奥英久 *
パーソナルコンピュータ(以下、パソコン)の普及により、障害を有する人々の間でもコンピュータが使用されるようになってきている。例えば、書字が困難な人が日本語ワードプロセッサ(以下、ワープロ)を利用して手紙を作成するなどは日常よく見かけられる。これは、社会生活の要素である文字を加工(電子化)でき、コミュニケーションにも利用できるというコンピュータの機能によるところが大きい。この背景として、障害者のコンピュータ操作を支援する各種補助機器具の開発があり、さらに障害を有する人でも使用できるコンピュータの実現に向けた内外の社会的動向がある。本稿では、まずコンピュータの構成について概説し、肢体不自由者がコンピュータを使用するための補助機器および支援の動向について概説する。
コンピュータは人間が指示(命令)した処理を行う装置で、処理の具体的内容は手順(プログラム)と条件(データ)で示される。コンピュータの説明で一般的によく使用される「ハードウエア」は前者の装置を示し、同じく「ソフトウエア」は後者の処理内容とりわけプログラムを示している。
(1) ハードウエア
ハードウエアとして見たコンピュータは図1の通りで、左側が基本的構成、右側が具体例を示している。入力装置は人間が処理内容をコンピュータへ伝えるための装置で、標準的にはキーボードが使用される。記憶装置は入力された処理内容を記憶する部分で、内部記憶装置(半導体メモリー)と外部記憶装置(フロッピー・ディスク、ハード・ディスクなど)がある。演算装置は、プログラムで指示された処理内容に従って、具体的な処理を行う。出力装置は演算結果をコンピュータの外部に知らせるための装置で、標準的にはCRTモニタ(ブラウン管に表示する装置)やプリンタ(紙に印刷する装置)などが使用される。
図1 コンピュータの基本的構成
(2) ソフトウエア
コンピュータが他の電子機器と異なる大きな特徴は、ソフトウエアを変更することで機能を自由に設定できることである。例えば、ソフトウエアで処理する内容が「入力する文字で漢字仮名混じりの文章を作成」であればコンピュータは日本語ワープロとして機能し、「種々のデータの入力・記憶・並べ換え・検索」であればデータベースとして機能する。これらのソフトウエアは、コンピュータを特定の機器として利用することから、アプリケーション・プログラムと称される。これに対して、このようなアプリケーション・プログラムの開発やコンピュータ自体の動作環境を整えるソフトウエアは基本プログラムと称され、言語プログラムやオペレーティング・システム(OS)などが該当する。
(3) コンピュータの操作
人間がコンピュータを操作する場合、まず入力装置を介してプログラムとデータを入力、あるいはアプリケーション・プログラムを動作させる。コンピュータは、プログラムに書かれた処理の内容に従ってハードウエアを動作させる。これらの実行経過と結果は出力装置を介して人間に知らされる。人間側は正常な四肢機能と感覚機能を有していることが前提で、人間とコンピュータが直接的に関わる部分はインタフェースと称されている。人間にとって使いやすいコンピュータとは、入力装置の操作が容易で出力が理解しやすいものである。このインタフェースの良否で操作性が決定される。
(1)肢体不自由者のハンディキャップ
人間側に障害がある場合をインタフェースの観点から考えると、不足する機能をコンピュータ側で補完・代償するか人間側で補完することが必要になる。肢体不自由者の場合には、四肢の障害が中心となるため、主として以下の点が問題となる。
○標準キーボードの操作
○フロッピー・ディスク等記憶媒体の取扱い
○印刷出力の取扱い
(2)キーボード操作
キーボード操作では、まずキーボード上に配列された全てのキーを必要に応じて的確に押下できるか否かがポイントとなる。キーボード操作が困難となる障害内容は多様であるが、表1は肢体障害者における四肢の可動域(操作できる範囲)ならびに巧緻性(力と時間の制御能力)と操作できるキー数の関係を大まかに示したものである。
表1 肢体不自由者の残存機能と操作可能なキー数の関係
