音声ブラウザご使用の方向け: ナビメニューを飛ばして本文へ ナビメニューへ

特集/世界のリハビリテーション

オーストラリア

大木勉*

高橋流里子**

 オーストラリアは、最少の大陸ではあるが、その大陸を単一国家とする唯一の国である。面積は約770万km2(日本の約20倍)、人口は1,517万人(1982、日本の約1/8)である。住民はイギリス系が95%(原住民約11万人)、宗教はイギリス国教会35%、カトリック25%、メソディスト10%などとなっている。エリザベス女王を元首とするが、1983年以来労働党(ホーク首相)が政権を握っている。通貨はオーストラリアドル(1ドル=1.1125オーストラリアドル、1983)、1人当国民所得9、348ドル(80/81)(日本は7,109ドル)、平均寿命男71才、女78才(1981)である。

 オーストラリア社会は、移民社会=文化的多元社会であること、自由主義的で急激な社会変革を望まない傾向にあること、人口の75%が都市部に住むという都市集中型で、大都市は都市問題を抱えていることなどに特色がある。

 一般の国民性は健康的で親切(mateshipという連帯意識)、競馬や宝くじは好きだが自助努力を尊重し、勤勉で家庭も大切にするといったところである。

 特記すべきは、オーストラリア労働組合評議会(Australian Council of Trade Union, ACTUと略称)である。唯一の全国組織であり、組合員約240万人、家族を加えれば人口の約半分となる、連邦政府も対応困難となることがある程で、世男最高水準の労働条件を保持している。例えば、4週の有給休暇(17.5%の割増手当がつく)があり、時間外勤務手当は200%増(休日の場合は300%増)で、しかも時間外勤務は「罰(Penalty)」と呼ばれる(働きすぎは罪という感覚である)。1983年以降、多発していたストライキは減少した。ここ数年の経済停滞により失業者が続出し、ストライキどころではなくなったことや、労働党政府が「対決より協調を」と紛争解決に努力していることなどが要因といわれている。

Ⅰ 障害の概念と現況

 オーストラリア政府統計局は、国際障害者年を契機とし、同年2月から5月にかけて、国内の障害者の現況を把握する調査を実施した。障害の概念と障害者の実状を知るには正に時宜を得たものであるので、この調査の結果をもとに、現状をうかがい知ることにしよう。

 同調査は、まず、どういう機能形態障害(impairment)や能力障害(Disability)があるのかを明らかにし、それらがどのような社会的不利(Handicap)に結びついているのか、さらには社会的不利をもつ人のニーズや特性も知ろうという内容で実施された。調査対象は、1つは在宅者であって、約33,000世帯のなかの7,145人がサンプルとされ、2つは施設入所者で、723施設のなかの4,668人が同じくサンプルとなった。

1 障害の概念

 障害の定義はWHOの国際分類に基づき、次のようにとらえられた。

 (1)能力障害をもつ人(Disabled Person)とは、次にかかげる能力障害や機能形態障害の1ないし2以上を6ヵ月以上持続ないし持続する見通しのある人とする。①(眼鏡等使用した場合でも)視力の損失、②聴力の損失、③言語障害、④意識発作あるいは意識の一時的喪失、⑤学習または理解の遅滞、⑥上肢の不自由、⑦下肢の不自由、⑧神経または情緒不安定のため長期受療中、⑨身体動作や身体活動の制限、⑩形態損傷または変形、⑪指導援助を必要とする精神障害、⑫長期間の受療(ただし、この受療によって何らかの活動制限を伴う場合のみ)

 (2)社会的不利をもつ人(Handicapped Person)とは、次にかかげる5領域の1ないし2以上にわたり、活動や課題処理能力に何らかの制限をもつと判断された5歳以上の能力障害者をいう(5歳未満の能力障害児はすべて社会的不利をもつとされる)。①身辺処理(例えば、入浴・衣服着脱・食事動作の制限)、②移動(例えば、公共交通機関の利用制限、未知の場所での移動不可、200mの歩行困難、階段昇降困難)、③意思伝達(例えば、言語理解や自己表現能力の不十分)、④学校教育(例えば、通学困難、学業不振。5~14歳の学童と15~20才の在学者のみを対象)、⑤雇用(例えば、就労時間短縮を要する被用者、雇用見込の不十分な者、保護雇用の下でのみ就労可能な者。15~64歳で、在学者を除く者を対象)。

