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建築

外部空間設計におけるバリア・フリー・デザイン

Designing the site to meet barrier-free goals

 バリア・フリー・デザインの最も重要な課題の一つは、障害者が自由に出入りしその施設を利用できるような建築物を設計することにある。建築物の各設計段階において常に障害者のアクセシビリティを念頭においていれば、バリア・フリー基準に関してそれほど神経質にならずにすむと同時に、障害者だけでなくすべての人々にとっても便利な外部空間を設計することができる。

 建築物の基本設計や配置計画を決定する際に障害者のアクセシビリティを制限してしまうことがある。例えば、1階の床面を上げて半地下をつくるような場合であるが、これはスロープを設けることで解決できる。最初からアクセシビリティを考慮していれば特別な設備を最小限にとどめることができ、同時に基準で定められている以上に障害者にとって利用しやすい建築物を設計することができるのである。

 アクセシビリティに関する法令では、障害者が利用できる出入口を1か所以上設置することを定めているものが多いが、この場合道路からその出入口に向かう動線が最短となるような位置に配置すべきである。つまりバス停、駐車場、歩道などから一番近い位置ということになり、これが主玄関となる場合は健常者にとっても便利である。

<通路および歩行者スペース>

 道路から建築物への段差のない出入口を最低1か所は設けなければならないとなっているが、車いす使用者以外の障害者の場合、迂回路やゆるやかな斜路よりも階段の方が使いやすい場合もある。

 通路幅としては最低90cmは必要とされているが、これは松葉杖の長さに基づいた寸法であり、同時に車いすが通るにも多少ゆとりのある幅でもある。通路幅は当然通行の方向、量、通路の距離、周囲の状況等をもとに決定されるべきであるが、車いすのすれちがえるスペース(150cm×150cm)以上が望ましい。例えば、120cmの通路幅であれば適当な間隔をおいてあと30cm広げ、すれちがう場所を設ける。またT字交差する場所にすれちがうためのスペースを確保するのも一方法である。

 車いすやその他の歩行困難者にとって斜路の勾配が1/20以上ではきつすぎるようである。また勾配だけでなく、その距離も問題である。最近の調査によれば、1/12の勾配の場合、車いすでのぼるには1.5mが限度だが、1/16の場合は9mまで可能であった。また、別の調査によれば、1/8の場合、60cmが限度で、それ以上の勾配では転倒の危険がでてくる。斜路にはその上下端に滑走路のようなスペースが必要であり、その両側に手すりをつけなければならない。

 敷地内のスペースや歩道を計画する場合、段差をなくす必要性の最も高いのはふち石の部分である。この部分は自動車から十分保護されるような位置に設けなければならない。横断歩道内に設ける時は、必ず横断歩道の線の内側につくるべきである。またこの部分を歩道の曲がり角の頂点に設けるようにすれば曲率半径が十分とれ、斜路の末端に平坦なスペースをとることができる。短い斜路には手すりは不要である。

 柔らかい不安定な床材は車いすにとって非常に使いにくい。また車いすや歩行用補助具を使っている人々には、砂利敷のような凹凸のはげしい材質や目地幅の広いものも非常に使いづらいし、また危険でもある。排水溝の格子蓋は、視覚障害者や歩行が不安定な人々のためできる限り端に寄せる。斜路の仕上げ材に断面が山形になっているものが多いが、この山形の角度が急だと車いすや杖を使っている人々はバランスをくずしたりすることがある。

 出入口に通じるところでは、ドアの開閉に十分な平坦なスペースが必要である。

 重度の視覚障害者は歩道と車道の区別をするのにふち石を使うよう訓練されているので、車いす使用者や歩行困難者にとってはふち石を全部とってしまうのがよいとしても、視覚障害者の安全確保に問題がでてくる。ふち石の代わりに白杖でも足ででもわかるように仕上げ材をかえて、歩道と車道の区別をつけるのも有効である。

 また歩道や広場の途中にある階段の最上段、プラットホームの端、プールの端など予想しにくい端部の仕上げ材を変えることにより、知らせることができる。

<駐車場>

 駐車スペースのうち少なくとも1台分は障害者用とするが、このような障害者用駐車スペースの必要性は、建築物の用途により異なってくる。今までの経験からいうと、駐車台数が多ければ障害者用スペースの割合は少なくなってくる。病院等の健康管理施設では、他の用途の建築物よりも障害者用駐車スペースの割合は高くなる。

 個人用の駐車スペースが確保されていない駐車場では、障害者専用の区画を建物の入口付近に設けはっきりとわかるようにしておく。一つの入口に対していくつかの駐車スペースがある場合は、それぞれに障害者用スペースをとるよりも、一番入口に近いところにまとめて設置する方がよい。

 車寄せには自動車と平行に車いす用の乗降スペースをとる。歩道が車道より高くなっていれば、車いすからの乗降は可能なので、このスペースを斜路にしたり、自動車のドアと同一レベルの高さにする必要はない。

