇格に支障がないとみなされるようになろう。

職名:職業評価補助員 Ⅱ

分類:2

業務内容

 対象者がこのプログラムから最大限の効果を確実に得られるように、対象者とその家族に対し、職業評価プログラムを説明ないし解説するに十分な能力を発揮すること。対象者のこのプログラムへの通所交通手段を手配し、確実な委託機関を確保し、対象者と評価関係職員との良き連絡役となり、必要とされたサービスの実施を援助すること。更にはまた、評価プログラムの通常欠かさず行われる業務(例えば、次回実施のための作業標本材料の準備・作成)を行うこと。単独で業務を処理するが、職業評価専門員Ⅲの全般的な監督を受ける。

必要な能力

知識

1.当該施設の職業評価プログラムの所定の目的、機能、範囲、手順について知っていること。

2.対象予想者群の居住している地域社会の内情を十分知り、また個人の成長と発達を平常妨げている地域社会(周辺を含めて)内部の一般的特徴についても知っていること。

3.地域社会のなかでの統合と成長を促進するためのもので、対象予想者群が利用可能な各種サービスを知っていること。

4.次回実施のため評価器具を整理整頓したり、通所交通手段を手配したり、有効な対象者かどうか認定したり、委託機関から情報を収集するなど職業評価プログラムの各種通常業務を行うための所定の方法について知っていること。

技能

1.職業評価プログラムの対象かどうかを認定できる技能。

2.職業評価プログラムを対象者に説明ないし解説できる技能。

3.対象者のもつ諸問題を発見し、これらを他の職業評価関係職員に伝達できる技能。

4.職業評価プログラムの所定の通常業務を遂行できる技能。

応用力

1.諸サービスが所期の目的を確実に達成できるようにするために、対象者とその家族、他の職業評価関係職員、更には他のリハビリテーション機関の職員との間に、業務上の緊密な関係を保持できる能力。

2.対象者、家族、職業評価プログラム、地域社会の利益となるように、その知識・技能を発揮できる能力。

資格要件

 この職は、職業評価サービスの対象となりかつそれを活用できるように人を援助することに、興味と能力を示す者のためのものである。この職には、一定の学力水準は必要でないが、業務遂行に必要な国語力(例えば読み書き話し、正確に綴れる力)を駆使できることが必要である。更に関連領域での2年間の実務経験か職業評価補助員Ⅰとしての1年間の経験かのいずれかを必要とする。

特徴

 この職の職員は、職業評価専門員Ⅲの全般的な監督の下に、与えられたすべての業務を十分にかつ単独で遂行できなければならない。他の評価関係職員のために通常業務を行う際には、当該職員から関連の指示や監督を受けることになろう。

職名:職業評価技術員 Ⅰ

分類:4

業務内容

 職業評価プログラムの技術的業務の実施を補助すること。精神測定テストや作業標本の実施に際し試験監督者としての役割を果たすこと。職業評価専門員Ⅲの指導の下で、精神測定テストや作業標本の実施とか得点化の方法、チェックリストや評価スケールの使用法、職業評価技術員Ⅱの行う諸様式への各種データの記入法を習得すること。この地位にある職員は見習生とみなされる。技術的業務の単独での実施は求められない。

必要な能力

知識

1.職業評価の目的について若干知っていること。

2.人間の通常の行動とその変化について若干知っていること。

3.評価器具を使用してのテストの実施や得点化とかデータ記録についての標準手順を若干知っており、かつそれを尊重すること。

技能

1.標準化された手順どおりできる若干の技能。

2.データ記録用各種様式を取り扱う若干の技能。

3.行動観察についての若干の技能。

4.データ処理についての若干の技能。

応用力

1.対象者と効果的に仕事できる能力。

2.指導監督を受け入れ、かつ職業評価技術員Ⅱとして単独の業務遂行に必要な知識・技能を習得できる能力。

資格要件

 これは、各種評価器具の利用法の習得に興味がありかつデータを収集、記録、正確に処理できる能力をもっている者のための新任レベルの技術職であり、少なくとも高卒ないし同等の資格とソーシャルまたはリハビリテーション分野での2年間の経験を必要とする。リハビリテーション教育、心理学、社会学、その他の関連学科での大学1年課程修了者もこの職の有資格者であろう。