この結果、操作できるキー数に応じて、コミュニケーション・エイドの場合と同様に、直接法(Direct Selection)、コード化法(Coding)、走査法(Scanning)が適用となる。図2に各方式の原理を示す。直接法は文字どおり目的のキーを直接選択するのに対して、コード化法と直接法は目的のキーに割り当てられたコード(符号の組み合わせ)や位置をスイッチ操作で指定して間接的に選択する方式である。直接法は高い随意運動機能(可動域と巧緻性)を必要とするが目的のキーを直接押下するため操作効率が高く、コード化法および走査法は制限された身体機能でキー選択操作が可能であるが操作効率は低い。このため、一般的には自助具や装具あるいはスティックの併用を含め、可能であれば基本的に直接法が適用となる。
図2 直接法・コード法・走査法の原理
各方式による補助装置の代表例を表2に示す。
操作上の障害 | 必要な機能または装置 | 市販装置(またはシステム)の名称* | 備考 | ||
直接法 | 標準キーボードのオートリピート機能による誤操作 | オートリピートが開始される時間を調節できるかオートリピートを停止させる機能 | (H)キーコン (S)HAライブラリ (S)PDS (S)Access DOS |
○標準キーボードとコンピュータ本体の間に挿入して使用 ○アプリケーション・プログラムに組み込んで使用 ○アプリケーション・プログラムに組み込んで使用 ○OS(基本プログラム)として使用 |
|
標準キーボード上で2つのキーを同時に押下できない | 同時に押下する操作をひとつずつ遂次的に操作できる機能 | ||||
標準キーボードにおいて目的キーの近接キーも押下 | 目的のキーだけを的確に押下し近接するキーに接触しない装置 | (H)キーガード | ○一般的には透明アクリル板をキーボードの上に載せ、キーの部分だけ穴を空けたものを使用する | ||
標準キーボード操作不可 | スティックを使用できる | スティックで操作できるタブレットまたはキーボード・エミュレータ | (H)KBマウス | ○スティックでタブレット上のキーの位置をポインティングして疑似的に押下を行う | |
頭部の正確な動きが可能 | 各キーの位置に受光部を配置した特殊キーボード | (H)光キーボード | ○眼鏡などを利用して発光部を頭部に取り付け、その光を特殊キーボードに向け、目的のキーに該当する受光部に入力する | ||
視線によるキーの指示が可能 | 視線を検出する装置と仮想キーボード | (H)EYE GAZE COMPUTER SYSTEM | ○使用者はCRTモニタに表示された仮想キーボードの中の目的のキーを見つめ、その視線を別のテレビカメラで検出する | ||
コード化法 | 残存機能で複数個のスイッチ操作が可能 | 複数個のキーを操作してコードを発生できるキーボード・エミュレータ | (H)モールス符号入力式キーボード | ○1個のスイッチを操作して、目的のキーに割り当てられたコード(モールス符号など)を発生する | |
走査法 | 1個から数個の単一スイッチ操作が可能 | 各キーの選択状態がスイッチ操作により制御できるキーボード・エミュレータまたは仮想キーボード | (S)HAライブラリ (H)HA―1000 |
○CRTモニタ画面上に仮想キーボードを表示し、スイッチ操作による走査法でキーを選択する ○上記の仮想キーボードを独立したキーボード・エミュレータとして開発したもの |
*表中の(H)はハードウエア的対応、(S)はソフトウエア的対応を示す
① 直接法によるキーボード操作
残存機能が高く十分な可動域と巧緻性を有する場合には、標準キーボードを手指あるいは足指で操作できる。この場合、自助具や装具による身体機能の補完も重要である。しかし、巧緻性が低下して正確なキー操作が困難な場合には、キーの自動反復入力機能(同一キーを一定時間以上押下し続けるとそのキーが続けて入力されてしまう機能;オートリピート)により誤操作を起こしたり、複数キー(例えばシフトキーと他のキー)を同時に押下する操作が困難になる。また、目的のキーを押下する場合に、近接するキーに触れて一緒に押下してしまうこともある。オートリピートは、この機能自体がコンピュータのOSレベルで設定されている場合が多いため、ソフトウエア的な対応あるいはキーボードからの信号をコンピュータ本体へ送る前に処理する方法で対処できる。