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特集/高齢期とリハビリテーション

脳血管障害者のための小規模作業所の活動とその役割

―脳血管障害者の社会参加を保障するために―

小野浩

はじめに

 近年脳血管障害者のための小規模作業所が各地で設置されはじめた。本稿は、それら脳血管障害者のための小規模作業所の活動を中心に紹介しながら「高齢障害者の生きがい」について考えよという依頼であった。しかし、現状の小規模作業所の取り組みから「高齢障害者の生きがい」をテーマにそれを深めることは、現時点では困難であると考えた。

 そこで今回は、「高齢障害者の生きがい」というよりも、今後脳血管障害者の小規模作業所づくりが各地で取り組まれることを期待し、とりわけ医療関係者がこの運動に対して大いに関心をもたれるように、まず小規模作業所がなぜつくられたのか、またどうすれば設置することができるのかについて述べ、その上で実際にあるいくつかの脳血管障害者のための小規模作業所の活動を紹介し、脳血管障害者の社会参加を保障するために小規模作業所が実際にどのような役割を果たし、今後どのような課題があるのかについて検討してみることにする。

1.小規模作業所設置運動の発展と公的補助金制度の現状

(1)小規模作業所急増の背景

 小規模作業所は、障害児学校卒業後の重度の障害者あるいは精神病院を退院後、行き場のない精神障害者のための社会参加の場として、今や3,000ヵ所を超える勢いで増え続けている。1991年度の都道府県・政令指定都市の実施している補助金事業の交付対象ヵ所数では、現在2,796ヵ所に達していることが判明している(1991年度8月1日現在)。その他、公的補助金を受けていない小規模作業所を含めて、約3,000ヵ所と推測することができる。そして、これら小規模作業所は、身体障害者福祉法や精神薄弱者福祉法、精神保健法の定める授産施設などの法定施設ではなく、すべて法定外施設なのである。

 ではなぜ、こんなにも増えるのか。これらの増設傾向の要因としては、以下の2点をあげることができる。

 要因の一つとしては、我が国の障害者に対する職業リハビリテーション施策の遅れがまずあげられる。それは、1987年に身体障害者雇用促進法を「障害者の雇用の促進等に関する法律」と改め、精神薄弱者などをその対象に盛り込むなどの一定の改正はされたものの、法定雇用率は未だに達成されていないことに示されている。

 さらには、縦割り行政のもとで障害種別に分断され、なおかつ重度障害者を除外してきた福祉的就労対策の遅れである。図1にみられるように、福祉的就労対策の基本となる授産施設は、1981年の国際障害者年を前後に入所型施設から通所型施設への転換がみられた。しかし、それら通所授産施設と小規模作業所の設置数を比較してみると、法定通所施設531ヵ所に対し、小規模作業所は2,332ヵ所とそれを大きく上回る勢いで設置されていることがわかる(表1を参照)。

図1.入所型施設と通所型施設の増設推移比較表

図1.入所型施設と通所型施設の増設推移比較表

表1.障害者福祉関連三法に基づく授産施設の設置数・利用者数
法令 施設種別 定員 内訳 1990年
身障者福祉法 身体障害者通所授産施設 20 施設数 109
障害者数 2,611
精薄者福祉法 精神薄弱者授産施設(通所) 20 施設数 396
障害者数 14,543
精神保健法 精神障害者通所授産施設 20 施設数 26
障害者数 562
合計     施設数 531
障害者数 17,716
法外 小規模作業所   施設数 2,332
障害者数 32,648

注1:法定施設数は「社会福祉施設調査」より
注2:小規模作業所の障害者数は、1作業所平均14名とした数値

 こうした職業リハビリテーション対策ならびに福祉的就労対策の遅れは、小規模作業所急増の基本的要因といえる。

 要因の二つ目は、1979年に実施された養護学校義務制によってすべての障害児に学校教育の門戸が開かれ、同時に彼らの卒業後の進路問題がクローズアップされたこと。また、宇都宮事件に端を発した精神保健法(旧精神衛生法)の改正(1988年)。そして図2が示しているように、国際障害者年に提唱されたノーマライゼーションの普及等によって、在宅福祉・地域福祉指向がひろがってきたことを背景に増設した。これらは、小規模作業所急増の副次的要因としてあげることができる。