 下には、バリア・フリー・デザインのための屋外用チェックリストを記載する。図1では、障害者用設備を含めておかしやすい設計上のミスを防ぐための指標を図示した。

 歩道や歩行者用スペースを設計する場合には車いすならびに松葉杖でも楽に通行できるように配慮しなければならない。勾配が1:20以上になると歩行困難な人々や車いす使用者の多くは、通行に不便を感じる。砂利敷のような不安定な歩道は車いす使用者には不適当である。

 駐車場計画では、経験上、全体の面積がふえるにつれ、障害者用駐車スペース数を減らすことができる。

 完全にその敷地を利用するということのほかには、屋外設備の利用、これらの設備によっておこる視覚障害者の危険を取り除くということも含まれている。すべての施設を障害者用にする必要はないが、少なくともその敷地内で行われる活動に参加することができるよう配慮すべきである。

 デザイン基準

歩道:

1. バス停、駐車場、車寄せ等から入れる段差のない出入口を少なくとも1か所設ける。

2. 最大幅90cm

3. 6mごとに最低150cm幅のすれちがい場所を設ける。

4. 固い安定した仕上げ面、目地幅1.25cm(最大)、最大凹凸0.63mm、歩道上に格子蓋を設けないこと。

5. 直線斜路最大勾配、1:20

   斜路の水勾配最大、1:50

6. 歩道が交差している場所はすべてふち石をけずること。

斜路:

1. 斜路と距離の関係

勾配距離
1:860cm
1:12150cm
1:16-1:20

適正

2. 斜路の上下端に150cmの平坦な場所を設けること。

3. 両側に手すりを設けること。踊り場では片方の手すりをのばし、手すりの末端は30cm延長。

4. ふち石の斜路には手すり不要。

5. 斜路面の端に転落防止のための立ち上がりを設ける。

6. ふち石の斜路勾配1:10以下。

階段:

1. 急勾配の斜路の場合は階段を併設。

2. 段鼻を除いた最低踏面幅27.5cm、最大蹴上げ高17.5cm、段鼻の出、最大3.8㎝。

3. 手すり-斜路に準ずる。

駐車場:

1. 障害者用標示

2. アクセス通路幅最低150cm

3. 障害者用駐車場台数

駐車台数合計障害者用*
0-1001台/25台
101-2004台+(1台/50台)
201-5006台+(1台/100台)
500台以上9台+(1台/200台)

*健康管理センターの場合は当基準の2倍

触覚による表示:

1. 階段の最上段、柵のないプールの端、車よせ、プラットフォーム等。

2. 仕上げ材:粗面仕上げ、敷石貼、波型鉄板、コンクリート刷毛びき、粗面仕上げ、小石敷、縞模様舗装材など。

3. 縞模様は、通行方向に平行につけること。

4. 各敷地内の表示は統一すること。

突出物:

1. 突出物の端の高さが67.5cmかそれ以上あるときは、通路より外側に設置すること。

2. 突出物の高さが67.5cm以上で置台や支柱の上に置かれている場合は、30cm以内なら通路内に設置可。

出入口:

1. 出入口の前には奥行150cmの平坦なスペースを設けること。

2. ドアのとって側に60cm幅のスペースをとること。

3. 出入口前の平坦なスペースへのアプローチとなる斜路の勾配は1:50以下。

4. 庇の出は長い方がよい。

屋外家具:

1. 各種とも最低1か所は障害者にも利用できるものとすること。

2. 車いすを横づけにする場合の到達可能な高さは135cm、前面からのアプローチでは120cm。

3. 車いすの場合のテーブル下のひざスペースは奥行47.5cm、幅75cm、高さ67.5cm。

図1

図1

図2

図2

<屋外家具、自動販売器、電話ボックス等>

 外部空間設計にはベンチやテーブル等の屋外家具も含まれるが、視覚障害者の邪魔にならないように配慮しなければならない。自動販売器や電話ボックス等の設備の中には車いす使用者にとって使いにくいものがある。車いすを横づけにする場合、135cmの高さまでは手が届くが、前面から利用するとなると120cmまでしか届かない。

 公衆電話などが置台や支柱の上に置いてあったり、壁面に設置され通路に張り出していたりすると視覚障害者が白杖で探知できずぶつかってけがをすることが多い。このような出っ張りが地上67.5cm以内にあればよいのだが、これ以上になる場合は通路幅外に設けるか、あるいは、そこに何かがあるということを知らせるための壁面(ガイドウォール)を設けるべきである。置台や支柱上に設置する場合、この台から水平距離にして30cm以内の出っ張りならば、その部分の高さが67.5cm以上でも白杖で探知することができる。

 テーブルやベンチ等の屋外家具のデザインや配置も、障害者の利用を考慮して計画するべきである。しかし、障害者が利用するすべての通路にこのような設備を設けるというわけではなく、必要性を検討するときに選択すればよい。

(May,1979から)


(財)日本障害者リハビリテーション協会発行
「リハビリテーション研究」
1980年3月(第33号)23頁~26頁