ソフトウエア的方法としては、市販されているコンピュータ用に、キーを押下した時点からオートリピートが開始される時点までの時間を調整したり無くする各種の補助プログラムが開発されている。この一部はPDS(Public Domain Software;許諾なく誰でも使用できるソフトウエアという意味)として無料で入手できる。これらの補助プログラムは、利用するアプリケーション・プログラムと組み合わせて使用する。ハードウエア的にはキーボードとコンピュータ本体の間に挿入して使用する装置が開発されている。複数キーの同時押下は、一方のキーを文鎮や機械的なスイッチで一時的に押下した状態とし次に他方のキーを押下するという方法もあるが、現在ではソフトウエア的対応として、同時押下を逐時押下に変更して操作する補助プログラムが開発されている(既述のPDSの機能として含まれている)。一方、目的のキーと近接するキーを一緒に押下する場合の対応は、各キーの位置だけ穴が開いた透明板(キーボード・カバーまたはキーガード)が有効である。このキーボード・カバーについては、一部のパソコンでは準備されているものもあるが、他の機種については実費製作してもらえる機関がある。
以上は、標準キーボードの操作を対象としたものであるが、狭い範囲であればスティックを利用して正確なキー押下が可能であれば、キーボード・エミュレータが適用となる。エミュレータという語句は「同じ動作をする別のもの」という意味である。キーボード・エミュレータとしては、図3(略)のような一般向けタブレットとして開発されたものと、それを肢体不自由者が使用できるように改良されたものがある。一方、眼鏡などに取り付けた光源を頭部の随意的な動きで別の位置に設置した受光器に向けることが可能であれば、多数の受光器で構成された‘光’式キーボードを直接法で使用できる。また、CRTモニ夕の画面上に仮想キーボード(Virtual Keyboard)を表示して、その中の必要なキーを視線で指示することにより選択できる装置も開発されている。
図3(写真) タブレットの例(略)
② コード化法によるキーボード操作
障害が重度化し頭部や目の随意運動機能も低下し高々1個から数個程度の単一スイッチしか操作できない場合には、前述のタブレットなどを利用しても直接法による操作が困難となるため、コード化法あるいは走査法が適用となる。いずれも機能が残存している身体部位の随意運動機能に適した操作スイッチを使用する。これらの残存機能は障害内容により異なるが、一般的な目安として表3のような分類が示されている。実際の適用では、対象者の残存機能を客観的に評価し、最適な操作部位を決定しなければならない。
疾患名 |
操作可能身体部位または随意運動機能 |
||||||||||
発声 | 呼吸 | 瞼 | 眼球 | 舌 | 顎 | 頭首 | 肩 | 腕肘 | 手首 | 足 | |
頸髄損傷(C4~C5) | △ | ○ | ○ | ○ | ○ | △ | |||||
脳性麻痺(痙直型) | ○ | △ | ○ | ||||||||
脳性麻痺(アテトーゼ型) | ○ | △ | ○ | △ | |||||||
脳血管障害(両側片麻痺など) | △ | △ | △ | △ | ○ | ○ | ○ | ||||
慢性関節リウマチ | △ | ○ | △ | △ | △ | △ | ○ | ||||
多発性硬化症 | △ | ○ | △ | △ | △ | △ | △ | ○ | △ | ||
筋萎縮性側索硬化症(ALS) | △ | ○ | △ | △ | △ | ○ | ○ | △ | △ | ○ | △ |
[○操作:操作可能性大、△:可能性あり]
コード化法については、複数のスイッチを組み合わせた操作スイッチでモールスコードを基本としたコードを発生させ、それをもとに標準キーボードと同じ信号を発生するエミュレータが開発されている。
③ 走査法によるキーボード操作
