用語の解説 ファウンテンハウス方式クラブハウス・モデル 老人保健福祉計画

用語の解説

ファウンテンハウス方式クラブハウス・モデル

 ファウンテンハウス方式のクラブハウス・モデルは、ニューヨークにあるファウンテンハウスでの活動をモデルにした、精神障害者のための心理社会リハビリテーションの一方式である。

 ファウンテンハウスは、1948年精神障害者自身がつくった自助グループから発展し、1950年代にジョン・ビヤードが、重度で長期慢性の精神障害者のために、現在ファウンテンハウスで行っているさまざまな独自のリハビリテーション・プログラムの基盤を作りあげたものである。この方式が精神障害者のリハビリテーションに効果があるということで、1977年、国立精神保健研究所の特別基金で、職員研修プログラムが始められ、アメリカの各地でファウンテンハウス方式のクラブハウスが設立されるようになった。今ではアメリカだけでなく、世界各地に240以上のクラブハウスがつくられている。

 この方式の基本的理念は35項目にわたる基準に示されているが、その中核となるのは、メンバー(精神障害者であるが、ここでは患者とかクライエントとは呼ばれない)とスタッフ(職員)がそれぞれの責任を分担して、クラブハウスを共同で運営することを通して、仲間の支援に役立つという経験を積み重ねていくことである。この日常活動を通して自信と誇りを取り戻し、地域の一般企業での過渡的雇用を経て、自立生活を獲得することも可能になる。レクリエーションや社交の機会の提供、住宅対策も重要な活動となっている。

(高木美子/障害者職業総合センター)

 

老人保健福祉計画

 1990(平成2)年6月の老人福祉法など福祉8法改正にともない、新たに老人福祉法および老人保健法において、老人保健福祉計画に係わる規定が設けられた。これによって、市町村ならびに都道府県の老人保健福祉計画は、1993(平成5)年4月に施行され、今年度中の完成が見込まれている。全国の市区町村においては、昨年度までにおおむね高齢者のニーズ調査を完了し、集計や分析を整えつつ、いよいよ計画づくりが正念場を迎えているのである。

 ところで、老人保健福祉計画のねらいは、21世紀の高齢社会に対応するために、各地域の高齢者のニーズや実態を的確にふまえることを通じて、在宅福祉サービス、老人保健事業、さらに施設対策を市町村ごとに計画的に推進しようとするものである。人口の高齢化が進み、高齢化率が30~40%台の過疎地域がある一方、高齢者と子ども等の同居率が低下している大都市部など、さまざまな地域特性をふまえて、それぞれの地域・自治体にふさわしい総合的なケアシステムづくりの構築が期待されている。

 今回の計画作成においては、さしあたり平成11年度(西暦2000年)における、各市区町村ごとに、保健福祉サービスの目標量を明確化し、併せて各種サービスの提供体制(施設整備や人材確保等)について方針を明らかにすることとされている。

 ちなみに、平成4年度中を通じて、計画づくりに集中的に取り組んだ県の中で、老人保健福祉計画の作成を完了した地域が誕生しつつある。福島県と奈良県では、県ならびに県下市町村が計画作成を完成させ、両県の民生・衛生主管部長より、去る3月30日には厚生省老人保健福祉局長あて、『計画書』の提出があった。さらに、平成5年度に入り、愛媛県、長野県などについても県ならびに各市町村の計画づくりが完成にいたったと聞いている。

 各地の老人保健福祉計画の取り組みにおいて、ゴールドプラン(高齢者保健福祉推進十か年戦略画)の推進や、介護問題に対する国民的関心を背景としながら、ホームヘルプや食事サービスなど各種サービスへの多様な<参加する福祉活動>が推進される中、地域住民の理解と共感を得て『計画』が完成し、西暦2000年に向かって実施されていくことを願わずにはいられない。

(村川浩一/前・厚生省老人福祉専門官、日本社会事業大学研究所助教授)


(財)日本障害者リハビリテーション協会発行
「リハビリテーション研究」
1993年9月(第77号)49頁

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