 さらに、①~③の領域には、重・中・軽の程度もつけられた。つまり、①重度は「全く不可能か1対1の指導援助を要する状態」、②中度は「1対1の指導援助は不要だが、活動に制限がある状態」、③軽度は「1対1の指導援助は不要であり、補助具があれば活動可能な状態」とされた。

2 障害をもつ人の現況

 能力障害をもつ人は1,942,000人と判明した。全人口の13.2%となる。在宅者は1,827,400人で94.1%、施設入所者は114,600人で5.9%。能力障害の種類は、①筋・骨格系障害(関節炎・背髄損傷・リウマチなど)43.4%、②聴力障害36.3%、③循環器系障害25.6%、④精神障害20.9%、⑤視力障害13.3%、⑥神経系障害12.6%、⑦呼吸器系障害11.3%、⑧精神薄弱7.6%、その他29.5%となっている(同一人でも2つ以上もっている場合、それぞれ別個に集計しているので、合計100%を越える)。

 能力障害をもつ人のうち社会的不利をもつと判断された人は1,264,600人であり、全人口の8.6%(能力障害をもつ人全体の約2/3)である。在宅者は1,153,600人で91.2%、施設入所者は111,000人で8.8%。

 ここで、この社会的不利の内容に少し立入って調べてみよう。まず、どの領域に社会的不利をもっているかであるが、身辺処理(43.0%)、移動(72.8%)、意思伝達(20.5%)、学校教育(7.5%)、雇用(39.4%)となっている。移動に制限をもつ比率が高く、身辺処理がこれに次いでいる。次に程度では、重度(41.9%)、中度(20.7%)、軽度(24.1%)、その他(判定せず、13.3%)となっている。

 年令では、全人口の65歳以上は9.7%であるが、社会的不利をもつ人の65歳以上は36%である。さらに、社会的不利をもつ人の5~34歳では重度は39.5%であるが、65歳以上の重度は53.8%となり、75歳以上では66.3%にも達している。

 性別をみると、社会的不利をもつ人全体の51.1%が女性であり、重度者では女性は58.5%を占めている。

 家族構成であるが、社会的不利をもつ人のなかで単身世帯は17.6%、2人世帯は35.7%であり、計53.3%となる。全人口でみると、単身世帯6.5%、2人世帯20.8%、計27.3%となっている。このことは、高齢者に社会的不利をもつ人が多く、さらに少家族が多いことの反映であろう。

Ⅱ 歴史

 オーストラリアは、1770年イギリスの探険家キャプテン・クックによって発見され、1788年最初の植民団がボタニー(今日のシドニー)に入港した。アメリカ独立に伴い、代替の流刑地とされたわけである。以来、この国は、社会的な負い目をもつ人々の新天地となり、1901年連邦成立、1931年イギリスから独立した。

 1890年代の恐慌により、従来民間団体の慈善によるとされていた社会保障、社会福祉は、政府主導の公的責任に基づく政策課題となった。1908年老令年金法(Old Age Pensions Act)、1910年障害年金法(Invalid Pensions Act)が成立している。

 1942年、所得税が全額連邦政府の歳入となったことから、国庫負担による社会保障システムが確立し、資産調査に基づく現行の定額給付制が実施された。

 リハビリテーションは、総合的かつ専門的なサービスを提供する必要から、連邦政府の所掌とされ、連邦リハビリテーション庁(Commonwealth Rehabilitation Service)が1948年社会サービス省(現社会保障省)に設置された。

 当初リハビリテーションは職業的自立をめざすものとして実施されたが、1977年リハビリテーション関係法の全面改正に伴い、対象者が拡大され、さらに費用負担も有料化されることとなった。

Ⅲ 法・行政

 社会的不利をもつ人を援助するための主要な法律を列挙すれば、次のとおりとなる。

1.社会サービス法(Social Services Act, 1947)主な内容は、①障害児者に対する各種の年金、手当、給付、②連邦の行うリハビリテーションサービスの規定である。

2.障害者援護法(Handicapped Persons Assistance Act, 1974)

