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特集/最近の障害児教育をめぐって

作業療法士と理学療法士

――障害学生のリハビリテーションと教育的処遇における極めて重要なメンバ――

Occupational Therapists and Physical Therapists:Vital Members in the Rehabilitation and Educational Process of Disabled Students

Freddie W. Litton*

Lisa Veron**

Harold C.Griffin***

中井 滋****

 この数年間、作業療法士と理学療法士は、主に医学的方法で、大人と小児科の両者の患者を取り扱うように訓練されてきた。公法94―142、またすべての子どもの多様で分化したニーズを満たすように、そこで主張された結果として今日、公立学校は理学療法士と作業療法士の両者を雇用することを、大変積極的に行うようになった。そんな中で特殊教育の多くの教師は、障害児教育に関する他の訓練者―それは最も多いのは理学療法と作業療法のリハビリテーションに関係する人であるが―と親しくなってきている。しかしながら、これらのセラピストがどのようなサービスを供給できるかという事について、状況を明らかに理解していない教師も数多くいる。本論文は、教師が児童学生の教育計画のための資源として、治療に関係したサービスを利用できる点で、その方法を例示し、検討するものである。

 教育体系の中では、これまで学級担任が主たるサービスの供給者であったし、現在もそうである。このように、有効な専門職のサービスを統合したり、要請したりする責任はしばしば教師の責任となってくる。公法94―142は障害児の個別化した教育的ニーズを満たすために必要な、サービスの供給を規定したものである。理学療法及び作業療法サービスは、それらの規定されたサービスの中に含まれている。公法94―142の602節、つまり1975年の全障害児教育法は、関連したサービスとして次のように定めている。

 輸送、そして発達的、矯正的、支持的サービス(言語病理学、オージオロジー(聴能学)、心理学的サービス、理学療法及び作業療法、レクリエーション、医学的、カウンセリング的サービスを含む)は、特殊教育から恩恵を被る障害児を援助するものであるし、またそれらのサービスには、子どもの障害の状態を早期に発見し、評価することも含まれるものである。

 障害児のニーズを満たすためのこの多面的なアプローチは、公法94―142によって示されているように、最適な教育的及びリハビリテーションのサービスを子どもに提供するために、絶対必要なものである。統合されたアプローチは、教育現場で子どもに役立つし、それはまた全米作業療法協会と全米理学療法協会によって確立された指針によって発展してきた(Veron & Poulton, 1980)。

 セラピストの一般的役割

 理学療法士と作業療法士は、障害児の教育とリハビリテーションに関して、重要な役割を果たすことができる。彼らのサービスは、相談相手、また対等なレベル、の両方の立場にあってこそ価値がある。障害児を受けもつ教師は、障害学生をより効果的に指導するために、チームアプローチで、他の専門家の援助をしばしば必要とする。

 バランスの悪さ、不協応な運動、運動と関係した他の問題といったような、子どもの異常な特徴に注意をむける教師は、直接ないしは相談としてのサービスを受けるために、教室に作業療法士や理学療法士を招くかもしれない。理学療法士によって供給される直接のサービスは数多くある。それらのうちのいくつかには、次のような事が含まれる:

1.神経筋の、筋骨格の、心臓血管の、呼吸の、感覚運動の機能に関する、テストと測定の実施と解釈による障害学生の評価

2.評価結果に基づく、学生のための治療法の計画と実施

3.教育的環境で、子どもが機能できるための運動機能の維持

4.障害学生の治療的取り扱いと指導、また両親と教師に対する現場教育の供給

 作業療法士もまた多面的サービスを供給する。それらのサービスのいくつかには、次のような事が含まれる:

1.病気、損傷、あるいは喪失により、損傷したあるいは損失した機能の改善、啓発ないしは回復

2.機能を損傷あるいは損失した時、自立的に機能するための課題を遂行する能力の改善

3.初期あるいはもっと後の機能の損傷や喪失を早期に止めるための予防。そのための特別なサービスとしては、日常生活動作:スプリントの設計、製作、適用:感覚運動活動:補装具の使用:職業前評価と訓練:障害児の物理的環境の改作に関する相談が含まれる(Veron & Poulton, 1980)。