走査法では各キーが文字盤状に配列され使用者に提示されるが、これには標準キーボードのエミュレータとして構成するハードウエア的方法と、補助プログラムとして開発しアプリケーション・プログラムの動作時にCRTモニタ画面上に仮想キーボードとして表示するソフトウエア的方法がある。いずれも方形のキー配列盤で、選択可能なキーをランプの点灯やカーソル(CRTモニタ画面上で次の文字の位置を示すマーク)で示す。図4((写真)走査法でキー選択が行える互換キーボード 略)は、ハードウエア的方法として開発された装置で、標準キーボードと差し替えて(互換)使用することができる。一方、図5((写真)CRTモニタ画面上に表示された仮想キーボード 略)はこの装置を仮想キーボードとして実現したものである。ハードウエア的方法は標準キーボードと完全に代替えできるため使用できるアプリケーション・プログラムの種類に制限を受けないという利点がある。
(3) フロッピーディスク等記憶媒体の取扱い
キーボードを操作できるようになると、入力部分のインタフェースが行われたことになるので、とりあえずコンピュータを使用できることになる。しかし、使用するプログラムやデータはフロッピー・ディスクなどからコンピュータに読み込まれるため、その取扱いが次の問題となる。
これを解決する装置として、多数のフロッピー・ディスクを収納してコンピュータの命令で自由に選べるフロッピー・ハンドリング装置(マス・ストレージ・データ・プロセッサ)が開発されている。一方、フロッピー・ディスクを直接扱う方法以外に、ハード・ディスクなどの外部記憶装置が大容量化しているため、これらの利用で解決することもできる。
(4) 印刷出力の取扱い
プリンタで必要な操作は、紙のセットと印刷後の取り出しである。この場合、プリンタの設置場所が大きな影響を与える。例えば、車椅子を使用している肢体不自由者の場合には、高い位置に設置されたプリンタに用紙をセットしたり印刷後に取り出すことは困難である。このため、プリンタの位置を変更するか、座席昇降式の車椅子を使用するか、あるいはぺーパーレスとするかの対応が考えられる。この状況は、上肢に重度な障害を有する場合にはさらに深刻なものとなる。現状では、健常者の支援を得て用紙の取扱いを依頼したりフロッピー・ディスク等へ出力しているが、最近では文書やデータを電子化し通信回線(パソコン通信)やLAN(Local Area Network:構内通信網)などを利用して送ることも行われている。
(5) ポインティング・ディバイス
最近ではGUI(Graphical User Interface, グラフィックによる使用者インタフェース)化が進んできたこともあり、標準キーボード以外に、描画やメニュー選択操作のためマウスなどのポインティング・ディバイス(指し示す道具)の操作が重要となってきている。マウスは、片手で掴める程度の半卵型で、底にボールと上部に1~3個のスイッチを配した入力装置である。手で掴み平面上を移動させる操作で画面上の対応するカーソルを移動させ、画面上のカーソル位置や選択/非選択の情報を入力する。手先に細かい操作機能を必要とするが、基本的にはカーソルを上下左右に移動する機能とスイッチ機能から構成されるので、すべてをスイッチ操作で代替えする装置が開発されている。また、既述のキーボード・エミュレータなどの機能の一つとしても組み込まれている。
前節では、肢体不自由者がコンピュータを使用するための問題点と、それを支援するための基本的考え方および現状で開発されている補助装置について概説した。このような具体的対応とは別に、障害者の使用を前提としたコンピュータの仕様について、種々の機関や立場で検討が行われ、一部は実際の施策として実行されている。これらは肢体不自由だけに限らず他の障害についても言及しているが、代表的なものについて簡単に紹介する。
(1) 米国リハビリテーション法508条
米国では、1986年に、以前に制定されたリハビリテーション法に新しく508条を追加した。そして翌年に、これを実施するための指針を策定した。この指針は「電子事務機器アクセシビリティ指針」と称されており、「連邦政府および関係機関において障害者が使用できる電子事務機器がないことを理由に障害者の雇用を妨げてはならない」というものである。この指針は、1988年10月に連邦調達庁より政令として交付された。この指針は連邦政府自体と連邦政府から補助金を受けている機関や企業に対して強制力を有するものである。内容は、入力装置と出力装置および関連文書に関して言及しており、いずれも障害者が扱えることができるものでなければならないとしている。米国の2大コンピュータ企業であるIBM社とアップル社は、いずれも同法に呼応する形で、障害者もコンピュータを使用できるような支援を行っている。