図2.通所授産施設等の増設推移

図2.通所授産施設等の増設推移

(2)小規模作業所設置運動の推進者

 現在ある小規模作業所の多くは、知的障害や身体障害の場合は障害児学校の教員や親、家族などの関係者が中心となり、精神障害の場合は医療・保健機関職員や家族などの関係者らが、その設置運動の推進者となっている場合が多い。

 図3にみられるように、小規模作業所の運営主体を団体別にみてみると運営委員会の形態が最も多く、次いで精神薄弱者育成会、精神障害者家族会、障害者団体となっている。運営委員会とは、家族、教育、医療、保健婦、SW、職安職員などさまざまな関係者によって構成されている。また精神薄弱者育成会および精神障害者家族会は、それぞれ障害者の家族・親の会が直接運営しているところであり、障害者団体とは、障害者自身の組織、もしくは障害種別を越えた親・家族の組織等である。

図3.小規模作業所の運営主体

図3.小規模作業所の運営主体

 以上のように、小規模作業所を設置し運営する主体としては、全体の66%が当事者および家族・関係者によって担われているのである。つまり、小規模作業所を設置・運営する上で欠かすことのできない推進者であり、このような組織が運動体として活発であればあるほど小規模作業所を設置する推進力となり得るのである。

(3)地方自治体補助金制度の現状

 小規模作業所の設置を促進する上で大きな支えになっているのが地方自治体による補助金制度である。

 小規模作業所の平均的な規模は、障害者14人が通所し、職員が2.4人であり、その運営費の平均は年間1,500万円である。その収入の内訳は55%が公的補助金であり、あとは事業収入や寄付金等で賄っているのである(図4を参照)。

図4.年間平均財政規模

図4.年間平均財政規模

 この公的補助金には2種類あり、一つは国庫補助金制度であり、もう一つが地方自治体による補助金制度である。しかし現状では国庫補助金制度は年間総額約7億8,000万円で、一ヵ所年額90万円、858ヵ所に交付(91年度実績)されている現状にあり、それに対して都道府県・政令指定都市の補助金制度は、補助金額には地域間格差がありながらも年間総額約106億6,000万円で、一ヵ所平均年額約381万円(最高年額1,000万円から最低90万円まで)という実績にある(表2を参照)。

 多くの小規模作業所は、このような公的補助金制度を活用し改善運動を行いながら自主的に運営しているのである。

表2.一人当たりの月額措置費(法内施設)と一人当たりの月額自治体補助金の比較
単位:円
内施設・小規模作業所 一人あたりの月額措置費・補助金
法内施設 精神薄弱者授産施設(通所) 32,540 特甲地30人定員
身体障害者通所授産施設 88,200 特甲地30人定員
精神障害者通所授産施設 55,581 1ヵ所月額1,482,170円
法外作業所 小規模作業所国庫補助金制度 5,000 90万円/12ヵ月/平均15人
地方自治体 地方自治体補助金制度
身体障害者・知的障害者
21,000 補助総額 8,274,456千円/2186ヵ所/12ヵ月/平均15人
地方自治体補助金制度
精神障害者
21,800 補助総額 2,390,157千円/610ヵ所/12ヵ月/平均15人

地方自治体高額補助金の自治体

千葉県 身体知的障害者 65,683 熊本県 精神障害者 3,333
滋賀県 全障害者 64,888 青森県 身体知的障害者 5,000
大阪府 全障害者 57,777 宮崎県 身体知的障害者 5,000
東京都 全障害者 55,555 沖縄県 身体知的障害者 5,000
京都府 全障害者 52,555 大分県 精神障害者 6,000
長崎県 精神障害者 2,777      