特徴

 この職員は、技術職員としての全側面に十分習熟するまで、現場での実際の訓練と指導監督を受けることになろう。また、職業評価技術員のための短期間かつ所内の訓練プログラムに参加することになろう。

 技術員として単独にかつ十分に業務を遂行できるようになれば、職業評価技術員Ⅱに昇格可とみなされるようになるだろう。

職名:職業評価技術員 Ⅱ

分類:5

業務内容

 職業評価専門員Ⅱの主宰する職業評価プログラムの技術的業務を担当する。これらの担当業務には、精神測定テストや作業標本の実施とか得点化、チェックリストや評価スケールによる行動の観察と記録、テスト、作業標本、チェックリスト、評価スケールの記録用紙への記入が含まれている。この地位にある職員は単独に業務を行うが、職業評価専門員Ⅱの指導監督を受ける。

必要な能力

知識

1.所属機関で実施されている職業評価過程を知っていること。

2.的をついた観察と記録に必要な人間の行動について知っていること。

3.評価器具の一般的特徴について、その実施や得点化のための標準手順を含めて知っていること。

技能

1.職業評価プログラムで採用されている特定の精神測定テストや作業標本の実施とか得点化ができる技能。

2.職業評価プログラムで採用されている特定のチェックリストや評価スケールによって行動を観察し記録できる技能。

3.手引書とか記録用紙に示された手順に従って、各種評価器具によって得られたデータを記録し移項できる技能。

応用力

1.対象者との間に目的的な協調関係を保持できる能力。

2.的確なデータを収集するために知識・技能を発揮できる能力。

3.指導監督を受け入れ、発見した事柄を他の職業評価関係職員に伝達できる能力。

資格要件

 この職は、職業評価において所定の技術的業務を単独に遂行するのに必要な知識と技能をもっている者のためのものである。最低限、高卒か同等の資格とソーシャルまたはリハビリテーション分野における3年間の経験(内1年は職業評価技術員Ⅰとしての経験でなければならない)を有していること。リハビリテーションまたは関連学科での大学1年課程修了者で職業評価技術員Ⅰとして1年の経験を有する者も有資格者である。職業評価技術について2年間学んで準学位(Associate Degree)を有している者は即有資格者とみて良い。

特徴

 この地位の職員は、与えられたすべての技術的業務の遂行を担当する。職業評価専門員Ⅱの主宰による各種器具使用のテストや作業標本を実施しかつ得点化し、関連データを収集することになろう。しかしながら、データの解釈や発見事項のまとめは担当しない。

職名:職業評価専門員 Ⅰ

分類:8

業務内容

 指導監督を受けながら、適切な診断方法や手順に従って、障害者の作業行動や職業能力の評価を補助すること。この地位の職員は見習生とみなされる。障害者の評価プログラム全部は担当しない。

必要な能力

知識

1.職業評価の歴史、思想、目的、機能、範囲について若干知っていること。

2.人間の行動について若干知っていること。

3.各種障害群に生起する問題について若干知っていること。

4.職業評価に用いられているいくつかの方法、手順について若干知っていること(例えば、生育歴、面接、精神測定テスト、作業標本、場面設定作業、作業試行)。

5.対象予想者群に利用可能な地域社会資源について若干知っていること。

6.産業界について若干知っていること。

技能

1.生育歴を収集し活用できる若干の技能。

2.面接についての若干の技能。

3.基礎的な精神測定テストあるいはまた作業標本を使用できる若干の技能。

4.行動を観察し記録できる若干の技能。

応用力

1.1対1の関係で対象者と仕事ができる能力。

2.指導監督を受け入れ、職業評価専門員Ⅱとして単独に業務を遂行するのに必要不可欠な知識・技能を習得できる能力。

資格要件

 これは、職業評価業務を行う意欲はあっても、所定の教育や経験が十分でない者のための新任レベルの専門職である。最低限、リハビリテーションサービス教育、心理学、社会学、工芸、特殊教育、その他関連学科での学士号が必要であろう。