 医学的治療は要しないが施設における援助は必要とする人たちへの各種サービス(例えば、保護工場、活動セラピセンター(Activity Therapy Centre)、就労を支える生活ホーム、訓練センター、レクリエーション活動など)を開設・運営する団体への助成を内容としている。

3.老人・障害者ホーム法(Aged or Disabled Persons Homes Act, 1954)

 老人・障害者のための生活施設を運営する団体への助成を定めている。

4.州助成(ホームケア)法(States Grants(Home Care)Act, 1969)

 州の行うホームケアサービスの経費やデイセンターの職員雇用についての助成を定めている。

5.給食サービス助成法(Delivered Meals Sub-sidy Act, 1970)

 買物や炊事も思うに任せない在宅の老人・障害者に、暖かい食事を配達するサービスを行っている団体に対する助成を定めている。

 以上のような法令に基づき行政が実施されるが、連邦・州・市町村のそれぞれ毎に役割分担が明確になっている。連邦は、社会保障・社会福祉・リハビリテーションと州の実施する事業への助成を担当し、州は教育・医療保健・司法・消費者保護、さらに市町村は産業振興・住宅・治安・公共環境整備などをそれぞれ分担している。

 リハビリテーションは主として連邦政府の責任とされ、総合リハビリテーションセンターをはじめその支所、作業適応センター(Work Adjustment Centre)、作業準備センター(Work Preparation Centre)などの開設・運営その他のサービスを総合的・一元的に所管している。

Ⅳ 医療保健

 医療施設は完備しており、一般医(ホームドクター)、専門医(または専門病院)、総合病院の3種がある。一般医は地域の患者に十分な時間をかけて診療を行い、必要な場合には専門医に紹介する。専門医は大むね自分のクリニックをもっているが、大手術などは施設設備のととのった総合病院で行う。相互の役割分担は明確となっているが、医療の内容が高度専門化するにしたがい、診療費も高額となっていく。

 健康保険には、日本のような公的保険制度はなく、代りに私的な保険会社の行う医療保険が普及している。主としてMBF(Medical Benefit Fund of Australia)、HCF(Hospital Contriibution Fund)、Medibank Privateの3つの保険会社が利用されている。ただし、いずれも自ら掛金を払込み後に還付を受ける療養費払い方式で、加入項目や掛金などによって差はあるが、85%~100%が還付される仕組である。年金受給者・失業手当受給者などの低所得者に対しては、特別の無料医療制度(公費負担)がある。

 オーストラリアも医薬分業体制となっており、簡単な薬以外は医師の処方箋がないと買うことができない。

Ⅴ 教育

 学校教育は州の所管であって、特に義務教育については州によって制度が異なる。一般に、就業前教育は小学校に付置された建物で4~5歳の児童に行われ、義務(初等・中等)教育は6~15歳、後期中等教育は18歳までとなっている。特殊教育は、特殊学校(分校含む)や普通学校内特殊学級で行われるもの(訪問教師サービス含む)と施設内で行われるものとの2種に分れている。盲・ろう・肢体不自由児は特殊学校、弱視・難聴児は特殊学級という傾向にある。特殊教育の対象児には、障害児はもちろんであるが、英才児や特殊才能児、移民・原住民・へき地の児童も含まれている。連邦政府は1974年以来各州に助成して、特殊教育施設のレベルアップに努力している。

 ヴィクトリア州の例でいえば、教育計画の作成は個々の学校長の責任とされ、教員には、①原則として1人の学級担任、②必要に応じて配置される助教師、③専科や司書、PT・OT・ST(他校からの巡回を含むが1対1で行う例が多い)などのスペシャリストがいる。精神薄弱の学校では生活中心のプログラムが組まれている。普通児との交流はもちろん盛んである。

Ⅵ 職業

 雇用に限らず自立生活もめざす職業リハビリテーションサービスは連邦リハビリテーション庁、つまり社会保障省によって実施されるが、職業紹介については労働省所管の職業安定所の業務である。各職業安定所には専任ないし兼任の担当官が配置され、これら担当官をスーパーバイズする専門官も置かれている。