 教師は特別な学生のために、環境調整に関する情報を集めようとするかもしれない。作業療法士と理学療法士は用便、輸送、食事の適応に必要な事について、相談にのり援助することができる。加えて、セラピストは教室での姿勢や好ましい座り方に関しても援助を行うことができる(Kinnealey & Mors, 1979)。学校の敷地内で、セラピストは、車イスにとって便利なように、床の上での授業に関する建築上の障害物、重いドア、便所の手すりの設備、食堂の手すりの位置の修正といったような環境的修正に関して、相談にのることができる(Gulfoyle & Hays, 1979)。

 身辺自立技能

 教師は、障害学生のための教育プログラムの一部に、身辺自立技能を伝統的に組み入れてきた。セラピストは、更衣、食事、用便、身仕度を含む特定な身辺自立技能プログラムに関して付加的な示唆を提供できる。つまり、衣服類は着脱が容易になるように、しばしば修正される。セラピストは、身辺自立技能の獲得に関して子どもを援助するために、大きなボタンとボタン穴、ジッパーのための特別なアタッチメント、靴と締め金の模型、といったような改作物を提供するかもしれない。作業療法士は、食事が自立していない子どもに使用するための、さまざまな食事のテクニックに関して教師に助言できる。教師と作業療法士は、教室や食堂の同じ場所で、共同で子どもに食事をさせることができる。だから特別なニーズに関して行っている1人の技能を、もう1人が援助したり補助したりすることが可能である。用便に関して、作業療法士と理学療法士は、用便に特別に問題のある子どもの世話をして、教師を手伝うことが可能である。二分脊椎の子どもは採尿器を持っており、それは自分で世話をする必要がある。セラピストを教師は、二分脊椎の子どもに、用便の補装具の世話をさせることで、自立 を啓発したり、また自身の用便スケジュールに対する責任をもたせて、自立を啓発したりして援助する。加えて、セラピストは便所での子どもの姿勢、便所の大きさ、便所の手すりの安定性に関して援助できる。またセラピストは子どもの身体的能力に関して、教師と両親の相談にのることができる。さらにまた彼らは、子どもの身体的能力と、トイレットトレーニングにおける自立度の可能性に関して、教師と両親に助言できる。これは身辺自立技能のこの領域に関して、子どもに対して現実的な期待を持つのに特に役立つ。

 運動発達

 理学療法士と作業療法士が、学級担任を援助することで重要なもう1つの領域は、発達的でかつ機能的な体系内にある、運動技能の形成についてである。正規の教室で理学療法士が行う運動活動には次のような事が含まれる。

1.歩行訓練

2.神経発達学的ファシリテーションテクニック

3.子どもの姿勢と取り扱い

4.感覚刺激

5.補装具の寸法合わせと調整

6.関節運動テクニック(Veron & Poulton, 1980)

 運動領域で作業療法士が行う活動には次のようなものが含まれる。

1.粗大及び微細運動機能の改善

2.筋トーンの正常化

3.関節可動域の拡大

4.よだれの減少

5.バランスの改善

6.ボデイ・イメージの改善

7.刺激の受容と組織化の能力改善(Veron & Poulton, 1980)

 機能的運動活動をうまく遂行することは、障害児のよりよい自己イメージを発達させることに役立つ。教室内を動くための筋力と、関節可動性を維持しなければならない障害児にとって、セラピストのサービスは重大なものである。運動障害をもつ多くの障害児は、四つ這い、歩行、空間における身体知覚といったような、きわめて重大な技能を学習するために、セラピストのサービスに頼っている。学級担任は、セラピストによって導き出された運動技能を強化することができる。セラピストと教師間のこのチームワークは、運動発達の領域での進歩を促すことで子どもを援助する。子どもの運動発達において、セラピストの各々のタイプが演ずる役割には、伝統的な区別がある。つまり、理学療法士は姿勢と粗大運動発達に関係があるし、また作業療法士は知覚と微細運動発達に関心をもつ。しかし近年、専門家の両タイプともに、両方の運動発達に関心をもつので、それらの伝統的な役割の区別は明確でなくなった。