特徴

 職業評価の全側面に習熟するまで、現場での実際の訓練とか指導監督を受けることになろう。職業評価専門員としての短期かつ所内の訓練プログラムに参加することもある。職業評価専門員として単独で業務遂行可になれば、職業評価専門員Ⅱの有資格者とみなされよう。

職名:職業評価専門員 Ⅱ

分類:10

業務内容

 適切な診断法、診断過程を選択、使用することにより、1対1の関係にて障害をもつ対象者の作業行動とか職業の可能性を評価すること。この地位にある者は1人前の専門職とみなされる。担当する障害をもつ対象者の職業評価全過程を指揮する責任を負う。

必要な能力

知識

1.リハビリテーションに適用される職業評価過程の歴史、思想、目的、機能、範囲について知っていること。

2.職業的意思決定に関連する1人1人の人間行動について知っていること。

3.対象予想者群に固有の特色とか通常生起する問題について知っていること。

4.職業評価の初期に実施される評価技術(例えば、生育歴、評価面接、精神測定テスト)についての原則、手順、目的を知っていること。

5.職業評価の中期以降に実施される評価技術(適職開発プログラム、作業標本、場面設定作業、作業試行等)についての原則、手順、目的について知っていること。

6.対象予想者群に利用可能な各種サービスを知っていること。

7.産業構造とその対象者との関連について知っていること。

技能

1.生育歴を収集、分析、解明する技能。

2.面接の技能。

3.通常使用される精神測定テストを実施、得点化、解釈する技能。

4.適職開発過程を実施する技能。

5.通常使用される作業標本を実施、得点化、解釈する技能。

6.施設内または地域社会のなかで作業試行の機会を拡大し活用する技能。

7.行動を観察、分析、記録する技能。

8.必要な資格要件を明らかにするための作業分析を行う技能。

9.職業評価データをまとめ、記録として作成する技能。

応用力

1.対象者との間に、しかるべき目的的な大人の人間関係が保持できる能力。

2.対象者の職業的な意思決定行動を発達させ促進するために、知識・技能を的確に選択的に発揮できる能力。

資格要件

 これは、1人前の職業評価専門員としての専門的な職である。この職にあるためには、リハビリテーションサービス教育、心理学、社会学、工芸、特殊教育、その他関連学科での学士号をもっていることを最低限とし、更に、職業評価分野での2年間の所定の経験ないし職業評価に関する修士号をもっていることを必要とする。

特徴

 この地位にある者は、担当する対象者すべての職業評価プログラムに対し責任を負う。その業務の一部を職業評価補助員とか技術員、見習生に担当させる場合には、それを指揮監督することになろう。

職名:職業評価専門員 Ⅲ

分類:11

業務内容

 適切な診断法、診断過程を選択、適用することにより、1対1の関係にて障害をもつ対象者の作業行動とか職業可能性を評価すること。職業評価の全過程とその連絡調整を担当すること。対象者を他の職業評価専門員に担当させ、評価関係全職員に全般的な指導監督を行うこと。この地位にある者は、監督者的上級専門職員とみなされる。

