用語の解説 コミュニティ・サポート・システム(CSS)

用語の解説

コミュニティ・サポート・システム(CSS)

 CSSという用語は、必ずしも熟した概念ではなく、おそらくコミュニティ・ケアやソーシャル・サポート・ネットワーク、地域ケア・システムなどの合成語ではないかと考えられる。ここでは、地域社会におけるソーシャル・サポートのシステム化として捉えておこう。

 そもそもソーシャル・サポート・ネットワークは、保健医療職や福祉職の専門的援助だけではすべてをカバーできないことの認識と、クライエントがインフォーマルに関係している家族や親族、そして知人や友人、隣人など非専門的ではあるが日常的接触頻度の高い人間関係網が援助における効果性の高いことが発見されたことによって、意識的・意図的に論じられ、研究されるようになったということができる。実際には社会福祉協議会の行っている小地域ネットワークづくりやボランティア団体によるケア・グループ活動などを指すが、サポート・システムというよりサポート・ネットワークという場合が多い。しかし、最近では高齢者保健福祉計画や地域福祉活動計画のなかでこのようなサポート・ネットワークをシステム化する動きもみられる。

 もともと、このような社会的ネットワークは、都市社会における隣人網の研究などから認識されるようになり、今日的な人間関係のあり方や生き方のひとつとして論議を呼ぶようになった。と同時にソーシャル・ワークや地域精神衛生活動における援助対象および援助方法の予防的な形態としても注目を集めるようになった。CSSは、地域社会におけるセルフヘルプ・グループ支援から基礎的自治体における保健医療・福祉の連携システム化まで含めたゴールともいえよう。

(牧里毎治/大阪府立大学)


(財)日本障害者リハビリテーション協会発行
「リハビリテーション研究」
1995年3月(第83号)43頁

menu