注.措置費・自治体補助金は91年度のもの         

(4)小規模作業所の今日的特徴

 以上述べてきたように、小規模作業所はこれまで働くことは困難とされてきた重度障害者の労働保障を実現し、今日では現行の福祉的就労対策を補完するものではなく、障害者の社会参加や福祉的就労にとって欠かすことのできない社会資源であるといえる。また、これら小規模作業所の増設傾向は、現行の職業リハビリテーション対策や福祉的就労対策の改善をも促進してきたといえる。具体的には通所型施設の創設をはじめ、施設設置基準の緩和、混合利用制度の実現(身体障害と知的障害の混合利用)などである。

 このような評価にたって、小規模作業所の今日的特徴を列挙すると以下のような点があげられる。

 第一には、これまで医療の対象もしくは在宅か施設収容かという選択しか残されなかった重度重複障害者に対して、地域生活への道を拓き、機能訓練やリラクゼーションなどを重点に生きがいづくり=人生の質の充実をめざして取り組んでいる通所訓練型施設がひろがってきたこと。

 第二には、たとえ重度の障害者であっても、その経済的自立を保障することを目的に作業を重点とした小規模作業所が増えてきていること。そこでの作業内容は、リサイクルやサービス産業(仕出し弁当、パン製造)など市民生活に深く関わっていること。

 また、一般就業に結びつけるために、地域の企業や生活協同組合等と提携し「援助付き就労」の実験的な活動もひろがってきている。これについては、京都府、滋賀県などにおいて独自の補助金制度が設けられている。また一般就業に結びついた障害者をフォローするために、作業所OBのためのソーシャルクラブ等をつくっている。

 第三に、以上のような小規模作業所を同一地域内に複数設置し、それらが多様な障害者のニーズに対応して、さまざまな機能をもち、独自の活動をしながら連携した地域生活援助のネットワークをつくりだしていること。

 そして、今日的特徴として第四に指摘できることは、このような運動を牽引車として、これまで障害者福祉法の対象とされてこなかった精神障害者をはじめ、てんかん、難病者等さまざまな障害者にひろがってきたことである。

 さらにここ数年、脳血管障害者が他の障害者と共同で小規模作業所を利用したり、脳血管障害者を主対象とする小規模作業所が増えてきている。

2.脳血管障害者のための小規模作業所の実態

 脳血管障害者に対する公的な福祉対策は、老人保健法にもとづく機能訓練事業で、週1回もしくは月に2~3回、保健所等に集まってレクリエーションや作業療法を受けるものや、その他、都道府県・区市町村の独自事業として身障・老人福祉センターなどでの訓練などがある。しかし、その多くは通所制限があり、地方にあっては遠隔地であったり絶対数が足りないなど、多くの脳血管障害者は在宅生活を余儀なくされ、家族によって支えられている現状にある。

 このような現状のなかで、小規模作業所のもつ可能性はたいへん大きいのではないかといえる。

 ここでは、脳血管障害者等を主対象とした小規模作業所を簡単に紹介することにする。

(1)通所訓練施設「春望」(東京都・小平市)

 身体障害者通所訓練施設「春望」は、1986年4月に障害者4名、職員3名でスタートした。開設当初はプレハブ平屋建てであったが、現在はマンションの1階のフロアを借り、通所者20人、職員5人で活動している。これに対する公的補助金は、東京都の心身障害者通所授産事業を受け、都から年額1,000万円と小平市から同額の補助を受け、計2,000万円の補助金で運営している。

 主な活動内容は、作業、習字、自主訓練、レクリエーションなどであり、朝夕には自力通所の困難な通所者(16名)の送迎を行っている(交通費は都から実費補助を受けられる)。

 また、発病前には看板屋をしていた人の技術を生かして看板づくりをするなどメンバーの特技等を生かした活動を大切にしている。

 作業では主にレザークラフトを取り組んでいる。当作業所は、同じ小平市内に姉妹施設「あしたば作業所」があり、「あしたば」は木工作業を中心に作業活動に重点をおいているのに対して、春望は、重度障害者を中心に仲間づくり、機能訓練・言語訓練(週2回)等に重点をおいている。