必要な能力

知識

1.リハビリテーションに適用される職業評価過程の歴史、思想、目的、機能、範囲について熟知していること。

2.職業的意思決定の発達に関連する1人1人の人間行動について熟知していること。

3.対象予想者群に固有の特色とか通常生起する問題について熟知していること。

4.職業評価の初期に行われる評価技術(生育歴、評価面接、精神測定テスト)についての原則、手順、目的を熟知していること。

5.職業評価の中期以降に行われる評価技術(適職開発プログラム、作業標本、場面設定作業、作業試行)についての原則、手順、目的を熟知していること。

6.対象予想者群に利用可能な各種サービスについて熟知していること。

7.産業構造とその対象者との関連について熟知していること。

8.職業評価プログラムを開設し維持し監督する方法を知っていること。

技能

1.生育歴の収集、分析、解明に精通していること。

2.面接技法に精通していること。

3.精神測定テストの実施、得点化、解釈に精通していること。

4.適職開発プログラムの実施に精通していること。

5.作業標本の実施、得点化、解釈に精通していること。

6.施設内または地域社会における作業試行の機会の開発、活用に精通していること。

7.行動の観察、分析、記録に精通していること。

8.必要な資格要件を明らかにするための作業分析に精通していること。

9.職業評価データのまとめと報告書作成が十分可能なこと。

10.他の職業評価関係職員の活動を指導監督できる技能。

応用力

1.対象者との間に、しかるべき目的をもった大人の人間関係を保持できる能力。

2.対象者の職業的意思決定を発達させるために、知識・技能を選択的に発揮できる能力。

3.他の関係機関の職員とか他の職業評価関係職員との間に、効果的な業務関係を保持できる能力。

4.他の職業評価関係職員に対し、指導監督と技術的助言ができる能力。

5.職業評価プログラムで一貫性と持続性の維持に必要なリーダーシップを発揮できる能力。

資格要件

 職業評価の現場では最も高いレベルの職であって、監督者的上級専門職員のためのものである。この地位には、最低限、リハビリテーションサービス教育、心理学、社会学、工芸、特殊教育、その他関連学科での学士号と職業評価分野での3年の実務経験があるか、あるいは職業評価での修士号を有しかつ1年の実務経験があることを必要とする。

特徴

 この職にある者には、職業評価の全過程並びにそれに従事する職員の機能を発揮させかつ成長・発展させることの責任が課せられている。対象者の受託、記録、報告の方法を含め、職業評価方法の体系を樹立し維持することも同様である。職業評価専門員のための短期又は施設内の訓練プログラムの主宰や、職業評価志望の学生に実習ないしインターンの機会を設けることによる大学の養成プログラムへの協力も求められよう。

 職業評価についての7種の職の分類定義を分析してみると、それぞれの職に明確な業務内容と特徴があり、それらにふさわしい能力がいくつか求められ、更に必要な資格を取得する方法が明らかにされている。加えて、分類番号により各職間の複雑な関連が一層明確にされている。これら7種の職とその分類番号によるレベルは、表のとおりである。

 分類レベルと給与との関係を明らかにするために、表ではそれぞれについて望ましい給与額も示している。給与額は、最下位の分類レベルの給与がほぼ時間給2ドルという比率に匹敵すべきであるという仮定に基づいている(これは、現在の米国経済における妥当な最低賃金と思われる)。この比率は常勤職員の年俸に換算すると(1週40時間、1年52週として)4160ドルになる。このようにして、分類レベル1の職の年俸額4000ドル~4400ドルが計算された。残りの10分類についての年俸は、番号順に従って、12.5%の上昇率により計算されはじき出されたものである。

 最低賃金の概念は給与額のいわば最低線を示すものとして用いられているので、それぞれの分類レベルについて望まれる給与額も、米国の現在の経済情勢からみた妥当な最低線を示す数字としてみるべきである。もちろん、表に示された年俸額には特別給与は何ら含まれていない。そのような給与については、職業評価プログラムの直接経費を算出する際、補足的な職員給与として考慮に入れなければならない。

 この表を分析すれば、職業評価に携わる7種の職について、必要とされる能力(例えば分類レベル)と例示された給与額との間に直接の関連があることがわかる。補助員、技術員、見習専門員、専門員という各職ごとに求められる能力の程度の違いを明らかに示すために、分類レベル3、6、7、9は職業評価関係職員としては空欄になっている。給与額はそれぞれの11分類について12.5%増の割合で計算されているけれども、職業評価関係職員の段階づけに使われた7段階についてのみ表に示した。残りの4分類レベルについて給与額が除外されているのは、混乱をさけるためと、更には職業評価関係職員の各職間の複雑さの程度と正当な報酬との間の関連を強調するためである。

職業評価分野の7種の職についての分類レベルと望ましい年俸額との関連
分類レベル 職業評価における職名 望ましい年俸制
職業評価補助員Ⅰ 4,000 ~4,400 ドル
職業評価補助員Ⅱ 4,500 ~4,950 ドル
   