 どんな教室においても、運動発達は正常な成熟に関する大変重要な要素である。机や車イスでの正しい姿勢は、教科指導よりも恩恵を受けるという点で障害児を援助する。さらにまた、感覚―運動協応に関して、作業療法士によって行われる最近の研究は、空間における姿勢の認知、また学級担任によって提示される“教科”をよりよく受容するようになるという点で、軽度障害児と重度障害児の両者に役立つ(Ayers, 1972)。重複障害児のための前言語及び言語プログラムの多くは、その後の言語発達のための基礎として、運動発達を利用する(Van Dijk, 1971)。

 職業技能

 セラピストは障害学生の職業技能の発達に関して、学級担任を援助できる。作業療法士と理学療法士ともに、子どもがどのような技能を発達させることができるかを評価できる(Mitchell & Lindsey, 1979)。加えてセラピストは全体の自立に関する学生の可能性を助成する。しばしば作業療法士は、子どもに合った補装具を作製する。その補装具は職業的課題を遂行する時、障害の補償をすることで学生を援助するであろう。これらいくつかの補装具の着用で、障害者は健常者と同様に仕事を行うことができるかもしれない。学級担任と作業療法士は、必要とされる仕事の訓練の障害児のために、そのような課題に適応する方法を示唆する。

 個別教育計画の発展

 理学療法士と作業療法士は、学生の個別教育とリハビリテーション計画を発展させるために、学級担任とお互いに協力しながら仕事をする。それには次のようなことが必要である。つまり理学療法士と作業療法士は、障害児の最初の教育評価に係り合うということである。そこで彼らは運動技能、身辺自立技能、職業技能の目標の発展に関する有力な基礎資料を得ることができるし、軽度障害児のメインストリーミングの計画に関しても援助することができる。さらにまた、これらの専門家は、治療の必要性、つまり必要とされるサービスの水準と関連したサービスのあり方について、個別教育計画委員会に助言できる。

 個別化した小児科の訓練でのセラピストの不足は、全米作業療法協会と全米理学療法協会に、彼らのメンバーに対して小児科領域での現職教育とその継続を勧め、是認することを引き起こした(Hightower, 1973)。多くのセラピストは医学的方法から教育的方法に変わる時に、援助を必要とすることに気がつくかもしれない。それは主として大人のためにある評価や治療技術を子どものニーズに適用するのと同じである。専門職の組織と同様に、学校体系は専門化したセラピストのニーズを満たすために、適切な継続教育ないしは現職訓練を実施して、セラピストの能力を向上させるよう援助することを考えるべきである。理学療法士と作業療法士の小児科へのサービスは、障害児の教育全体にとってますます重要である。公立学校体系は、これらの専門家が障害児教育のニーズを満たすための、多面的に努力する人の一部であるということを認めなければならない。

 結論

 理学療法士と作業療法士のサービスは、障害児と彼らの教師にとって、重要なものである。これらのセラピストは、粗大及び微細運動技能、職業技能、身辺自立技能の発達に関して重要な人的資源である。加えて、これらのセラピストは、学習に関して最も効果的環境を保証するための学生の姿勢に関して教師を援助することができる。また同じように、教育を受けている間、最高の快適さを子どもに供給する。最後に、教師は障害児のための計画を立てる際、セラピストにも加わってもらうように勧めなければならない。彼らの専門意見は、障害学生のための長期及び短期目標をよりうまく設定する際に、教師を援助することができる。障害児教育では、本質的に学級担任自身が働く時代は終わらなければならない。そしてその代わりに、この教育ではチームアプローチが到来すべきである。理学療法士と作業療法士は、障害児のための最も効果的な教育計画に必要とされる、専門家チームの極めて重要なメンバーである。

(Journal of Rehabilitation Jan./Feb./March, 1982)

参考文献 略

*ニューオリンズ大学教授
**ルイジアナ州立大学助教授
***ニューオリンズ大学助教授
****筑波大学心身障害学系文部技官


(財)日本障害者リハビリテーション協会発行
「リハビリテーション研究」
1982年7月(第40号)34頁~37頁