(2)すこやか作業所(東京都・江東区)

 すこやか作業所は、脳卒中友の会、パーキンソン病友の会の会員を中心に、地域での「働く場」「仲間と語り合う場」として、1986年5月に開所した。開所当初は「江東老後をよくする会」の会員のボランティアによって支えられていたが、現在では、3名の常勤職員と19名の利用者が通っている。公的補助金は、都から1,000万円と江東区から900万円を受け、約1,900万円で運営している。

 主な作業では、牛乳パックの再生紙の手すきはがき、オーストラリア産羊毛の手紡ぎ毛糸を製造している。またそれをもとに機織りでセーターやマフラー、マット等の作成にも取り組んでいる。この毛糸は、区内の空地に生えている雑草を原料に染色している。手すきはがきは、一枚のはがきを仕上げるまでの作業工程を共同作業で取り組むのに対して、手紡ぎや機織り作業は、一人作業であるため、一人ひとりのペースで取り組める作業である。また機織り作業は工程は複雑であるが、それだけに一つの製品をつくりあげることの達成感を得ることができる。

 さらに、当作業所にはショーウインドーがあり、自分たちがつくりあげた製品をその場で販売することができるため、作業の成果が社会に還元されていることを実感できる。

 現在の利用者は、脳血管障害者13人、心臓病1人、脊髄小脳変性症3人、パーキンソン病1人、筋ジストロフィー1人等である。

(3)久米川共同作業所(東京都・東村山市)

 久米川共同作業所は1988年に、「杜の会」という結核回復者を中心とした障害者団体を母体に設立した。開設当初は内部障害者が中心であったが、その後脳血管障害者が急増し、現在の利用者のほとんどが脳血管障害者となっている。

 作業種目としては陶芸を主に行っている。通所時間も一定に定めず、それぞれの利用者の症状に応じて通所時間を設定し、その送迎を保障している。製造した陶器は、作業所のバザーや社会福祉協議会の福祉まつりなどで販売している。また、月に一回、地域の市民を対象に開催している「陶芸教室」は、利用者と地域住民の交流や理解をひろげる活動になっている。

 公的補助金は、東京都と東村山市の補助金を合せて年間1,200万円である。

3.脳血管障害者等を主対象とした小規模作業所の特徴と今後の課題

(1)脳血管障害者等を主対象とした小規模作業所の特徴

 以上紹介した小規模作業所以外に、東京都内にはその他9ヵ所の脳血管障害者の作業所、もしくは脳血管障害者が利用している作業所がある。また、山形県、埼玉県、三重県、兵庫県等にも同様の作業所が設置されている。

 脳血管障害者等を主対象とした小規模作業所の正確な実態調査については、まだ実施されていないが、現時点で把握している小規模作業所の特徴と役割を整理してみると以下の点があげられる。

 まず第一には、とにかく無為無目的な在宅生活を余儀なくされることで、医療機関の機能訓練で回復した能力を後退させることなく、地域に目的をもって毎日通える場があるということである。

 第二には、障害をもつがゆえの社会的・精神的ハンディキャップを本人や家族で抱え込むのではなく、同じ障害をもつ仲間が集まり、励まし合って生活することで、障害の受容を可能にすることである。

 第三には、たとえ工賃が月額5,000円から10,000円という実態にあっても、脳血管障害者に潜んでいる未開の力を引き出すことや「まだやれる」という自信をもって働ける仕事を保障していることである。これは単に作業に従事すればいいというものではなく、仲間とともに同じ目的をもって働くということが最大限必要不可欠の要素である。

 例えば、あしたば作業所(東京都・小平市)の実践記録ではこう記されている。

 Tさんは、以前は建設会社に勤めており、40歳の時に脳卒中で倒れ、右片麻痺と重度の失語症の障害を負ってしまった。Tさんは「当初、作業所に通うことを強く拒みました。それは、今までの生活とあまりにもかけ離れてしまった今の自分というものの運命に対する抵抗や、困難に対しての忌避の念があったのではないか…はじめは口も重く、まして失語症ですから、会話もむずかしいのですが、3ヵ月、半年と月日を重ねていくなかで、Tさんの顔には笑いが増えてきました。…作業で完成した作品に対しても自分で評価をくだして反省したり、満足したり、非常に積極的になってきました。」