職業評価技術員Ⅰ 5,696 ~6,265 ドル
職業評価技術員Ⅱ 6,408 ~7,048 ドル
   
   
職業評価専門員Ⅰ 9,123 ~10,035ドル
   
10 職業評価専門員Ⅱ 11,546~12,700ドル
11 職業評価専門員Ⅲ 12,989~14,288ドル

  職員構成類型の展開

職業評価プログラムに配置される職の数と種類は、それぞれのプログラムが地域社会から活用される程度に基づいて定められるべきである。従って、個々の職業評価プログラムの特色を正確に表すとなれば、それぞれ独自の職員構成とすることが必要になろう。しかしながら、職業評価プログラムの本来の内容並びにその効果的な運営、機能発揮に必要不可欠な職員のタイプに焦点を絞り、多くの評価プログラムの必要性を満たしながら、一連の職員構成類型を展開することはできるのである。

 プログラムの規模の違いに基づいて、職業評価における職員当たり対象者数から3種の職員構成類型を考えてみた。これら3種類の類型は、職業評価プログラムの組織規模の小・中・大に対応するものである。更には、各種関係職員間の相互関係にもふれている。各プログラムの規模の違いを1日当たり平均対象者数からみると、小規模では6名、中で15名、大で20名ということになる。

 職業評価の機能を発揮するに必要な職員の数とタイプは、プログラムの平均対象者数から直接的に導き出されるので、正確な職員当たり対象者数が3種の各職員構成類型に確立され維持されている。職業評価プログラムの職員当たり対象者数は(規模に関係なく)、常勤専門職員(例:職業評価専門員Ⅱ)1名当たり6名とされている。この比率は各類型ごとに守られているけれども、常勤専門職員のいずれもが職業評価技術員Ⅱとか見習専門職員(例:職業評価専門員Ⅰ)のいずれかから、直接の協力を得られるということが前提となっている。指導監督に当たる上級専門職員(例:職業評価専門員Ⅲ)についての職員当たり対象者数は、各専門職員(例:職業評価専門員Ⅱ)の最大担当ケース数の1/4に縮減されている。職業評価専門員Ⅲは指導監督と同様所内訓練も担当するので、職業評価技術員Ⅰ(図2、図3参照)を直接的に訓練しかつその協力を得るということになる。加えて、職業評価においては、対象者15名につき常勤の有能な補助員(例:職業評価補助員Ⅱ)1名が必要とされ、また新任の補助員(例:職業評価補助員Ⅰ)が1日当たり20名かそれ以上の対象者をプログラムに受け入れるために 1名は必要とされることになっている。職業評価プログラムの規模の小・中・大に応じての必要な職については図1~図3に示した。

図1 小規模の職業評価プログラムにおける職員構成類型
図1 小規模の職業評価プログラムにおける職員構成類型

 小規模の職業評価プログラムの職員構成は図1のとおりである。本図では、1日当たり平均6名の対象者に職業評価プログラムの効果的なサービスを実施するのに必要な職員を示しているので、先に述べた職員当たり対象者数は厳守されていることになる。

 図1を分析してみると、小規模プログラムではその日々の業務を実施するために最小限の職員が必要であることがわかる。このようなプログラムでは指導監督に当たる上級専門職員(例:職業評価専門員Ⅲ)は必要でない。なぜなら、有資格の常勤専門職員1名が職業評価技術員Ⅱの援助を得てその効果的な実施に当たっているからである。

図2 中規模の職業評価プログラムにおける職員構成類型
図2 中規模の職業評価プログラムにおける職員構成類型

 中規模の職業評価プログラムの職員構成は図2のとおりである。この構成は1日当たり平均15名の対象者にバランスのとれた評価サービスを行うのに必要な職員のタイプを示している。常勤専門職員(例:職業評価専門員Ⅱ)が2名と指導監督に当たる上級専門職員(例:職業評価専門員Ⅲ)が1名いることになるので、ここでも先の職員当たり対象者数が厳守されている。