(2) 情報処理機器アクセシビリティ指針
前述の米国リハビリテーション法508条の追加はわが国にも少なからず影響を与えた。具体的には、1988年に(社団法人)日本電子工業振興協会にヒューマニティ・エレクトロニクス調査委員会が設立され、関連調査を行った。その結果をもとに、1990年に通産省機械情報産業局に障害者等対応情報処理機器開発普及推進委員会が設けられ、情報処理機器アクセシビリティ指針(暫定案)をまとめて公表した。この指針は、コンピュータ(特にパソコン)に代表されるキーボードを有する情報処理機器を対象として、高齢者、身体障害者にも操作がしやすい情報処理機器はいかにあるべきかのガイドラインである。この暫定案は、公表後に関係機関・団体・個人などに対するアンケート調査を行い、一部の修正を行った後、1991年に指針として正式に公表された。この指針の特徴は、障害者や高齢者が情報処理機器を使用するために必要な機能を、必須・重要・推奨の3段階に分けていることであり、現状の適性技術利用と早期実用化の観点からまとめている。このアクセシビリティ指針に準拠したパソコンなどについては、毎年開催されるデータショーにおいて特別コーナーを設けて関連企業及び団体・機関からの出品展示を行い、その普及と啓蒙活動が行われている。
(3) TRON
TRON(The Realtime Operating system Nucleus;実時間での処理に適する操作システムの核)は、東京大学理学部の坂村健助教授により提唱され、21世紀に使用できるコンピュータの開発を目指し1984年に開始されたプロジェクトである。種類としては、産業用(I)、ワークステーション用(B)、通信用(C)、ネットワーク用(M)の各TRONに分かれている。この中で、BTRON(ワークステーション用)は人間と機械とのインタフェースを目的としており、障害者を含めたあらゆる人々が使用できることを目指して開発されている。TRONプロジェクトでは、障害者用のシステムや装置を従来のソフトウエアあるいはハードウエアという名称ではなく「イネーブルウエア(Enable Ware)」と称し、1988年からシンポジウムを開催している。
(4) CEC
コンピュータ教育センター(略称CEC)は、コンピュータ利用促進のための基盤的技術を研究開発する中核機関として1985年に設立された、文部省と通商産業省の財団法人である。CECは、その活動の一環として、教育用コンピュータ・システムの標準化に関する研究を行い、その経過の中で1988年に特殊教育でのコンピュータ利用について調査研究を実施し「特殊教育での教育用コンピュータに求められる必要項目」としてまとめた。障害者に対するハードウエア面での仕様は他で策定された内容とあまり違いはないと思われるので、教育面を重視したソフトウエア面での配慮が今後において必要になるものと考えられる。
本稿では、障害者がコンピュータを使用する場合における両者のインタフェースという観点から、その考え方と現状で入手あるいは利用できる補助装置およびシステムについて概説した。また、障害者も使用できるコンピュータの仕様策定に関する内外の動向を簡単に紹介した。
障害者がコンピュータを使用するための補助装置やシステムに関しては今後も多方面からの支援が行われるものと期待できる。しかし、これら補助装置を実際に適用する場合の多くは経験的に行われているため、適合判定の技術として確立されるには至っていない。地域を問わずどこでも、どのような障害を有する人に対しても最適なコンピュータ操作補助装置を適用できる客観的な手法の開発が必要であり、今後の課題である。
参考文献 略
*岡山理科大学
(財)日本障害者リハビリテーション協会発行
「リハビリテーション研究」
1993年9月(第77号)10頁~17頁