 職業リハビリテーションサービスは、具体的には、総合リハビリテーションセンター(支所含む)と作業適応センター・作業準備センターで実施される。総合リハビリテーションセンターでは、主として職業評価と広義の職業前訓練が行われる。作業療法士とリハビリテーションカウンセラーが、センター内の訓練室をはじめ近隣の専修学校・職業訓練校・大学・企業(職場適応訓練)なども利用して、実施している。

 作業適応センターは、企業と同じ環境・内容をもつところで、一般雇用をめざす者の最後の仕上げを行う。作業準備センターは精神薄弱者を中心に職業評価と訓練を行うところで、学校卒業時点で雇用困難な者(作業習慣の形成など特別な訓練を要する者)や雇用後に不適応を起した者などが対象である。

 一般雇用にはなじまないが、特別な配慮や工夫があれば就労できる者に用意されているのが保護工場(Sheltered Workshop)である。全国に168ヵ所(1981、以下本節同じ)が公認され、開設・運営に助成がなされる。ここで働く障害者にはその実績に応じて報酬が支給され、一定額をすぎると障害年金が減額されるが、保護雇用手当(付加給付)はほとんどが受給している。訓練部門と雇用部門に分れていて、大部分が通所制である。

 常時ケアは必要としないが就労困難な重度の在宅障害者には、自立のための生活訓練や各種の活動を行う場として活動セラピーセンターがある。186ヵ所が政府からの助成を受けている。

 21歳以前に一般雇用に結びつかない者が上記2種の施設を利用することになるが、21歳すぎても困難な者は訓練センター(Training Centre)を利用する。ここでは、教育・社会適応訓練・作業療法・言語療法・職業前訓練・職業訓練など幅広い指導訓練が行われる。政府の助成を受けているのは308ヵ所である。

Ⅶ 所得保障

 一時的あるいは長期的に稼働収入を得られない状況にあって、所定の要件をみたす障害者には、所得保障が行われる。これには、①長期にわたる稼働不能に対応する年金(Pension)、②一定期間中の収入減による窮乏に備える手当(Allowance)、③特別な出費を補てんする給付(Benefit)の3種がある。

 最も一般的な年金は障害年金(Invalid Pension)であって、16歳以上でかつ労働能力が85%以下あるいは視力損失を伴う者に、収入認定の上支給される。オーストラリアに一定期間以上滞在していることも要件の1つとされる(例えば、国外での受傷の場合、国内に10年以上継続して滞在していなければならない。)週89.40ドル(1984、以下本節同じ)が限度とされている。児童を養育している場合には保護者手当(Guardian's Allowance)が年金に付加される。

 手当としては、保護雇用手当(Sheltered Employment Allowance)がある。この手当は、公認の保護工場で就労している障害年金受給該当者か同等の有資格者(保護雇用されなければ年金受給者となる者)に支給される。障害年金の代替というべきものなので、金額も障害年金と同額であり、各種の付加給付も同じ要件で支給される。さらに、奨励手当(Incentive Allowance)が、①保護雇用手当受給者、②活動セラピーセンターや訓練センターで訓練を受けている障害年金受給者に支給される。これは収入認定を伴わず、週10ドルである。この他、16歳以下の重症心身障害児を養育する親または保護者に支給される障害児手当(Handicapped Child's Allowance. 月額85ドルまで)や、雇用あるいは職業訓練を受けていて公共交通機関の利用困難な障害者に一定の要件のもとに支給される移動手当(Mobility Allowance. 週10ドル)がある。これらの手当受給者が連邦リハビリテーション庁のサービスを受ける場合には、代りにリハビリテーション手当(Rehabilitadon Allowance)が支給されるが、要件・金額とも同一である。

 給付としては傷病給付(Sickness Benefit)がある。疾病や事故等により一時的に収入が減少した際、最低7日以上の休業を原則として支給されるものである。男性16~65歳、女性16~60歳が受給年令であり、オーストラリアに1年以上の滞在が必要とされる。

 以上の他に、現物給付としての優遇措置があるが、州や市町村によっても異なり複雑となるので省略する。

Ⅷ 福祉サービス

1 在宅福祉サービス

 地域で生活している障害者や老人が個別の公助サービスなどを求める場合、州助成(ホームケア)法や給食サービス法によって、在宅福祉サービスが提供される。これらは民間団体が行う事業に助成する形をとるもので、在宅におけるケアサービスや給食サービス、日中利用するデイセンターの活動などがある。

