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特集/「障害者リハビリテーション指導者コース」実施報告

コースリーダーの声

研修コースをコーディネイトして

丸山一郎

 衛生、栄養、教育、失業、貧困など多くの生活上の問題を抱える発展途上国においても、障害者問題は徐々に顕在化しつつある。ことに国際障害者年(1981)による世界的な活動により、各国において何らかの取り組みがなされ、障害の予防とリハビリテーションの分野での国際協力の可能性と必要性が強調されるに至った。

 近隣の国々をみても、1981年韓国は障害者に関する初めての立法を行い、障害者対策が社会全体に係る問題であるとともに国の責務を明らかにしている。フィリピンにおいては、同年のリハビリテーションに関する国家計画の策定、中国の障害者福利基金の創立(84年)、タイのリハビリテーションセンターの建設(83年より日本の協力)、インドネシアでの地域リハビリテーション(CBR)の展開など、各々に特徴的な動きが現われてきている。さらに、80年代後半は、88年のソウルパラリンピック(国際障害者オリンピック)世界リハビリテーション会議(88年東京)、などアジア地域において、障害者とリハビリテーションに関しての世界的な動きが展開されるのである。

 本コースは、こうした世界、アジアの動向にそった誠に時宜を得たものであった。日本政府及びJICAにとっては初めての試みであったため、当初色々な検討がなされた。実施に当たっての準備期間が必ずしも充分ではなかったにもかかわらず、予想をはるかに上回る成果を挙げたことは、各国のこの問題についての研修ニーズの高さを示しているといえよう。

 最終報告会、また参加者のレポートで述べられている忌憚のない批評やコース改善への期待と継続と拡大への希望は、このことを如実に表わしたものである。

 コース参加者の専門性の高さと熱心さも特筆されなければならない。研修内容については、参加者個人の要望を考慮することが出来なかったためもあり、日本の障害者リハビリテーションの全体像と到達したレベルを学ぶ事を中心とした。

 参加各国の実情とは、勿論大きく異なるものではあったが、日本においても30年の間に極めて大きな変化のあった分野であることから、障害をもつ人々の可能性と変化をもたらした社会各方面の努力を明らかにすることを眺いとしたわけである。我が国における最新の情報とトップレベルの水準のものにより構成した。また障害者問題が母子衛生や事故防止などの予防から医療、教育、職業、家庭や職場や地域の協力、政策的参加、市民権、国民の啓発等々、社会のすへての分野に渡っていること、その拡がりを得て前進してきたことを理解して貰うことに主眼をおいたのである。

 個別の専門分野に関する研修が充分組めなかったことは、参加者すべてが指摘しているものの、上記のような意図については十分に理解されたといってよい。(日産自動車㈱における障害者雇用のとりくみ、NHKの啓発番組みに関しては、こうした意図があまり生かされなかった面は反省したい。)

 こうした中に、参加者がこぞって絶賛したのが、障害をもつ人々で各々の分野で専門家として活躍している人達の講義と話し合いであった。すべてのものとプラスとマイナス、得たものと失ったもの、発展の光と暗の部分そして、障害のマイナス面とプラス面など、この研修が一方的に与えるもの、教えるものではないことが、この講義と話し合いの中で参加者は実感したようである。

 産業分野などのみならず、福祉分野、などのヒューマンサービスの面における国際協力、殊に障害者分野での研修に踏み切った外務省、JICAの英断に感謝を表して私の感想をしめくくりたい。本コースが更に発展することを心から期待するものである。


(財)日本障害者リハビリテーション協会発行
「リハビリテーション研究」
1985年2月(第47号)8頁