 前述したように、指導監督に当たる上級専門職員の職員当たり対象者数は各専門職員のケース担当数のに縮減されるべきである。この場合の職員構成では、職業評価専門員Ⅲのケース担当数は3名ということになる。したがって、そのケース担当数は常勤専門職員2名の指導監督に直接当たるため、1/4×2で1/2に縮減されていることになる。

 図2をよく見ると、中規模のプログラムは職業評価専門員Ⅲが運営し指揮することとなっている。このなかでは、実線で示されているように、職業評価専門員Ⅲは2名の専門職員(例:職業評価専門員Ⅱ)と見習技術員(例:職業評価専門員Ⅰ)、更には職業評価補助員Ⅱの直接的な指導監督に当たっている。また(実線で示されているように)、見習専門職員(例:職業評価専門員Ⅰ)と職業評価技術員Ⅱがそれぞれ直属の専門職員(例:職業評価専門員Ⅱ)から直接指導を受けることになる。点線は、職業評価専門員Ⅲが職業評価専門員Ⅰと職業評価技術員Ⅱに間接的な指導を行うことを示している。また、職業評価技術員Ⅰは職業評価技術員Ⅱから間接的な指導を受ける。

 図3は、大規模なプログラムに対応する職員構成を示している。この類型は、1日当たり平均対象者20名に対しバランスのとれたサービスを行うのに必要な職員の数とタイプを示している。常勤専門職員が3名と指導監督に当たる上級専門職員が1名いるので、先の職員当たり対象者数は維持されていることになる。

 指導監督に当たる上級専門職員の職員当たり対象者数は指導対象の各常勤専門職員の1/4に縮減されるので、職業評価専門員Ⅲのケース担当数は理論的には6名の1/4で1と1/2名となる。この場合のケース担当数は、3名の常勤専門職員の指導を直接担当するために、1/4×3で3/4になるわけであるが、この職員構成で指導に当たる上級専門職員の正確な職員当たり対象者数を守ることは困難である。従って、職業評価専門員Ⅲは(1と1/2名の3倍でなく)合計で2名の対象者を担当することになる。このようにして、この構成では、各専門職員については先の職員当たり対象者数が正しく維持されていることになるが、指導に当たる上級専門職員のケース担当数はほぼ同じような比率に縮減されていることになる。

図3 大規模の職業評価プログラムにおける職員構成類型
図3 大規模の職業評価プログラムにおける職員構成類型

 図3によれば、大規模のプログラムも職業評価専門員Ⅲによって運営され指揮されていることになる。この構成図で示されているように、各職業評価関係職員の指導・被指導関係は2種類の線で明らかになっている。直接的な指導関係は実線で、間接的な関係は点線で示されている。

 この職員構成では、職業評価専門員Ⅲは3名の専門職員の指導監督に当たり、更に3名はまたそれぞれ職業評価専門員Ⅰとか職業評価技術員Ⅱの業務を指導している。職業評価技術員Ⅰと職業評価補助員Ⅱは職業評価専門員Ⅲの直接的な指導を受けることになる。職業評価技術員Ⅰは職業評価技術員Ⅱから間接的な指導を受け、一方職業評価補助員Ⅰは職業評価補助員Ⅱから直接的な指導を受ける。点線で示されているように、指導監督に当たる上級専門職員はその他の職員にも間接的な指導に当たる。

検討

 職業評価過程の共通的な内容並びにそこでの業務の種類に基づいて、職業評価関係職員を分類し7種の異なった定義づけを行ってみた。各分類には、それぞれのなかで職員として効果的に機能を発揮するのに必要な能力の程度の違いを明らかにするため、それぞれ適切な分類番号が付けられている。望ましい給与額もそれぞれ個別に示されている。これら各職間の相互のないし全職業評価プログラムにおける関係については、3種の職員構成図が明らかにされている。これら3種の類型は、小・中・大規模な職業評価プログラムがバランスのとれたサービスを行うための一般的な指針として示されたものであるので、現実のどのプログラムにも直ちに適用されることはないかも知れない。しかしながらその骨格は、多くの職業評価プログラムに適用されるべきである。