2 補装具・自助具

 これらは連邦リハビリテーション庁のサービスとして無料で交付され、使用法も訓練される。交付される補装具は、義肢・車いす・補聴器・眼鏡・杖・コルセット・矯正靴・副木・スプリントなどであり、フォローアップも受けられる。また、自宅や職場で使用する器具の改善や自動車の改造も行われる。さらに、例えば視覚障害者のためのソニックガイド・レーザー杖のように、最新の技術を活用した機器の開発も行われている。

 このような機器についての最新情報の提供や各種の相談受付、また開発への援助を行うよう、1977年以降「自立生活センター」(Independent Living Centre)が設置されるようになってきた。オーストラリア障害リハビリテーション協議会(Australian Council for Rehabilitation of Disabled以下ACRODと略称)が、このセンターの開設運営に活躍している。

3 スポーツ・レクリエーション

 日常生活に欠かせないこの活動に対して、障害者のための特別な施設を開設・運営する他、一般の施設を障害者に利用しやすくすることも行われている。連邦リハビリテーション庁が直接運営するものもあるが、民間の運営団体への助成という形が多い。

Ⅸ 生活環境

1 住居

 各種リハビリテーション施設の利用期間中あるいは終了後の居住の場は、障害者援護法、老人・障害者ホーム法により提供される。連邦政府が自ら行うのでなく、民間団体の実施するこの種の事業に助成する形がとられている。種類には、ワンルームアパート式のホステル、自活コティジ(Selfcontained Cottages)、小集団の家族的なファミリーグループホーム、民間住宅の貸室利用などがある。

2 移送

 移送に対する援助としては、公共交通機関を利用できない者が自動車を購入する際の購入費の助成あるいは物品税の免除、自動車運転装置の改造費の助成などが行われている。

3 環境整備

 建築物の障壁解消や生活環境の改善をめざして、環境改善指針(Design Rules for Access by the Disabled)が1979年にACRODとオーストラリア基準協会(The Standard Association of Australia)の共同研究に基づき策定された。この基準に沿って改善する際、連邦リハビリテーション庁が助言や助成を行う。

Ⅹ 専門職

 医師・歯科医師・看護婦は順次養成に力が入れられ、ほぼ需要をみたしつつある。これら以外に1つ以上の州で法的規制を受けているのは21職種ある。薬剤師・理学療法士・作業療法士・言語療法士・視能訓練士などであるが、1部の職種(作業療法士・言語療法士など)を除き、十分に養成・供給されている。

ⅩⅠ 研究

 連邦リハビリテーション庁が、団体・大学などの専門家・研究者にテーマや研究費を提供して委託する調査研究には2種類ある。1つは、当面あるいは近い将来解決を求められる課題の解明というべきもので、例えば「老人・障害者の移動」「医用工学(Bio-engineering)のリハビリテーションへの適用」「四肢まひ者のニーズ解明」などである。2つは、すでに活動しているリハビリテーション関係のセンター・施設・団体などの現状を分析し、より良い内容とするための実態調査というべきもので、例えば「保護工場・活動セラピーセンターの実状」「作業準備センター利用者の長期フォローアップ」などである。

 これらの研究テーマは、数年に及ぶ継続研究を除き、年毎に更新される。また、独自の研究を実施する大学や機関・団体には、別途、研究基金からの配分がある。

ⅩⅡ その他

 オーストラリアは、白豪主義的移民政策を緩和し多くの移民を迎えることとなったものの、その大部分は英語の習得不十分や技術革新についていけずに、肉体労働を余儀なくされている。オーストラリアでは、例えば危険な場所を示すサインなどが英語以外に表示されていることがすくない。したがってリスクは大きく、事故や疾病の発生率も高く、リハビリテーションの対象となることも多い。こういった事情に対し、入国当時のオリエンテーションプログラム(特に英語教育)の徹底、多言語または絵による表示の確立、英語と母国語を話すソーシャルワーカーの採用などの措置がとられている。

参考文献 略

*神奈川県民生局

**東京衛生学園専門学校


(財)日本障害者リハビリテーション協会発行
「リハビリテーション研究」
1985年3月(第48号)3頁~9頁