 また、すこやか作業所では、作業所の役割を次のようにまとめている。

 「マヒして硬直し力が入らなくなった手も、何とか工夫して使うので、それまでは使えないと思い込んでいた手が、実際に作業のなかで役立ち、少しずつ硬直した手が広がってきている。またそれまでは、家のまわりをリハビリのためと散歩していたが、作業所へ来るという目的がはっきりしたことも影響して、歩行がしっかりしてきて、歩く速度も速くなってきた。そして作業所でのコミュニケーションは、麻痺をもって生活していく上での情報交換の場となり、これまで障害があるため、利用することはできないと決めつけていた交通機関を使いはじめるなど生活の幅をひろげる機会をつくりだしている。」

 一方、大半の脳血管障害者は、かつて社会の第一線で活躍していた人たちだけに、その当時得ていた給料と作業所工賃とのギャップを感じてしまったり、性急に社会復帰を望むため、「こんな工賃では社会人とはいえない」などの焦燥感を抱いてしまうケースもある。死線を越えてきた脳血管障害者は自由な過去とそれを奪われた現在とのギャップが大きく深いため、作業所でのわずかな前進も、この焦燥感、障害をもつがゆえの精神的脆さによって、揺らいでしまうこともある。

 決して小規模作業所だけで、脳血管障害者の抱えるさまざまな問題をすべて解決できるものではないし、また現時点で小規模作業所の機能と守備範囲を一概に定めることはできないが、少なくとも、既存の小規模作業所は目的のある生活を保障し、ともに支えあえる仲間とのコミュニケーションや作業活動を通して、社会で生きていることの実感を味わい、第二の人生への糸口を発見する跳躍台としての役割は果たしているのではないか。

(2)今後の課題―地域リハビリテーションの視点から―

 約3,000ヵ所の小規模作業所のなかで、とりわけ急増した精神障害者小規模作業所の増設傾向に比べて、脳血管障害者のための小規模作業所の設置状況は、野火のごとくひろがっているといえる状況にはない。これは、先に指摘した小規模作業所に対する地方自治体の補助金制度の格差等の影響も少なくはないと思われる。

 また、脳血管障害者は大半が高齢なために、家族を含む関係者はとかく高齢者対策の範囲で福祉対策を考える、もしくは利用するに留っているのではないか。またこのことは既存の小規模作業所関係者の側にもある認識ではないかと思える。そして、脳血管障害者の場合、そうした運動の推進者である家族会や関係者のネットワーク等が地域で組織されていないのではないかということである。「脳卒中友の会」「失語症友の会」などの当事者組織は、地域に存在しているところもあるが、実際に作業所づくりに取り組んでいるところはまだわずかで、全国的な活動方針にはなっていないようである。

 先に指摘した脳血管障害者に対する貧困は福祉対策の現状を改善し、社会参加を保障していくためには、高齢者対策のみを想定して脳血管障害者の受け皿を地域に求めるのではなく、障害者地域リハビリテーションシステム確立の視点から、脳血管障害者の社会参加・就業復帰を援助していくことが大切なのではないか。地域という生活圏に、医療・福祉・労働・教育等のさまざまなリハビリテーション施設が設置され独自の機能を発揮し、それらが連携して備ってこそ、障害者の「全人間的復権」としてのリハビリテーションは実現されるのではないか。

 そういった視点から考えると、脳血管障害者の地域リハビリテーションを推進する上で、現在各地で設置されている小規模作業所は、貴重なモデルになるのではないか。

》 略

共同作業所全国連絡会事務局員


(財)日本障害者リハビリテーション協会発行
「リハビリテーション研究」
1992年10月(第73号)15頁~21頁