 空論でなく実際に役に立つ論文にしたいがために、バランスのとれたプログラムにするという概念が、職員の分類定義とか職員構成類型の展開のなかでとられている。職員の分類定義を示すためには同一の形式が用いられているし、他方各職員構成類型は対象者数とプログラムの目的実現に必要な職員の態様に対応して考えられている。職員当たり対象者数を定め、これを職員構成とかプログラミングにおける理想を示すものとしてみた。プログラムの実情により(例えば資金とか敷地の不十分、更には有資格職員の確保困難)、その理想に達するのはしばしば不可能となる。

 職業評価プログラムは現実の場でかつ与えられた諸条件を種々考慮に入れて行われるものであるので、理想的な職員当たり対象者数の維持が困難なことは予想される。このような場合には、そのプログラムに活用しうる職員のタイプや数に変更が必要かどうかは、プログラムの内容や職員構成を十分分析した後に決定すべきである。

 職員構成類型の確立と職員の分類定義は、実は別個の存在である。職員構成類型はプログラムの構造組織についてのモデルであり、他方職員の分類定義は適切な職員を確保するための一貫した基盤となるものである。先に示した3種の職員構成図は、職業評価プログラムの規模の小・中・大に対応する理想的な指針として考案されたものである。他方、7種の職員分類定義は、職業評価の各職に従事するに必要な能力のタイプを明確にすべく作成されたものである。

 どの職業評価プログラムでも職員構成図は容易に作成できるが、実際にそれらが実現する度合いは有資格職員が確保できるかどうかにかかっている。職員構成類型はプログラムの組織の指針であるので、現実に職員がすべて充足されるかどうかにかかわりなく、すべての職業評価の場で確立され維持されてゆくべきである。

 ひとたび確立されたならば、職員構成類型は現実にいる職員の分類に合わせて変更されてはならないし、現実の職員は必要とされる能力に達するか前記の資格を取得しない限り登用されてはならない。というよりむしろ、職員の分類は個々の能力そのものに基づくべきであって、職員が確保できるかどうかに基づいているのではない。資格に欠ける職員を高いレベルの職に任用するこめに、職員構成類型や職に求められる要件を変更する必要はないのである。資格不十分な職員は高いレベルの職の役割を果たすための準備が不足しているのだということを認識することが肝要である。このようなことが実際に起こったとしたら、職業評価プログラムは理想からは遠いレベルで運営されることとなろう。

 職業評価プログラムの運営のために作成された組織についての指針は比較的固定したもので、臨機応変に簡単に変更されてはならない。というよりむしろ、この指針はプログラムの機能の抜本的改変の場合のみ変更されるべきものである。

 7種の職の分類定義は、主としてその職につくために必要とされる能力(知識、技能、応用力)に基づいてなされている。どの分野においてもその能力というものは、通常、適切な学校教育ないし関連のある就労経験によって身につくものである。このため、「資格要件」欄は学校教育の種類、程度あるいはまた前記の能力の内容に関連のある経験に焦点を絞ってまとめられている。個人の能力レベルとその受けた教育ないし経験の量との間に、直接の関係があるかないかはまだはっきりしないので、「資格要件」欄の中身は十分留意して受けとめてほしい。

 ある職の分類の「資格要件」欄には現時点では受けるのが困難か実際上不可能な教育内容を記してあることにも注意してほしい。例えば、職業評価技術について2年間学び、準学位(Associate Degree)を取得できる教育プログラムは現在のところ全くない。しかし、将来そのような教育プログラムが出現するという予測の上に記載されているわけである。2年間のAssociate Degreeと書いておけば、そのような教育プログラムが適当な大学等に出現する可能性もあるのである。更に、これらAssociate Degreeプログラムが前記の「能力」の内容に基づくものであれば、それらは職業評価技術員の養成にも大いに参考とすべきである。

要約と結語

 技術中心で複雑でかつ急速に変化する社会においては、職員の確保・活用という事柄は、有意義なソーシャルプログラムの開設、管理に当たる者にとって直接の関心事である。このことは職業評価という専門領域においても主要な関心事である。なぜなら、職員の確保・活用の問題に直面しこれを解決する方法が、全分野の究極の発展、展開に決定的な影響を及ぼすからである。職業評価分野では、職員確保・活用の問題が次のようないくつかの関連要因の出現で混乱している。

1. 職業評価サービスの実施に当たる職員のさまざまな経歴

2. 職業評価関係職員の最近における数の増加

3. 職業評価関係職員のために特別に設置された教育ないし養成プログラムの数の不足

4. 職業評価分野の思想的並びに理論的根拠の欠如

5. 職業評価関係職員の専門職としての資格要件、業務内容、基準、倫理を規制する内部綱領の欠如

6. 職業評価技術の最近における発展

 これらすべての要因は、一つずつが職業評価サービスの内容を阻害するものではあるが、それらがからみあっていることが、職業評価関係職員を確保・活用する任に当たる者の間に、非常に現実的な危機的な即時解決を要する問題を投げかけているわけである。

 こういった種々複雑な問題に直面している専門領域の現状を打破するこめに、職業評価関係職員の確保・活用のための指針を作成しようとする企てがなされた。これらの指針に沿って、職業評価の7種の職が定義づけられ、適切な分類番号も付けられたわけである。その分類番号によるレベルや職に必要とされる能力の程度に応じて、それぞれ望ましい給与額も提示された。この給与額を計算する方法は、最下位の職についての適正な最低賃金に基づいているので、それぞれ最低線を示すものとみなされるべきである。

 職員の分類についての指針を立てることに加えて、職業評価プログラムの規模の小・中・大に応じての構造的組織を明示するために、職員構成類型も考案された。各類型のなかでの職員間の関係は図示され、その機能向上を図るべく検討もされた。

 結論として、プログラムの一貫した成長、展開は、企図された職員分類定義と職員構成類型の実行をとおして達成され得るものと思われる。7種の分類は、各州の教育庁や職業リハビリテーション部による職員確保のための一貫かつ不変の指針としても用いられ得よう。職業評価関係職員を採用する私立のリハビリテーション施設も、この職員分類定義を応用して効果を挙げることができよう。

 州立、私立のリハビリテーション施設とも、それぞれがその職業評価プログラムを適切な職員類型に基づいて組織することにより、職員問題での衝突を避けることができる。職員分類定義が職員の採用に使用される際に肝要なことは、その学歴・経験でなく、むしろその志願者のもつ能力の種類や程度ということである。同様に、職員構成類型を実施に移すには、職員間のコミュニケーションラインが理解され各責任分野が適確に代行できることを確保するために、プログラムの効果的な実施に必要とされる指導監督の種類と程度に基づいて行うべきである。各職ごとに特定化された業務を効果的に実施するために不可欠な職員の能力と指導監督関係に焦点をあてることによって、すべての目標に向かって職業評価プログラムの発展が保証される可能性が大となるわけである。

 最後になるが、各職に公正な給与額を定めこれを守ってゆけば、関係職員の不満足もおそらく減少してゆくだろう。さきに提示された望ましい給与額は、現在の米国で採用されている最低賃金概念に基づき作成されている。予測される将来の経済変動を考えれば、これらは一応の参考という程度のものである。変動が起これば、有能な職員をひきとめるために、給与額は適切に改訂されてしかるべきである。そうでなければ、職業評価の専門領域は、現存するプログラムの効果的な維持に肝要な一貫した発展・展開を多分図れないことになるだろう。

(Rehabilitation Literature.June,1974 から)

アラバマ州オーバン大学リハビリテーションサービス教育学部助教授。バルチモア肢体不自由児・者連盟(Baltimore League for Crippled Children and Adults )の職業評価部門の責任者を5年間勤め、更に以前はペンシルベニアリハビリテーションセンターの職業評価専門員であった。現在は「職業評価・作業適応」誌の編集者で、オーバン大学からカウンセラー教育についての教育学博士号を授与された。
**神奈川県総合リハビリテーションセンター職業前指導科長


(財)日本障害者リハビリテーション協会発行
「リハビリテーション研究」
1977年4月(第24号・第25号)34頁~39頁・27頁~39頁

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